男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「付き合うとは言ってない…」毎週デートするけど、曖昧な関係を続ける29歳男の本音とは
何がダメだったのだろうか。
康太と出会ってから、二度デートをした。二人きりで2回も食事へ行ったのだから、相手も多少の好意を感じてくれていたはず。
でも二度目のデートが終わって以降、康太の態度はわかりやすく冷たくなった。
― 楓:康太さん、次はいつ会えますか?
― 康太:ごめん!ちょっと仕事が忙しくて…。また落ち着いたら連絡するね。
「落ち着いたら連絡する」というのも、「仕事が忙しい」というのも、テイのいい言い訳だとわかっている。
でもどこか諦めきれず、ひたすら連絡を待っている自分も嫌になる。
どうして、私は幸せになれないのだろうか。このまま彼氏ができず、永遠に独身だったらどうしようか…。
そんな不安と絶望感に、34歳になってからひたすらさいなまされている。
Q1:初デートで男が思ったことは?
康太とは、女友達の美紀の紹介で出会った。
“紹介”という形だったので、最初は康太と私、そして美紀の三人で食事をした。
「めちゃくちゃ良い人だから」
実際に会うと、美紀から聞いていたとおりの人だった。私より2歳年下の32歳で、身長も高くて落ち着いており、優しい話し方が印象的だった康太。
幹事の美紀の仕切りのおかげもあり、和やかに食事は進んでいく。
「じゃあ楓さんは2歳上なんですね!」
「年上でも大丈夫ですか…?」
「もちろんです。2歳差なんて誤差じゃないですか」
「良かったです、そう言ってもらえると」
最近、自分の年齢を意識することが増えた。でも「誤差」と言ってくれた康太の言葉にほっとする。
そしてこの食事を終えた後。康太のほうから、デートに誘ってきてくれた。
◆
「ここ、来たことありますか?店選び、頑張ったつもりなんですけど」
康太がデート場所に選んでくれたのは、「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に入っている『Lien』だった。
元々池尻大橋にある人気店で、「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に入ったと聞いて、気になってはいた。けれどもなかなか来るチャンスがなくて、ようやく来れた念願のお店に、私も思わず嬉しくなる。
「素敵なお店ですね」
「楓さんは、普段何を飲まれるんですか?ワインとか飲めますか?」
「はい、ワイン好きです」
「じゃあせっかくなので、飲みましょう!コースなんですが、大丈夫ですか?」
「はい、もちろんです!」
康太のさりげない気遣いやスマートなオーダーに、思わず感心してしまう。
「康太さんって、モテそうですよね。若いのにしっかりされていて」
「いやいや、そんなことないですよ。楓さんも、年齢変わらないじゃないですか」
「2歳差は大きいですよ〜」
でもこのデートで、一つ実感できたことがある。
康太は言葉の通り、年齢をさほど気にしていないようだ。「オススメ前菜6種盛り」を食べながら、私はそっと康太の様子を観察してみる。
「楓さんは、どういうお仕事をされているんですか?」
「私は銀行で働いています」
「そうなんですね!オフィスはどちらにあるんですか?」
「大手町です。一応、メガバンクと呼ばれておりまして…」
「すごいじゃないですか」
「いえいえ。康太さんも」
ここでお互いの仕事の話が続き、楽しく時間が過ぎていく。お酒が入っていたこともあり、会話も盛り上がった。
「康太さんって、平日は何をされているんですか?もし次に会うなら、土日とかのほうがいいですか?」
「そうですね。もし良ければですけど、次はランチとかにしませんか?本気で関係を進めるならば、昼にも会いたいので」
正直、昼の直射日光は辛い。でも「本気で関係を進めたい」と言ってくれたことがすごく嬉しいし、康太との関係を進めていく上で必要ならばもちろん受け入れる。
「そうしましょう」
こうして、スムーズに2回目のデートが決まった。
Q2:昼のデートで男が実感したことは?
気がつけば出会ってから1ヶ月以内で、二度もデートできることになった私たち。昼のデートは、夜のデートとは少し仕様が違う。
直射日光の下だと肌のアラは明らかになるし、お酒の力も借りられない。だから私は3日前くらいから気合を入れて、肌管理を頑張った。
当日はデコパスの薄づきのファンデを重ね、化粧も丁寧にしてから、顔が綺麗に映える白のトップスを着て、待ち合わせのランチの場所へと向かう。天気も良く、ちょうど良い気候は、まさにデート日和だった。
大きな窓から差し込む日差しが綺麗に映える席へ通してもらうと、既に康太は席におり、笑顔で迎え入れてくれた。
「楓さん、お昼に会うと少し雰囲気が違いますね」
「そうですか?変ですか?」
「いや、素敵です」
「ありがとうございます」
さらりとこういう褒め言葉を言えてしまう康太はズルいと思う。でももちろん褒められると嬉しいし、私は思わず笑顔になる。
「何食べますか?」
「私はサラダにしようかな…」
「ヘルシーですね。僕はパスタにしようかな」
日中に会っても、変わらず爽やかな康太に思わず心も躍る。
「僕、ランチするのが好きで。楓さん、普段お昼とかはどうされているんですか?」
「私は会社の近くでサクッと食べることが多いですね。康太さんは?」
「僕も一緒です。でも忙しいとランチ食べる時間がなくて」
「そうなりますよね」
そんな会話をしつつ、私はこの後のことが気になっていた。
今日で会うのは二度目。正確に言うと三度目となる。
初回は、紹介者の顔を立てるためにも誘ってくれたのかもしれない。でも、もう二度目のデートをする、ということは何かしら「いいな」と思ってくれたということだ。
「今日、いいお天気ですね」
「そうですね。楓さんは、家からどうやって来られました?」
「電車で来ました。康太さんは?」
「僕は時間がなかったのでタクりました」
ランチデートのメリットは、お酒が入らないから、その人本来の人間性がよくわかることかもしれない。
「楓さんって、結構おとなしいって言われますか?」
「え、どうでしょう…」
ウルサイと言われたことはないけれど、大人しい性格でもないと思う。でも康太の前だと緊張して、口数が少なくなっているのかもしれない。
「よく話すほうだと思いますが…。康太さんは?」
「僕はどうでしょう。ほどほど、ですかね」
「それが一番いいですよね」
そう言うと、康太の顔がふっとほころんだ。昼も夜も変わらず、優しくて素敵な康太。
― いいな、康太さん。
そんなことを思っているうちに、ランチデートはあっという間に時間が過ぎていた。
「康太さん、またお会いできますか?」
「もちろんです。次はまた食事にでも行きましょう」
そう言って、二度目のデートも良い感じで終わった。けれども結局、この後お礼のLINEのやり取りをしたっきり、康太からの連絡はなくなってしまった。
良いと思ってくれたから、二度目があったはず。しかも本気度を見せるためにランチデートまでした。
それなのに、何がダメだったのだろうか…?
▶前回:「付き合うとは言ってない…」毎週デートするけど、曖昧な関係を続ける29歳男の本音とは
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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男が女に対し、“三度目はない”と思った理由は?