今週のテーマは「ランチデートをした途端に男の態度が変わった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:「真剣に考えている」初デートで男に言われた34歳女。しかし、2回目以降、彼の連絡が途絶えたワケ
友人の紹介で出会った楓からLINEが届いている。スマホを見ながら、僕はしばらく考え込む。
― 楓:康太さん、次はいつ会えますか?
良い子だと思うし、家庭的っぽい感じもする。結婚を考えられる相手を探している僕としては、変な話条件だけ考えれば良いと思う。
でも、僕は当たり障りのない返事を送ることしかできなかった。
― 康太:ごめん!ちょっと仕事が忙しくて…。また落ち着いたら連絡するね。
きっと相手も、わかっていると思う。「仕事が忙しい」とか「落ち着いたら連絡するね」などは、ただの言い訳であることに…。
A1:反応が薄い子なのかな?とは思った。
楓とは、女友達の美紀の紹介で出会った。「真剣に彼女が欲しい」と言っていた僕に、「かなり良い子がいる!」と紹介してくれたのが、楓だった。
「康太さんは、大手町にあるエネルギー系の会社で働いていて。楓とは大学時代からの友達で…」
初対面で楓は、大人しそうな雰囲気を醸し出しており、清楚な印象的だった。
「じゃあ楓さんは2歳上なんですね!」
「年上でも大丈夫ですか…?」
そんなもの、どうでもいい。それは本心だ。
「もちろんです。2歳差なんて誤差じゃないですか」
「良かったです、そう言ってもらえると」
幹事の美紀がよく話す子だったこともあり、会は盛り上がり楽しく終わった。それに楓の印象も良かったので、食事を終えた後に僕は彼女を食事に誘ってみた。
◆
「ここ、来たことありますか?店選び、頑張ったつもりなんですけど」
楓との初デートは、「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に入る『Lien』にした。
グルメな男女から注目を集める店だが、特に新店は女性からも人気が高いと聞き、楓も喜んでくれるかなと思ったからだ。
「素敵なお店ですね」
もちろん、楓は喜んでくれたが、彼女のリアクションは結構落ち着いていて、僕が期待していた「嬉しい♡」というテンション高い感じとは少し違っていた。
「楓さんは、普段何を飲まれるんですか?ワインとか飲めますか?」
「はい、ワイン好きです」
「じゃあせっかくなので、飲みましょう!コースなんですが、大丈夫ですか?」
「はい、もちろんです!」
こうして、初デートが始まった。最初のうちは、楓からも積極的に話題をふってくれる。
「康太さんって、モテそうですよね。若いのにしっかりされていて」
「いやいや、そんなことないですよ。楓さんも、年齢変わらないじゃないですか」
「2歳差は大きいですよ〜」
そして「オススメ前菜6種盛り合わせ」を食べながら、嬉しそうにもしてくれている。
しかし徐々に、デートでする会話というよりも、仕事のインタビューのような雰囲気になってきた。
「楓さんは、どういうお仕事をされているんですか?」
「私は銀行で働いています」
「そうなんですね!オフィスはどちらにあるんですか?」
「大手町です。一応、メガバンクと呼ばれておりまして…」
「すごいじゃないですか」
「いえいえ。康太さんも」
― なんだろう。この感じ。
決して盛り下がっているわけではない。会話も続くし、楓が黙りこくるわけでもない。
ただ会話が、なんのインパクトも残さないまま流れていく。
でも今日は初デート。「緊張もあるから、ある程度仕方がないことだ…」と一旦自分に言い聞かせる。
「康太さんって、平日は何をされているんですか?もし次に会うなら、土日とかのほうがいいですか?」
「そうですね。もし良ければですけど、次はランチとかにしませんか?本気で関係を進めるならば、昼にも会いたいので」
僕は、彼女のことをもっとちゃんと知りたいとも思ったので、昼に会うことにした。
A2:ノンアルだと会話力が顕著になる。
楓とのランチデートは、六本木にある僕の好きな店にした。ここは大きな窓から差し込む光が綺麗で、ディナーだけでなくランチでも楽しめるのが魅力的な店だった。
少し早く着いたので席について待っていると、楓がやってきた。
以前は2回とも黒い服装だったけれど、今日は白っぽい洋服で、爽やかだ。だから僕は、素直にそれを言葉にしてみた。
「楓さん、お昼に会うと少し雰囲気が違いますね」
「そうですか?変ですか?」
「いや、素敵です」
僕が求めすぎなのかもしれないけれど、褒めたらもう少し喜んでくれるかと思っていた。
でも楓の反応は、やはり今日も期待しているよりはるかに薄い。
「ありがとうございます」
― なんでだろう。
きっと本人の性格なんだと思う。でもどこか肩透かしを食らった気分になる。
「何食べますか?」
「私はサラダにしようかな…」
「ヘルシーですね。僕はパスタにしようかな」
こうして各々オーダーし、ランチが始まった。とりあえず会話のキッカケを探すべく、本当にどうでもいい話を投げかける。
「僕、ランチするのが好きで。楓さん、普段お昼とかはどうされているんですか?」
「私は会社の近くでサクッと食べることが多いですね。康太さんは?」
「僕も一緒です。でも忙しいとランチ食べる時間がなくて」
「そうなりますよね」
そしてやっぱり、盛り上がらないわけではないけれど、会話がサラサラと流れていく。
別に全部の会話に内容が必要なわけではない。でも同僚…いや、それ以下の関係性が薄い人と話すような内容ばかりになってしまう。
しかも今日はお昼ということもあり、シラフでの彼女との会話は薄っぺらさが露骨になっていく。
「今日、いいお天気ですね」
「そうですね。楓さんは、家からどうやって来られました?」
「電車で来ました。康太さんは?」
「僕は時間がなかったのでタクりました」
この時に、僕は気がついた。楓との会話には“色気”がないことに。
初デートの定番である質問、「恋人はいますか?」とか、鉄板である過去の恋愛の話にもなっていない。
お互いに気になる異性とのデートだったら、多少なりともそういう会話にはなると思う。
でも楓とは、一切そういうムードにならない。
「楓さんって、結構おとなしいって言われますか?」
「え、どうでしょう…」
その要因は、楓の反応が薄いことにあるかもしれない。
「デート相手を喜ばせたい」、と男は常々思っている。これが特に、初デートだったら絶対だ。
しかし楓は喜んでくれているのかどうかが、非常にわかりづらい。だからどうすれば良いのか、悩んでしまう。
「よく話すほうだと思いますが…。康太さんは?」
「僕はどうでしょう。ほどほど、ですかね」
― ということは、僕が悪いのかな。
楓を楽しませられていないのは、僕の責任だと思う。しかしこれ以上頑張ったところで、何も変わらない気もしてきた。
「康太さん、またお会いできますか?」
「もちろんです。次はまた食事にでも行きましょう」
そうは言ったものの、心の中で答えは出ていた。
男女ともに、色気は大事だ。そしてやっぱり、男性からモテるのは、リアクションが大きくて、笑顔で喜んでくれる…。
そんな、愛嬌がある女性だと思う。
▶【Q】はこちら:「真剣に考えている」初デートで男に言われた34歳女。しかし、2回目以降、彼の連絡が途絶えたワケ
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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