「あともう少し若かったら」
誰もが一度は思ったことがあるでしょう。
今回は、『4日で若返る「毒出し」のトリセツ』織田剛著(すばる舎)を紹介します。
この本を読めば、ハーブの力を借りて、老化の原因となっている体内の毒を根本から取り除く方法がわかります。
実際にファスティングをすると、驚くほど体が軽くなり、そのうえ人生そのものまで好転しはじめる。そんな「時計の針を戻す」不思議なファスティング法をお伝えします。
▶前回:脳が一生忘れないインプット術。読み方を少し工夫するだけで、記憶力がアップする!
▼INDEX
1. 見えない毒が、「不調」と「老化」の根本原因
2. 毒出しファスティングは、なぜ魔法のような結果を出すのか
3. ファスティング中でも「1日3食つくりなさい」
4. オートファジーのスイッチを入れるために
5. 具体的な4日間のメニュー紹介
6. 本書のココがすごい!
1. 見えない毒が、「不調」と「老化」の根本原因
「ハーブを飲みながらファスティングするだけで、毒がなくなって人生も変わる?そんな話あるはずがない」と思う方もいるでしょう。
もちろんハーブティーを飲む程度では、ちょっと健康になるくらいでしょう。それは、ハーブが持つ本来の力を効果的に使えていないからだ、と著者の織田さんは言っています。
本来ハーブは「薬草」です。正しい使い方をすると、劇的な効果があります。このことを知ったのは、著者の織田さんが、フランスに留学してからのことです。
フランスに留学する前、織田さんが日本で大学院に通っていた頃は、朝起きたら菓子パンをコーヒーで流し込み出勤、昼は回転寿司を食べ、夕方は油でギトギトのラーメン、家に帰って深夜、コンビニ弁当にビールという生活を続けていました。
その結果、高校生のときより20kgも体重が増え、毎日体がだるく、頭はぼーっとしていました。
ところが、哲学の研究でパリ第8大学の博士課程に行くことになり、ハーブ大国であるフランスでハーブに出逢います。そして、当時流行していた最新のファスティングが、人生を大きく変えたのです。
織田さんは、腸→肝臓→腎臓、と順に「毒出し」をしました。
それが終わった頃には「詰まり」が取れたかのように、仕事、人間関係、お金まわりまでも人生全般が一気に好循環に向かっていったのです。
劇的な変化を起こした理由は、ハーブで臓器にたまった老化物質である「毒」を抜いたから。
体の毒とは、食品添加物、人工甘味料、農薬など私たちが口にする食べ物に潜んでいるもの。
こうした毒が蓄積して「慢性炎症」を引き起こし、謎の不調や老化の原因、さらには病気の引き金にもなる。
今回は、織田さんがフランス留学中に膨大な文献を調べ上げ、自分自身のカラダで徹底的な人体実験と研究をしながら体系化し、1,000人以上の方々にアドバイスし、実践してもらった方法を本書から抜粋・編集して紹介します。
織田さんが提案するのは、月に4日間、最短3ヶ月で別人になる方法です。
「毒出しファスティング」によって毒を体外に出す。するとたった数日で、次のようなことが起きます。
・やせる
・肌のハリツヤがよくなる、ピチピチ水を弾く
・気になっていた白髪が減って、黒髪が増える
・夕方になると疲れていたのに、1日中、全力が出せるようになる
・いつもの不調、頭のモヤモヤが消える
2. 毒出しファスティングは、なぜ魔法のような結果を出すのか
~オートファジーの効果~
臓器の汚れは、台所の油汚れと似ています。
油汚れは、「水」だけでは掃除できません。でも、それ専用の洗剤を使ったらどうでしょうか。水でゴシゴシしても取れなかったものが、「あら不思議」とばかりにきれいになるはずです。
台所の掃除をするときに洗剤を使うのと同じ理屈で、ハーブという道具を使うわけなのです。
この時、同時にファスティングをすることがポイント。なぜなら台所を掃除するとき、掃除以外の作業は一度ストップすることが大事です。
