今から20年ほど前の話です。私の知人の地域では、毎年夏に家族ぐるみでバス旅行をするのが恒例行事。知人が35歳のとき、6歳と2歳の子どもを連れてバス旅行に参加したそう。この年の行先は県外の大型プール。人気のスポットで人が多いため、ひとりでお世話ができるか不安もあったそうですが、気の知れた近所の人たちと子どもたちと楽しい時間を過ごせたそうです。しかし、帰りの時間が迫ってくるころ、最悪な事件が起こるのでした。

バス旅行は県外の大型プール!

知人の地域では、夏のバス旅行が毎年の恒例行事。子どもから大人まで総勢約40名が参加し、1台のバスを貸し切ります。その年のリーダーと副リーダーが、旅行の計画から準備、当日の段取りまで責任を持ち、皆をまとめるのだそう。あいにく、知人の夫は都合が悪く、知人と子どもたちだけでバス旅行に参加することに。参加メンバーはご近所さんばかり。近所の子ども同士も仲良しなので、知人は子どもたちのためにと参加を希望したのだそう。

この年の行き先は、県外の大型プール。子どもたちは大喜びで、前日から準備をして張り切っていたのだとか。バス旅行の当日の朝、総勢約40名を乗せたバスが出発。道中は歌を歌ったりおやつを食べたりと、大人も子どもも大はしゃぎだったそう。途中にトイレ休憩を挟み、約1時間でプールに到着。プールに入って遊んだり、お昼ごはんを食べたりしながら各々帰りの時間まで楽しく遊んでいました。

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楽しい思い出を破壊する事件が

帰りのバスの集合時間と出発時間はリーダーから参加者にあらかじめ伝えられていて、その時間を気にしながら行動していた知人。集合時間が近づき、知人と子どもたちは着替えを済ませて荷物をまとめ、バスへ向かおうとしていました。すると、知人の6歳の長女が「ママ! トイレに行きたい!」と言います。知人はバスへ集合する時間が迫っている中、長女の手を引き、2歳の長男を抱っこしてお手洗いに連れて行ったそう。なんとか子どものトイレが間に合い、ホッとしてトイレから出た瞬間……「ブーン」と、知人たちが乗るはずのバスが目の前を通り過ぎて行きました。

「え!? 何で!? 私たちここにいるのに!!」

知人は、焦りや疑問や怒りでぐちゃぐちゃな状態に。知人はバスに気付いてほしい一心で、バスに向かって自分が履いていたサンダルを投げました。サンダルは見事バスに命中! しかしバスに乗っている人は誰1人としてサンダルが当たったことに気付かず、バスはそのまま行ってしまいました。

県外のプールに取り残されてしまった知人と子どもたち。子どもたちは、皆に置いて行かれたことが悲しくて泣きだしてしまったのだとか。バス旅行のメンバー皆が近所の人。仲の良いママ友、子ども同士も同級生で仲良しな子もいます。「バスが出発するときにリーダーは人数確認をしなかったのかな? さっきまで一緒に遊んでいたのに、私たちの存在に誰も気付かなかったのかな?」と、虚しさと怒りで爆発しそうだったと知人は語っていました。