【看護師の面接対策】よく聞かれる15の質問と回答例、見られるポイントを解説

1.看護師の面接で見られるポイント4つ

面接では受け答え以外にも、応募者の立ち居振る舞いも踏まえて総合的に合否が判断されます。看護師の面接で採用担当者が見ているのは主に次のような点です。

コミュニケーション能力

自分の伝えたい内容をわかりやすく的確にまとめる表現力や相手の発言に対する傾聴力は看護師に欠かせないスキルです。質問に答える際は結論から話し、会話のキャッチボールを意識しましょう。

一般常識・マナー

業務上多くの人と関わりを持つ看護師は、一般常識や基本的なマナーを備えていることが大切です。あいさつができる、感謝や謝罪をきちんと伝えることはもちろん、面接会場でスマートフォンをいじらない、TPOをわきまえた行動を取るといった部分もチェックされます。

身だしなみ

面接の場にふさわしい服装や髪型、清潔感があるかどうかが見られます。とくに看護師の場合は勤務中の爪の長さやヘアスタイル、アクセサリー類などに規定がある職場もあるため、面接時から注意しておくと良いでしょう。

仕事に対する意欲

応募者の意欲は、志望動機の内容だけでなく話す姿勢や表情からも伝わるものです。視線が泳いだり表情が暗かったりするとマイナスな印象を与えますので、明るい表情と良い姿勢を心がけましょう。

2.看護師の面接で聞かれる質問・回答例

ここからは、看護師の面接でよく聞かれる質問とその回答例を紹介します。前提として、面接官が聞きたいのは立派な模範回答ではなく、あなたの考えや人となりがわかる回答です。以下の例を参考に、あなたらしさが伝わる受け答えを心がけてみてください。

自己紹介・自己PRに関する質問

Q「自己紹介をお願いします」

自分の名前と経歴、志望理由、締めのあいさつを簡潔に伝えます。最初の質問なのであまり長くは話さず、30秒〜1分程度を目安にまとめましょう。

回答例「◯◯◯◯（自分の姓名）と申します。看護師として◯年働いており、急性期の病棟勤務のあとホスピス型有料老人ホームに◯年勤務しています。これらの経験で、急変に対処するスピード感と患者さんにじっくり向き合う姿勢が培われました。昨年、緩和ケアの認定看護師を取得し、今後はよりきめ細かい緩和ケアに取り組みたく、終末期医療に力を入れている御院に応募いたしました。本日はよろしくお願いいたします」

Q「自分自身をどのような性格だと思いますか」
Q「長所と短所を教えてください」

この質問では「客観的に自分をどう捉えているか」が見られます。長所は応募先の職場でどのように活かせるかを伝えます。短所の伝え方には注意が必要で、悪い点をそのまま伝えて終わるのは禁物です。裏を返せば長所とも捉えられる内容を選んだり、克服のために取り組んだエピソードを紹介したりするなど、ポジティブな内容に変換するようにしましょう。

回答例「私はどんな状況でも冷静さを保つことができます。長年救急医療の現場に携わってきたため、緊急事態において速やかに的確な判断を下すスキルが身につきました。一方で、責任感から自分に負荷をかけすぎてしまう面もあります。任せられた仕事がキャパオーバーとなり体調を崩した時期もありました。現在はその反省を活かし、適切に周囲を頼ることも意識しています」

志望動機に関する質問

Q「志望動機を教えてください」

志望動機は応募先の法人理念やサービス内容、独自性などを踏まえたうえで「この職場だからこそ働きたい」という気持ちを伝えることが大切です。さらにこれまでの経験やスキルをもとに、その職場でどのような貢献ができるのか伝えると良いでしょう。

回答例「新卒から手術室で6年間働いてきましたが、看護師としての基礎スキルを高めるために経験を積み直したいと思い、転職を決めました。御院を志望した理由は、急性期から回復期、訪問看護と多くのサービスを提供するなかで、幅広い技術を身につけられると考えたためです。手術室で培ったチームワーク力や緊急時の対応力を活かし、どのような場面でも対応できる看護師として活躍できるよう頑張りたいと思います」

Q「入職後に取り組みたいことはありますか」

その職場で何を成し遂げどのような貢献ができるのか、また本人の希望を叶えられるのかを確認する質問です。自由に答えてOKですが、事前にしっかりと応募先の組織や業務内容について調べたうえで、現実的な内容を答えましょう。とくに未経験者の場合、下調べが不足していると、実際の業務とは異なる的外れな回答になってしまうことがあります。

回答例「患者さんとのコミュニケーションを大切にし、入院生活を快適で安心して過ごせる環境づくりに力を入れたいと考えています。具体的には対話することを心がけ、それぞれのニーズや希望を把握することで、一人ひとりに寄り添った看護を提供できるよう努めたいです」

Q「前職の退職理由／転職理由を教えてください」

中途採用の人が必ずと言っていいほど聞かれる質問です。「職場の人間関係が悪かった」「残業が多く、給料が少なかった」など前職の悪いところを正直に伝えてしまうと、「思うようにいかないときにまた辞めてしまうのでは」と思われてしまいます。たとえネガティブな原因だったとしても、転職理由は「自分のやりたいことを実現するため」「スキルアップのため」など、前向きな理由を伝えるようにしましょう。

回答例「転職を考えた理由は、新しい環境で自身のスキルアップを図りたいと思ったからです。現在の仕事はやりがいはあるものの、小規模のクリニックで経験できる症例が限られており、専門性や知識の研鑽に限界を感じていました。一人ひとりに関わる丁寧さはそのままに、規模の大きな総合病院で働くことで、これまでとは異なる体制での働き方や新しい知識を身につけ、自身の看護スキルを高めたいと考えております」

