現在89歳、幼い頃父親が他界して一人で子育てをがんばってくれた母。でもそんな母に優しくできないというお悩みを持つ55歳女性が、お悩み相談を寄せてくれました。「仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。
「母親に優しくできない…」55歳女性のお悩み
私は一人っ子で、15歳で父が他界してから母と二人で暮らしていました。28歳で結婚してからは主人の両親と同居していますが、最近実母に認知症の症状が見えてきました。
母との仲は悪いと言うわけじゃないのですが、私は母に対して好きという感情が昔からあまりないのです。母は、ああしなさい、こうしなさいが多く、苦痛に感じていましたが、それに反発することもなく私は大人になりました。
義父母と同居するようになってこんな押し付けのない、自尊心を傷つけない親もいるのかと思うと、こういう育て方をしてもらいたかったなと、いまだに思ってしまいます。
お金の苦労は、まったくなく育ててもらいました。89歳で一人で今までがんばってきた母に、感謝と尊敬の気持ちはもちろんありますが、優しくできるときと、嫌味を言いたくなるときがあり、優しくできなかったときは自己嫌悪に陥ります。
これから先、これの繰り返しなのかと思うと、自分を責めながら生きていかなきゃならないのでしょうか? できれば、今、まだ母が元気でいるうちに優しく接して生きていきたいです。
私には2人の子どもがいますが、義母を見習い、自尊心を大事に育てています。今後のために、アドバイスをいただけたら助かります。よろしくお願いします。
(55歳女性・ホカロンさん)
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名取芳彦さんの回答:普通に感謝して接すれば、それでいい
実のお母さんを無理に大好きにならなくてもいいでしょうし、優しくできないときの自分をそれほど責めなくてもいいと思います。普通に感謝して接すれば、それでいいですよ。
そこで、お母さんに感謝しているあなたが、普通に接するための心構えと優しさについてお伝えします。
自分のことを、母に優しくできないダメな娘だと思うことがあるようですが、「私は、まだまだだ」と思うのは、とても良いことです。お母さんに優しく接するため(結果的に心穏やかに生きるため)の「はじめの一歩」です。ダメな自分に気付くから直していけるのですから。
それは、学校のテストと同じ。テストの目的は、良い点数を取ることでなく、できないところを浮き彫りにすることです。できたところはそれ以上勉強しなくてよいことがわかり、できないところがハッキリするので、あとはそこを勉強すればいいのです。
あなたの場合も「お母さんに優しくできないことある」とハッキリしたのですから、そこをクリアすれば、100点満点の娘になれます。