人は「頑張って目標を達成すれば、幸せになれる」と期待しがちだ。米国・ハーバード大学の幸福の専門家によれば、「目標達成=幸福」だと勘違いしてしまうことこそが、不幸の原因だという。マリ・クレール インターナショナルのスペイン版デジタル記事よりお届け。
「なぜ私は不幸なの?」ハーバード大学の幸福の専門家は「ありがちな習慣が原因だ」と語る
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なぜ私は不幸なのだろう? 著名な社会科学者アーサー・C・ブルックスの答えは明快だ。「幸せになれないのは、間違っていることをやっているからだ」
ある意味、私たちは皆、常に精神的・肉体的な健康を第一に、目的であれ、有意義な人間関係であれ、ポジティブな感情であれ、それらを通じて幸せを手に入れようと、人生に投資している。私たちは心身の健康を向上させるために、専門家が勧めるようなことを考える必要があるのは事実だ。
しかし、それ以上に、幸福を解明するという大きな課題を自らに課している人たちがいる。幸福を分析し、研究し、あらゆる視点や意見を観察することで、何が私たちを幸福にするのか、逆に何が私たちの幸福を妨げるのかを見極めるためだ。
そこで登場するのが、著名な社会科学者で、リーダーシップと幸福の専門家であり、ハーバード・ビジネス・スクールの教授でもあるアーサー・C・ブルックス氏(米ワシントン州スポケーン出身)である。
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編集部注※2023年9月に発売された、ブルックス氏と米有名司会者オプラ・ウィンフリーの共著『Build the life you want』は米紙『The New York Times』のベストセラー1 位に輝くヒットとなった。
ブルックス氏は、ハーバード大学で無料コース「Managing Happiness」を教えている。このコースは、「幸せとは何か」「何があなたを幸せにするのか」「勉強や努力によってもっと幸せになれるのか」といった疑問に答えることを目的としている。そして受講生が日常生活に取り入れられる永続的な実践方法を確立し、より満足感を得られるように手助けするものだ。
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私が幸せでない理由:「到着の誤謬(ごびゅう)= 目標に到着したら幸せになれるという誤った考え」
いろいろな秘訣(ひけつ)がある中で、ブルックス氏は「CNBCワークサミット2023」において、「到着の誤謬」について語った。正確にいえば、ウェルビーイング、満足感、幸福感を得たいのであれば、避けるべきものについてである。奇妙に聞こえるだろうが、実は案外簡単に理解できる。
「多くの人は、一度スキルを習得し、一度人生が落ち着けば、すべてがうまくいくと考えるが、それは私の専門分野では『到着の誤謬』と呼ぶ誤った考えです」。あるいは、何かを達成すれば、すぐに幸せになり、もっと満足できるだろうと信じることも同じである。
そういう意味で、ブルックス氏は、私たちが自分で設定しがちで、それを達成すると幸福に導いてくれると信じている目標の例をいくつか挙げた。仕事を得て経済的に安定する、パートナーを見つけたり、結婚したりする、ずっと憧れていた家を買う、あるいは体重を減らしたり、体をより引き締めたりといった身体的な目標もそうだ。
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しかし、それを得ても気分が晴れないことがあるのはなぜだろう? それが問題だ。もしかして、私たちは間違ったアプローチを取っているのだろうか?
ブルックス氏が指摘するように、進歩、自己開発、目標に向かって進むことは人間の生来の本質であり、それゆえに私たちを幸せにするものである。
「究極的には、ゴールは幸福ではありません。幸福は目的地ではないからです。それは方向性です。私たちが最も幸せになる方法は、私たちの外側で起こるいくつかの出来事と関係していますが、私たちの内面ともっと関係があるのです」と彼は「CNBC ワークサミット」で語った。