毎日肝臓も腎臓も働きっぱなしです。この仕事を一度止めて、掃除の専門業者の特徴を使ってがんこな汚れを落とす。これが、ハーブを使いつつファスティングをして臓器の蓄積毒を出すイメージです。
ファスティングをすると、体内の古いタンパク質などを破壊して、それをリサイクルする機構にスイッチが入ることが知られています。これを「オートファジー」と言います。
毒出しファスティングでは、ハーブの力で個々の臓器が自己再生するオートファジーの状態を覚醒させます。
3. ファスティング中でも「1日3食つくりなさい」
オートファジーモードに入るためには、お腹がグーッとなるまで我慢する必要がある、と思っている人もいますが、実は、適切な栄養が必要です。
ただし、固形物を食べて消化吸収スイッチを入れると、「オートファジー」がストップしてしまうので、栄養は「液体」で摂る必要があります。
たとえば、家族の晩御飯として豚汁をつくったら、豚汁の中のにんじんや大根や豚肉などの固形物は食べないのですが、スープだけを飲むようにします。
具体的には、炭水化物やタンパク質は控えて、次に説明する3つの栄養素を意識的に摂ることが鍵です。
これによって飢餓感に振り回されることなく、カラダが自然にオートファジーモードに入ります。
ファスティングというと、空腹感と戦う必要があるので「精神修行」というイメージがある方も多いでしょう。
しかし、「まんぷく感」を感じ、楽しみながらおこなったほうが、飢餓感に耐えておこなうよりはるかに簡単に最短で結果を得ることができます。
実際に、織田さんがつくった毒出しの夜のスープは次のとおりです。
1日目:豚汁
2日目:伊勢海老のビスク
3日目:鯛のあら汁
4日目:鶏ガラ味噌スープ
毒出しファスティングを経験すると4日間はつらく我慢するものではなく、待ち遠しいものに変わります。
4. オートファジーのスイッチを入れるために
オートファジーのスイッチを入れる補助となるのが、下記の栄養素です。
①良質な脂質
②食物繊維
③フィトケミカル
詳しく説明します。
①良質な脂質
良質な脂質は毒出しファスティングをする上で、2つの重要な役割をします。「毒出し」と「カロリー源」としての役割です。
できるだけ良質な脂質であることが大事ですが、なんでもいいわけではありません。カロリー的には十分だったとしても、脳にケトン体が届かないのでふらふらになります。
ファスティング中に活躍するのは、中鎖脂肪酸を凝縮したMCTオイルです。
ただ、MCTオイルのみ摂取してもお腹は満たされません。まんぷく感を刺激して空腹感をなくすためのレシピを紹介します。
・抹茶ラテ
・カフェマキアート
・シナモンラテ
つくり方は簡単です。MCTオイルとグラスフェッドバター(ギーバター)を1対1(小さじ1杯ずつ)でブレンドしそこにコーヒー、シナモン、抹茶などを注いでブレンダーで混ぜ合わせる。または水筒に入れてシェイクします。
重要な点は3つありあす。
1つめは、MCTとオイルがカロリー源だからといっても、グラスフェッドバターを組み合わせないと、まんぷく感が得られないことです。
グラスフェッドバターには短鎖脂肪酸が多く含まれています。この短鎖脂肪酸に反応して私たちの体は「レプチン」というまんぷく感を感じさせるホルモンを放出します。
2つめは、良質な素材にこだわることです。
インスタントのMCTオイルのラテなども販売されています。もちろん、これを代替的に使うことも可能ですが、加工の手が入っているがゆえに添加物がたくさん入っているものも多いです。コーヒーや脂質に関しても同じです。
3つめは、ブレンダーやミキサーで混ぜること。
これが手元になければ水筒に入れてシェイクするといいでしょう。スプーンで少し混ぜる程度だと美味しくないのでご注意ください。
MCTオイルとグラスフェッドバターがあれば、さまざまなラテをつくり出すことができます。
