歴史が古い欧州の相続税
米国の遺産税については、別の項目で最近の変遷を述べますので、ここでは省略します。
欧州諸国の相続税の課税方式を比較すると、遺産課税方式を採用している国では、英国、北マケドニア、ハンガリー、ベルギー、ポーランドと少数派であり、デンマークは遺産課税方式と取得課税方式の複合です。この複合形式は基本的には遺産課税方式であり、配偶者、子弟、両親という家族以外に財産が相続される場合、取得課税方式による追加的な課税があります。
OECDの資料(Inheritance Taxation in OECD Countries)に基づいて欧州諸国の相続税導入年の古い順は、以下の[図表]のとおり。国名のあとの年号は導入年です。
[図表2]
相続税の最高税率は、高い順にドイツ(50%)、フランス(45%)、英国(40%)、オランダ(40%)、ギリシャ(40%)、スロベニア(40%)となっています。
また、上記の国のほとんどが相続税と贈与税の双方を規定していますが、相続時の財産移転に相続税として印紙税を課すマルタとリトアニアには贈与税がありません。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員