京都で話題の立ち食い蕎⻨「SUBA」と、神宮前・自由が丘で店を構えるワインショップ「VIRTUS」のコラボレーションにより、新店舗「VS(ブイエス)」が渋谷にオープンした。〈sacai Aoyama〉〈OGAWA COFFEE LABORATORY〉なども手がけたYUSUKE SEKI STUDIOによる設計、空間の楽しみ方についても紹介する。
渋谷駅徒歩3分にオープン。構造も楽しみたい2フロア
再開発が進み、大型商業施設が続々と出現する渋谷で、街なかを活気づける貴重なお店がオープンした。渋谷駅から徒歩3分という好立地に構えたのは、神宮前・自由が丘で店を構えるワインショップ「VIRTUS」と、京都で話題の立ち食い蕎⻨「SUBA」が、それぞれの頭文字をとって名付けた新店舗「VS」。
9月10日、宮益坂から路地へ1本入った、落ち着きあるエリアにオープンした「VS」
1階は、2021年の開業とともに、京都ではなじみの薄い“立ち食い蕎⻨”を浸透させた「SUBA」の東京初出店となる「SUBA VS」。2階は、ワインショップ&ワインバーとして角打ちも楽しめる「VIRTUS VS」。
せっかくの2フロア構造を楽しむためのススメとして、今回は2階の「VIRTUS VS」からアテンドしたい。
2階「VIRTUS VS」のワインセラー
階段を上ってすぐ目に飛び込むのは、1000種類以上のナチュラルワインおよび日本ワインを取り揃える圧巻のセラー。ミシュラン店をはじめ、多くの飲食店におけるワインペアリングを監修する「VIRTUS」ならではのラインナップは見もの。
2階「VIRTUS VS」のワインディスペンサー
さらに、常時48種類以上の好きなワインをテイスティングできる、大型ワインディスペンサーも設置。自動販売機の要領で、コイン(1枚550円で購入)を投入すると、種類によって25~50mlのワインがグラスに注がれる。バーとして飲み比べするもよし、気に入ったワインは購入することも可能。品揃えに対する自信の表れにも感じられた。
1階の「SUBA VS」。立ち食い蕎⻨だけの利用ももちろんOK
(広告の後にも続きます)
出汁ベースの蕎⻨とナチュラルワインのペアリング
好みのワインをグラスに注いだら、1階の「SUBA VS」へ。ナチュラルワインのうまみを「出汁のよう」に例えることがあるように、関西風の出汁ベースの蕎麦とのペアリングは、ぜひ試してほしい。
「島根県宍道湖のしじみとマンダリンオイル」 ¥1,100(税込)
麺は京都店と同じく、その時期一番よい蕎⻨粉を全国から厳選したオリジナル麺を、毎日製麺。そばつゆには、利尻昆布と本ガツオ、サバ、ウルメイワシなど上質な素材で引いた関⻄風の出汁を使用するこだわりだ。関東の立ち食い蕎⻨では一般的な濃いめのそばつゆとは異なる味わいが楽しめる。
「渋谷限定 とり天毛沢東スパイス」¥1,200(税込)
メニューは、「酢橘無花果(すだちいちじく)」や「島根県宍道湖のしじみとマンダリンオイル」、「国産牛ホルモンと⻩ニラ」など、馴染みのある料理や食材を蕎⻨に再解釈した斬新なメニューを提供。「とり天毛沢東スパイス」など渋谷店限定メニューや、練り物系のつまみなど蕎麦前も揃える。
〈写真左〉エントランスから見る立ち食い蕎麦の“スタンド”。〈右〉2階へ続く階段までの動線
また特筆すべきは、「sacai Aoyama」「OGAWA COFFEE LABORATORY」などを手がけたことでも注目される「YUSUKE SEKI STUDIO」による設計。傾いたカウンターが話題となった「SUBA KYOTO」とリンクさせるため、「SUBA VS」ではあえてカウンターの下の床を傾かせているという。ニューフロアという階段のための階段や、カウンターを固めるために使用した木材で造られた壁など、空間を楽しみながら蕎麦とワインをすするのも一興。
“袖振り合うも”とは言ったもので、蕎麦を立ち食い、隣の人とワインで繋がる縁もあるだろう。この場所に多様な人が集まり、渋谷にまた新たなカルチャーが生まれるかもしれない。
text: Aki Fujii
・「スパイスラボトウキョウ」がリニューアル。日本のモダン“インド料理最前線”
・東京のアフタヌーンティーはハロウィンの装い【2024年秋】