ルイボスティーを使ってラテにすると、市販されている「午後の紅茶」のロイヤルミルクティー味がして美味しくなります。
②食物繊維
ファスティングを教える人で「食物繊維」を重視する人はあまりいません。しかし、食物繊維を摂らないで進めて便秘になってしまう人はかなり多いです。
ファスティング中には、食物繊維がないと次の2つの意味で「危険」です。
・カラダ中に毒が巡る
・腸に負担がかかる
腸内に食物繊維がなくなると、細菌が活動する際に必要な「エサ」がなくなります。すると腸内細菌が食べ物に困って、自分の腸を食べてしまうことが最近の研究でわかっています。
では、どのような食物繊維を摂ればよいのでしょうか。
ファスティング中に便秘にならないためには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合を3対1くらいにするのがいいと思っています。
オートファジーの働きを止めないためには、タンパク質や糖質を摂らずに水溶性食物繊維を摂るためには、水溶性食物繊維が多く含まれているサイリウム(オオバコの種のカラ)を水に混ぜて飲むことです。
サイリウムは、伝統的な腸の洗浄ハーブです。粉末になっているものがネットなどでも簡単に手に入ります。毒出し中は、サイリウムをほかの臓器のデトックスハーブ(センナなど)とブレンドして朝一番に飲むようにします。
ただまったく味がしないので、レモン汁やリンゴ酢などを混ぜて飲んでいます。
③フィトケミカル
毒出しファスティングを地獄にするか、はたまた天国にするかは、フィトケミカルを摂るか、そうでないかにかかわってきます。
フィトケミカルは、植物が太陽の紫外線など外部からの刺激から自分を守るために生成された化学物質です。
たとえば、下記のものがあります。
・トマトのリコピン
・にんじんのベータカロテン
・ブドウのレスベラトロール
・コーヒーのクロロゲン酸
・緑茶のカテキン
毒出しファスティング中は、血液中に毒がでてくるので、この毒に何の対策もしなければ「気分が悪くなる」などの体感が表れます。ですからフィトケミカルに手伝ってもらって、正しく成仏させる必要があるのです。
ではどのようなフィトケミカルを、どのような形で摂ったらよいのでしょうか。
「いくつかのフィトケミカルを生の果物や生の野菜から摂る」これが基本戦略です。「老化細胞」を破壊する成分を含んだものは、「フィセチン」という成分が入っているイチゴ、リンゴ、トマトなどがその代表格です。
生の果物を搾ったジュースやスープで摂取しましょう。しかし、ミキサーのように「刃物で裁断する」形式だとほとんど成分が出てこないので、なんらかの形で圧力をかけて細胞壁を壊す必要があります。
方法としては、1つめは「搾る」「すりおろす」などの圧力をかけることです。
2つめが、「野菜スープで摂る」ことです。熱という形で外から圧力をかけることで細胞壁が壊れてフィトケミカルがでてきます。
スープは、骨と野菜を煮込んだブイヨンスープがおすすめです。
たとえば、豚汁、魚のあら汁、参鶏湯、ニンニクたっぷりの豚骨スープ、モツ鍋など。
タンパク質の摂取量が1日12g以上だとオートファジーを阻害することになるので、ファスティング中に積極的にこれらのスープを飲んで、体に滋養を与えてあげてください。
ファスティング中だからといって料理をやめるのではなく、積極的に作って家族に振る舞い、自分はその上澄みを飲むようにしてください。
5. 具体的な4日間のメニュー紹介
実際、織田さんが行っている「毒出しファスティング」の最も基本的な4日間を紹介します。
〈1日目〉
朝:ハーブシェイク、ナチュラルカフェラテ
昼:コールドプレスジュース、ナチュラルルイボスラテ
夜:鶏ガラとキノコのブイヨンスープ
〈2日目〉
朝:ハーブシェイク、ナチュラルカフェラテ
昼:コールドプレスジュース、ナチュラルカフェマキアート