仕事・経験・スキルに関する質問

Q「看護師を目指したきっかけを教えてください」

看護師を目指したきっかけを聞くことで、「応募者の人となり」や「看護職に対する思い」を確認する質問です。きっかけは人それぞれなので、エピソードを交えながら具体的に伝えるようにしましょう。

回答例「私が看護師を目指したきっかけは、幼少期に病気を抱え、医療のお世話になる機会が多かったためです。とくに入院中に優しく寄り添ってくれた看護師さんに感銘を受け、自分も同じように誰かの心と健康を支える仕事に就きたいと考え、看護師になる道を選びました」

Q「仕事をするうえで心がけていること／看護観を教えてください」

この質問では、あなたが看護師として働くうえでの信念を聞くことで、応募先の理念や方針と合っているかを確認しています。まず結論を伝え、続いて具体的な理由を説明しましょう。自身の心がけていること／看護観をもとに実際に取り組んだエピソードを聞かれる可能性もあるので、回答できるよう用意しておくと安心です。

回答例「私が大切にしている看護観は、”病気ではなく人をみる看護“です。看護師として働いていると、その方個人ではなく疾病ばかりに注目しがちです。しかし、医師よりも患者さんに近い存在だからこそ、日々のコミュニケーションを重視し、お一人おひとりと向き合うことを大切にしています」

Q「これまでの仕事で印象に残っていることを教えてください」
Q「印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか」

看護師としてこれまでにどのような経験をし、どう対応してきたのか、そしてその出来事をどう捉えているかを聞く質問です。エピソードの状況を説明し、そのうえで自分が学んだことや成長した点に触れるようにしましょう。

回答例「前職の訪問看護ステーションの仕事でとくに印象深く残っているのは、ALS患者さん宅を訪れていたときです。転職したてで訪問看護に慣れず、初めてのALS患者さんとの向き合い方に迷っていた私に対し、ご自身もつらいなか困りごとや気持ちを熱心に伝えてくださり、訪問看護師として必要なことを教えてくれた方でした。その方との別れはとても悲しいことでしたが、それ以上にその方が教えてくれた教訓を胸に、今ではどのような環境の患者さん宅でも明るく訪問することができるようになりました」

Q「インシデントの経験はありますか」

医療現場ではどんなに気をつけてもインシデントは発生することがあります。そのためインシデントの経験がある場合は正直に伝え、どう対処し、その反省から何を得たかまでを伝えましょう。

回答例「以前に一度、同姓同名の患者さんに対し、投与する薬を取り違えそうになったことがあります。幸い直前に間違いに気づき事なきを得ましたが、その後も同様の誤りが起きないよう、管理方法を見直すこととなりました。インシデントが発生した際は部署内でしっかりと共有し、改善方法まで考えることが重要だとあらためて痛感した出来事でした」

労働条件・働き方に関する質問

Q「夜勤／残業はできますか」

家庭の都合などで夜勤や残業が難しい場合、答えづらい質問かもしれません。しかし対応できると取り繕ってしまうと入職後トラブルに発展しかねないため、正直に伝えたほうが良いでしょう。その際には「夜勤は一切しません」と強気な態度ではなく、理由とともにできる限り努力する姿勢を見せると角が立ちにくいです。

回答例「まだ小さい子どもがいるため、基本的には日勤を希望します。しかしほかの方とのシフトの都合上、夜勤や残業が必要な際にはできる限り入れるよう調整したいと思っています」

Q「希望の診療科に配属されなかった場合はどうしますか」

複数の診療科を持つ病院の場合、必ずしも希望の診療科に配属されるとは限りません。希望が叶わなくても柔軟に受け入れる姿勢を伝えましょう。ただし、本当に希望の診療科でなければ入職しないほどの強い意思がある場合は、正直に伝えて問題ありません。

回答例「希望以外の診療科に配属された場合でも、新しい環境で学べることは多いと考えています。看護のスキルや知識はさまざまな診療科で応用がききますし、新しいチャレンジを通じて成長できる機会と捉え、精進いたします」

Q「ほかにも選考を受けていますか」

この質問に対して「御院しか受けていません」と答えることで志望度の高さをアピールする人がいますが、事実でないのなら選考状況は正直に答えるようにしましょう。ほかに選考を受けているからといって一概に評価が下がるわけではなく、採用側は複数の応募者の採用スケジュールを調整する目的や、応募者の志望先に一貫性があるかどうかを確認するために質問していると考えられます。

回答例「現在は心療内科のクリニックを1件、精神科クリニックを1件受けています。心療内科は今週末に最終面接、精神科のほうは一次面接の日程調整中です」

Q「何か質問はありますか」（逆質問）

面接の終盤では、応募者からの質問である逆質問を尋ねられることが多いです。その際に「とくにありません」という回答では、意欲が欠けている印象を与えてしまいます。少なくとも3つ程度は事前に質問を用意しておくと良いでしょう。

質問内容は自分が聞きたいことでOKですが、「事前に調べればわかる情報」「面接官がすでに説明したこと」「福利厚生や待遇面に関することばかり」を質問するのはNGです。もし準備していた逆質問の答えがそれまでの会話で登場した場合は、「お聞きしたかった質問はこれまでのお話で解消できたため、追加ではありません」などと伝えると好印象です。

逆質問は自己アピールや有用な情報を得られるきっかけにもなるため、上手に活用しましょう。

回答例「院内の研修や勉強会があれば教えていただきたいです。日々の業務だけでなく、最新の知識や情報を欠かさず学びたいと思っており、そういった機会があれば積極的に参加したいと思っています」