ポイント4
食草を育てる


あちこちに生えて雑草として嫌われがちなイヌムギも、見方を変えればグラスとして楽しめます。tamu1500/Shutterstock.com

草食の生き物たちの食べ物である食草になる植物を育てることでも、害虫を減らす効果が期待できます。

例えば、イネ科の野草は野鳥の餌になります。実ができる時期になると、それを食べにスズメなどの野鳥が飛来してついばんでいる様子を目にします。それと同時に害虫などもスズメなどの野鳥が食べて回るので、野鳥の惹きつけ役としてイネ科の野草は優れているのです。

ほかにもイネ科の野草は、バッタやコオロギなどの食草になるため小さな昆虫が増え、それを食べる野鳥やカエル、トカゲなどの爬虫類、カマキリやクモなどの有益な生き物が増えていくという、重要な役割を果たしてくれます。

イネ科の野草と聞くと雑草として忌み嫌われていますが、私のガーデンでは立派な名脇役。特に春に出てくるイヌムギやホソムギなどを積極的に取り入れています。美しい穂とシルエット、風になびく姿が、まるで草原のよう。風が吹けばサラサラ〜っとイネ科特有の音色を奏で、いつも私を癒やしてくれます。これはイネ科の植物だからこそできる個性だと感じています。


RYosha/Shutterstock.com

8月に入ると、夜には秋の虫たちが盛んに鳴き始めます。秋の虫たちは野草が大好き。食草となる野草を残しておくことで、秋の虫が生きていくことができるのです。

秋の虫たちが奏でる愛のメロディーは、心を穏やかな気持ちにさせてくれます。食草を取り入れることで、日中は鳥たちの遊ぶ姿やさえずりに癒やされ、夜には秋の虫の演奏会に癒やされるナイトガーデン。そんな耳でも癒やしを感じる庭づくりをしてみませんか?

(広告の後にも続きます)

生き物はそれぞれ一流のプロフェッショナル

ガーデニングをされている方で、虫が苦手な方も多いと思います。苦手だからこそ関心が薄く、それぞれの虫や生き物が何をしているか? どんな特徴があるか? などと調べる人は少ないのではないでしょうか。

生き物にはそれぞれ役割があり、それぞれが専門家であり一流のプロフェッショナルです。

人の役に立つ生き物を大きく分けると、以下の3つに分けられます。

送粉者: ハチやチョウなどは花粉を運び、植物の受粉を助ける。

分解者: ミミズや甲虫などは死んだ植物や動物を分解し、栄養素を土壌に戻す。

捕食者: 鳥やカマキリ、クモなどは害虫を捕食し、植物の保護に貢献する。


Minko Peev、KaliAntye、cattosus/Shutterstock.com

それぞれの生き物は、現代の最新の科学技術を駆使しても再現できないほどの能力を秘めています。例えば、害虫を食べてくれるクモを人間が作るとしたら、莫大なお金と労力を必要とすることでしょう。しかし自然界では、人件費もかからず、指示をしなくても勝手に365日昼夜問わず、多様な生き物がそれぞれの役目を果たすために動いてくれています。

これほど優秀なプロフェッショナルたちを活用しない手はありません。

私も以前は庭を見回り害虫駆除に勤しんだ時期がありましたが、生物多様性に富んだ今の庭では、「生き物を一切殺さず」にバラを咲かせたり、美しい庭を実現できています。害虫駆除にかけていた時間が必要なくなり、さらには生き物たちが土を豊かにしてくれるので、耕すことすらしなくなりました。雑草対策だけはしますが、こちらも必要最低限です。生き物たちのお陰でできた空いた時間を有意義に使い、ほかのことを楽しんでいます。

また、心の面でもストレスが随分なくなりました。毎日、害虫対策や駆除で頭を悩ませたり、イライラすることもなく、むしろ、観察することや調べることで、新たな発見があり楽しくて仕方ありません。

生き物たちの力を借りることにより、ストレスフリーなガーデニングライフを送ることができるのです。