生活の一部としての家具、その写真表現の新しい試み。

 1940年に創業した日本を代表する木製家具メーカー〈カリモク家具〉。2021年に東京・西麻布にオープンした『カリモク コモンズ トウキョウ』は、ショールームとしてだけではなく、オフィスやギャラリーなどの機能を備えた、新たなコミュニケーションの拠点として様々な発信を行う場所だ。現在、ここで写真展「DIALOG AROUND FURNITURE FUMIKO SAKUHARA meets 3 PHOTOGRAPHERS」が開催されている。

「DIALOG AROUND FURNITURE FUMIKO SAKUHARA meets 3 PHOTOGRAPHERS」は、インテリアスタイリストの作原文子さんと3名の写真家、そして〈カリモク家具〉が展開する3つブランドがコラボレーションした写真展。作原さんがアイテムの選定とスタイリングを担当し、〈MAS(マス)〉を横浪修さん、〈Karimoku New Standard(カリモクニュースタンダード)〉を松原博子さん、〈Karimoku Case(カリモクケース)を〉尾身沙紀さんが撮影。それぞれの写真家と対話を重ねながら自由な発想のもとで作り上げた作品を展示している。

3人の写真家が捉えた写真作品は1階のギャラリーで展示。写真展ではあまり見ることのないカラフルな壁面に作品を展示する方法も新鮮で、その中でも作品が存在感を放っているのは3人の写真家と創造したビジュアルが力強いからだろう。作品も、展示手法も、印象的だ。


プロダクトデザイナーの熊野亘さんがデザインした〈MAS〉の風呂椅子を、“らしい”世界観で表現した横浪さんの作品。


松原さんが撮影したのは〈Karimoku New Standard〉の定番「Castor Stool Plus」。


〈Karimoku Case〉のトロリーを入り口として、日常のシーンを切り取った尾身さんの作品。


会場には3人の写真家が富士フイルムの「“チェキ” instax SQUARE SQ40」で撮影した写真も展示。


撮影現場の空気をそのまま閉じ込めたような、チェキプリントを見るのも楽しい。


柔らかな光が差し込む1階ギャラリー。


作品はすべて、〈カリモク家具〉製作のオリジナル木製フレームで額装。


会場となる『カリモク コモンズ トウキョウ』。3階建てのビルのリノベーションを手掛けたのは、建築家の芦沢啓治さん。

会場は、写真作品を展示する1階ギャラリーと、実際の家具をスタイリングした2、3階のショールームから構成されている。尾身さんが撮影した〈Karimoku Case〉の世界観を表現した2階、〈MAS〉と〈Karimoku New Standard〉が並ぶ3階。2、3階それぞれのフロアには、「“チェキ” instax SQUARE SQ40」が用意されており、訪れた人が自由に写真を撮ることができる。「1階で見た作品の世界観を感じてもらえたら」と作原さんがスタイリングをしたフォトスポットも用意されており、写真を見る/撮る/飾るを気軽に体感できる、貴重な機会となっている。

 3人の写真家とのコラボレーションについて、会場で作原さんに話を聞いた。

「いつも見る“インテリア写真”とは異なる視点で捉えた表現をしたいと思いました。作風も世代も異なる3人の写真家と対話を重ねながら、〈MAS〉、〈Karimoku New Standard〉、〈Karimoku Case〉の3つのブランドの魅力を写真に落とし込む。横浪さんと松原さんは、私が主宰するクリエイティブコミュニティ『mountain morning』に何度も参加してくださっていて、さまざまな提案からスタイリングのヒントをくれました。尾身さんとはインテリアだけの撮影をご一緒するのは初めて。でも、家具やスタイリングに対するリスペクトが常にあり、彼女らしい視点で撮影してくれました。『白い立体』の吉田昌平さんのアートディレクションのおかげもあって、写真としてはもちろん、展示としても新鮮なものに仕上がったと思います。いわゆる写真展ではなく、写真とスタイリング、プロダクト、編集、グラフィックデザイン、会場構成、そして来場者の方々。関わる人みんなで作り上げる企画展にしたいという思いが形になった、唯一無二の世界観を体感してほしいです」


空間にコンテンポラリーな魅力をもたらす〈Karimoku Case〉でスタイリングされた2階のショールーム。


尾身さんが撮影した膨大な数の写真から、ギャラリーでは展示しきれなかったアザーカットも並ぶ。


〈MAS〉や〈Karimoku New Standard〉で構成された3階ショールーム。


3階に飾られた横浪さんの作品。


松原さんとの撮影でのスタイリングを再現した3階のフォトスポット。


今回の展示のディレクション&スタイリングを手がけた作原さん。


被写体となった3つのブランドのアイテムは、1階ギャラリーにも展示されている。

 1階に展示された写真はすべて〈カリモク家具〉のオリジナル木製フレームとともに販売。また、作原さんがオリジナルのカラーを選んだ〈Karimoku New Standard〉の「Castor Stool Plus」限定モデルも販売する。

「DIALOG AROUND FURNITURE FUMIKO SAKUHARA meets 3 PHOTOGRAPHERS」、会期は9月23日(月・祝)まで。インテリアスタイリストと3人の写真家の手によって再発見する、今まで見えていなかった家具の表情と魅力。この機会に、自分の目で感じてみたい。

Special ProductCastor Stool Plus

本展の開催を記念して、作原さんがカラーリングをディレクションした 「キャストールスツールプラス」 の限定モデルが登場。MUSTARD/PURPLE/GRAY BEIGEの全3色で、座面裏には作原が主宰するクリエイティブコミュニティ「Mountain Morning」のロゴプレートが付属する。10月末までの受注生産で、展示会場とMountain Morningのオンラインショップで受け付ける。

受注期間:9/13 ~ 10月末日
お届け:12月末予定
販売価格:35,750円
*Karimoku Commons Tokyo 、Mountain Morningのオンラインストアにてオーダー可能。

photo : Satoshi Yamaguchi

Mountain Morning

Event InformationDIALOG AROUND FURNITURE FUMIKO SAKUHARA meets 3 PHOTOGRAPHERS

会期:2024年9月13日(金)〜23日(月・祝)
会場:カリモク コモンズ トウキョウ
東京都港区西麻布2-22-5
03-6805-0655
開)12:00〜18:00
入場無料

【写真の販売に関して】
販売アイテム:各写真家の写真をEdition 1のみ販売(展覧会で飾っているもの)
額装:カリモク家具
価格帯:大:¥220,000、小:¥88,000 *送料別
販売期間:展覧会会期中

公式サイト

photo : Shota Matsushima