もともとは会社員をしていた私。しかし突然、家業の酒造会社を継ぐはずだった兄から「うちは廃業だ、父の介護をしろ」となかば強制的に押し付けられ、実家に戻ることに。それから3年後、思わぬ連絡が入ったのです。

兄からの連絡にあぜん

3年前。兄は、酒造の作業中にけがをして要介護になった父を捨て、会社の立て直しに尽力することもなく、義姉と子どもまで裏切って浮気相手の女性のところに走ったのです。その挙句、家族からの連絡にも一切答えず、音信不通になっていました。

ところがある日突然、「父さん、ようやく逝ったんだってな」と私のところにその兄から連絡が。さらに驚いたことに……。

「父さんの葬儀は終わったか?」 

「遺産の分配は長男の俺が決めるから!」 

「勝手なことすんなよ?」

「葬儀なら1年前に終わったよ」

これにはあ然とするしかありません。私は努めて冷静に返信しました。

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受け取れるとでも?

すると兄は、父の最期について聞くこともなく、「それより遺産だ、1年も前なら配分も終わっただろ? 俺の遺産はいくらだ? 連絡くらいよこせ」と言うのです。

そもそも私や義姉の連絡先をブロックしたのは兄。それに父は遺言状に「長男には一銭も相続しない」と明記していたのですが……。

「それを聞いて俺が引き下がると思うなよ。俺はお前と違って優秀なんだ。遺言がどうだって、実子には遺留分があるんだからな!」

やはり兄は一筋縄ではいきません。そこで俺は、もう1つの真実を話すことにしました。

「兄さんには遺留分もない。父さんさ、兄さんの相続人の廃除を申し立てたんだよ」