国内不動産投資に比べて、高い利益を狙えると注目される「海外不動産」。 特に、手堅いと言われているのが「アメリカ不動産」と「イギリス不動産」への投資ですが、その理由とは?  今回、『モンゴルがいま熱い! モンゴル不動産投資をおススメするこれだけの理由』(WAC)の著者である安藤義人氏が、アメリカとイギリスの不動産投資の魅力と注意点について、詳しく解説します。

不動産投資の大本命、先進国代表「米国」

米国の不動産市場は、世界最大の規模を誇るマーケットであり、特徴は、新築物件の流通量が少なく、中古物件が全体の約80%を占める、中古住宅中心の市場だということです。なぜでしょうか?

それは、米国では、土地の開発や建物の建築について、非常に厳しい審査が行われるからです。たとえば、どの地区にどういった建物を建てて良いのかが定められていたり、一定の面積の中にどれだけの住宅を建てて良いといった区画規制もされていたりします。日本にも、地域ごとに建てていい建物と建ててはいけない建物が決められているなど一定の規制はありますが、米国ほど強力ではありません。



[図表1]不動産制度・税制比較(先進国) 出所:『モンゴルがいま熱い! モンゴル不動産投資をおススメするこれだけの理由』(WAC)

このように、米国の不動産市場は、強い規制で「守られた」マーケットであるため、新築住宅の数がやみくもに増えることはなく、不動産の資産価値が比較的高く保たれます。米国の不動産価格がリーマンショックのような経済危機を除くと、基本的に右肩上がりのトレンドを形成しているのはそのためです。

売却という出口を考えたときに、このような価格が下がりにくい市場構造であることと、世界一の流動性を誇るマーケットは、とても魅力的です。さらに、米国は人口が増加している国です。移民を受け入れていることもあって、20代、30代という働き盛り世代の人口が多く、これからの経済成長も大いに期待できます。世界一の経済規模を誇る米国が継続的に成長するなら、世界中から人やお金が集まるのは当然のことです。

そこに新しいビジネスが生まれ、さらに発展していくという好循環が期待できます。その結果、住宅の供給はさらにタイトな状態となり、賃貸需要も旺盛となります。住宅ローン金利が高くなってもなお、物件を購入するときの競争率は高く、不動産価格が過去最高水準を保っているのは、こういった背景があるからです。

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米国での不動産投資のデメリットは?

リスクもあります。まず、米国は広大な国土を有しているため、州や郡によって世帯所得などに違いがあることです。世帯所得が低いところでは、家賃の滞納率が高まりますし、同時にそれらの街は治安への不安も高まるので、投資する場所を選ぶ際には、犯罪率なども調べなくてはなりません。

また、利回りは全体的に低めです。高利回り物件があるとすれば、それは「田舎」か「治安が悪い場所」であることも考えられます。そういった場所は賃貸需要が低く、空室期間が長くなる可能性があるので注意が必要です。

米国の不動産投資は、中古物件が中心だと書きましたが、それゆえ、修繕コストが高めになるリスクも考えておきましょう。

最後に、以前は期待されていた節税効果は、2020年度に海外不動産投資の税制が改正されたことで、短期間で多くの減価償却費用を計上することはできなくなり、節税メリットは薄れてしまいました。ただ、これらのリスクがあっても、米国不動産投資には圧倒的にメリットが多く、長期的に見てその人気が大きく下がることはなさそうです。

また、アメリカの住宅ローンは「ノンリコースローン」が中心です。「ノンリコースローン」とは、欧米発で普及した融資方法で、日本では一般的ではありません。簡単に説明すれば、ローンを組んで返済しきれなくなった時、融資の対象物件を売却すればその債務がなくなる仕組みであり、単純に考えて、借り手側に大きなメリットがある融資方法です。

ただし、アメリカの物件向けに日本人がこの不動産投資ローンを利用するときは、物件価格全額ローンで……とはいかないようですから、ある程度の現金を用意する必要があります。最近、実際にお客さまにご提案した物件では物件代金の約50%は頭金の用意を求められました。