George Walker IV / AP Photo
世界的人気を誇るポップスター、テイラー・スウィフトさんが、10日に行われたアメリカ大統領に向けたテレビ討論会の後に、民主党候補のハリス副大統領を支持する意思を明らかにした。スウィフトさんの表明が、実際の有権者の投票行動にどれほど影響を及ぼすのか注目される。
◆フォロワー2.8億人、Z世代に人気
スウィフトさんは、インスタグラムで2.8億人のフォロワーを持つ世界的スターで、特にZ世代と呼ばれる1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた人々に人気がある。スウィフトさんがインスタグラムに投稿したハリス氏支持の表明には、1000万を超える「いいね!」がついている。
有名人やインフルエンサーは政治的な支持を表明することで、一部のファンを遠ざけるリスクを負う。こうした事情からか、かつてスウィフトさんは政治的な支持を示してこなかった。しかしフォーブス誌によれば、2016年の大統領選でトランプ氏に反対を表明しなかったことに後悔していたという。スウィフトさんは、今後は「歴史の正しい側に立ちたい」と語り、2018年からしばしば政治的支持を表明してきた。
◆注目は集まるが… セレブの効果は限定的?
調査会社ユーガブによると、アメリカ人の53%(共和党員では31%)が、スウィフトさんの支持がハリス氏の助けになると考えているという。しかし、ますます党派的になっている昨今、目立った変化をもたらすことはないという見方もある。
スウィフトさんは過去にも政治的支持を表明しているが、そのすべてが民主党支持だった。トランプ氏もそれについて言及し、スウィフトは「とてもリベラルな人でいつも民主党を支持しているようだが、その代償を払うことになるだろう」と述べている(Foxニュース)。
実際に、スウィフトさんのファンのほとんどもすでに民主党寄りだと思われるという。今年2月に行われた調査では、スウィフトさんに好意的な人は、民主党支持者では62%だったが、共和党支持者では17%しかいなかった。
ウェブ誌『Vox』は、有名人の支持は比較的狭い範囲の効果しかないように思われると述べる。選挙自体への注目を高める、またはすでに関心のある候補者への思い入れを高めるのには適しているが、党派を超えて人々の考えを変えるのには、必ずしも適していないと述べている。
◆影響力は別格 政治に無関心な層にリーチ
もっとも、ポップカルチャーの世界で特異な地位にまで上り詰めたスウィフトさんの影響力は別格だという見方もある。
インスタグラムのストーリーで、スウィフトさんは有権者登録(注:アメリカでは自ら登録しなければ投票できない)を手助けしてくれるサイト、Vote.govのリンクもシェアしており、彼女のリンクから同サイトへの訪問者は、24時間で40万人以上に上ったという。また、9月10日から11日にかけての彼女のリンクを経由した同サイトへの訪問者は、全体の半分以上を占めた。(フォーブス誌)
Voxは、有名人は隅っこにいる有権者を掘り起こし活性化させるのが得意だと指摘。スウィフトさんの現時点での影響力は十分に大きいため、11月になれば大きな違いを生む可能性もあるとしている。
米ABCニュースも、世界最大級のオーディエンスを持つスウィフトさんなら、歴史的に投票率が低いアメリカの若年層の間に社会的責任感を醸成し、投票所に足を向けさせることもできそうだと指摘。政治に関心を持たない人々を引き込むことで、政治を動かす可能性があるとしている。