夜:前日と同じスープに味噌とアオサを加えてアレンジする
〈3日目〉
朝:ハーブシェイク、ナチュラルカフェラテ
昼:コールドプレスジュース、ナチュラルシナモンラテ
夜:鯛のかしらのあら汁と鰹・昆布だしの味噌汁の上澄み
〈4日目〉
朝:ハーブシェイク、ナチュラルカフェラテ
昼:コールドプレスジュース、ナチュラル抹茶ラテ
夜:えび、あさり、たらを主体にトマト風味ブイヤベース
朝飲むハーブシェイクのハーブを浄化したい臓器によって、少しずつ変えていきます。ハーブは、ネットやスーパーで購入できる素材です。
腸内洗浄したいとき
①サイリウム/腸の毒素を浮かせるハーブ
②センナ、またはハブ茶/蠕動(ぜんどう)運動を促進するハーブ
腸の毒出しファスティング中は、朝①と②をブレンドしたハーブシェイクをつくります。
肝臓を洗浄したいとき
①ミルクシスル(マリアアザミ)/肝臓の細胞の再生を促すハーブ
②ダンデライオン(たんぽぽ)/肝臓の機能の強化するハーブ
肝臓の毒出しファスティング中は、朝に①とサイリウムをブレンドしたハーブシェイクをつくって飲み、昼はハーブティー(たんぽぽ茶)を飲みます。
腎臓を洗浄したいとき
①ウワウルシ、クランベリー/腎臓の細胞の再生を促すハーブ
②(ホーステイル)スギナ/腎臓の結石の排出を促すハーブ
腎臓の毒出しファスティング中は、朝に①とサイリウムをブレンドしたハーブシェイクをつくって飲み、昼は②のハーブティー(スギナ茶)を飲みます。
ご紹介したハーブの分量目安等は、本書に記載されています。しっかりと参考にしていただき、過剰摂取はお控えください。
また「毒出しファスティング」は、ご家庭でおこなっていただく健康法であり、医療ではありません。効果には個人差があることをご了承ください。
紹介しているハーブの分量目安を参考にしていただき、くれぐれもご自身の体調と相談しながら、無理なくおこなうようにしてください。
6. 本書のココがすごい!
今回紹介した『4日で若返る「毒出し」のトリセツ』織田剛著(すばる舎)のすごいところは下記に集約される。
①「ファスティング」は我慢を強いられるつらいもの、というイメージがあるが、紹介されているレシピがどれも美味しそうで楽しみになる。
②毒出しすることが、なぜ大事なのか、ファスティングが体にどう作用するのかの説明がとてもわかりやすい。
【著者】 織田剛(おだ・たけし)
薬草研究家。ハーブ・ファスティング®開発者。
1979年沖縄宮古島生まれ。宮古島初の医師、薬草研究家の家に生まれる。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程在学時にパリ第8大学博士課程に留学。フランス文学、哲学を研究。
現在はフランスの伝統的な薬草学を紹介し、薬草学の普及、ハーブ治療院をつくるために活動。ハーブ・ファスティング®を開発。NEXTAGE HERBALISTラボ代表。
パリ第8大学博士課程在籍中、指導教官にフランスの伝統的薬草学を紹介され、奥深いフランスハーブの世界を知る。
当時、フランスで流行していたファスティングの実践で10キロ以上のダイエットだけでなく、体調の劇的な改善を実感する。多くのフランスハーブの人体実験を自ら試みることで、体質改善以上の効果を体感し、研究職以外の道に進むことになる。
2015年、肺の遺伝性の難病が発症する。1ヶ月で7回の緊急入退院。手術をするものの、2年後に再発。片肺を切除の宣告を受ける。ところが、フランスのメディカル・ハーブの独自研究で肺の寛解に成功。ハーブの知識を少人数で教えはじめる。
フランスの伝統的な薬草学や修道院などでおこなわれていたファスティングの理論を体系化。1年後に欧米の最先端のファスティングの科学研究を融合させたハーブ・ファスティングの技術を独自開発。
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