疲れると決まってうずく、20代に治療した右上の糸切り歯。メンテナンス時にもその歯だけ歯周ポケットが深いなど、歯医者さんにも要注意と言われていた歯でした。気になりつつも自由診療でセラミックのクラウン(全体をかぶせる詰め物)を入れていたため、壊すのはもったいないとずっと様子を見ていたのですが、その詰め物が突然ぽろり。とうとう長年悩まされていた歯と向き合うときが来ました。歯科治療の体験談を紹介します。
セラミックの詰め物を壊す勇気がなく
20代に治療した右上の糸切り歯。以来20年近くずっと問題なく過ごしていたのですが、ここ数年疲れたり体調を崩したりすると、その歯のすぐ上の歯ぐきが腫れたり、冷たいものがしみるときもあったりして気になっていました。その歯だけ歯周ポケットが深いこともあり、定期検診を受けている近所の歯科医院の先生からも「要注意だね」と言われていたのです。
以前治療したときの詰め物は自由診療のセラミック。それを壊すのはもったいないからと経過観察をしてきました。ところがここ数年、更年期の症状が加速化するにつれ、口腔内の環境も悪化。朝起きるとねばつきや乾きが気になるようになり、それに伴い、問題のこの歯も歯ぐきが腫れるときは、それまでよりずんと重く感じることが増え、少しずつ悪化しているようでした。治さなくちゃいけないのかも知れない。そう感じていましたが、セラミックの詰め物を壊すほどの決定打がなかったのです。
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外出先で突然詰め物が取れて大慌て!
そんなある日、外出先のレストランで食事をしていたら、ゴリっと音がしました。ん?と思い、失礼してトイレに立って鏡で確認したところ、糸切り歯の詰め物が取れてしまっていたことがわかりました。なんの前ぶれもなくぽろりと取れた詰め物を見ながら、「ああ、とうとうこの歯と向かい合うときが来たのだ」と思いました。
かかりつけの歯科医院に電話をして事情を説明すると、すぐに診てもらえることになったので、楽しいランチを泣く泣くあとにし歯科医院へと急ぎました。早速詰め物を見せて、X線検査をした結果、診断は「歯根破折(しこんはせつ)」。歯の根っこに線が入っており、ちょうど2つに割れていたのです。先生に、「そこから菌に感染して、歯ぐきが腫れていたんですよ」と言われ、詰め物の高さがもしかしたら少し高かったのではと指摘を受けました。
遠い昔のことですが、たしかにセラミックを入れたとき少し高かったので調整をしてもらったことを思い出しました。何度か調整したあとに、最初は違和感が出やすいと言われ、そんなものかと違和感が残ったまま使い始めたのです。そんな話をひとしきりした後、「抜歯するしかありません」と突然宣告を受けました。「え? 抜くんですか」「そうですね。これはもう仕方ないです」。ショックでした。初めての抜歯。治せないのかを聞いたのですが、「難しいです」とのことでした。