儲かる儲からないより、楽しいか楽しくないか
そして、ラクして得たお金は、大概あっという間に消えてしまうものです。
前座の頃、一度だけパチンコで大当たりしたことがありますが、儲かった瞬間に消えてなくなったものでした(逆に、事務所から2か月後に振り込まれた前座としてのギャラの5,000円のありがたみを嚙みしめたものでした)。
大体儲かる話なんか、人に勧めるわけなどありません。
儲かる儲からないより、楽しいか楽しくないか。
談志門下に入門して以来、私は人生の基準をそこに置くことにしています。そんな価値観を心に抱くと、「儲かるか儲からないか」だけを主眼としている人たちのことを「人生窮屈そうだな」とバカにできるようになります。
さあ、そうなるとしめたもの。何せ詐欺師サイドは「バカにされること」を極端に嫌がるものですから、向こうから自然と去っていくはずです。
友人に関しても同様、お金に執着していない人間と関係を築けるようになります。
その結果、笑いのセンスも涵養されるに違いありません。つまり、笑いは肉体的にも精神的にも免疫力を上げるばかりか、お金に執着している人からのアプローチも拒否するという効能すらあるのです。さあ、笑いましょう。
立川 談慶
落語家・立川流真打ち