私はむかーし台北に住んでいたことがあり、小さい頃から異国情緒あふれる、エキゾチックなものに惹かれます。たぶん魂が半分くらいそっちのほうにあるんですよね。ブランドものでもない、なんてことのないこのお盆は、暑くて賑やかで、楽しい、大好きな台北を思い出させてくれます(台北のものでは、ないのですが)。できるだけ長くいい場所に飾っておきたいと思う今日この頃です。

おしゃべりみたいな打ち合わせで、気づいたこと。

今回の特集は、「使い続けたくなる、愛しいもの」。スタイリストさん、ライターさんと企画を始めるにあたって「ずっと大切にしたいものってなんだろう?」という最初の打ち合わせをしたときのこと。みんなで頭を悩ませました。
だって、私もあなたも、毎日気分は変わるし、今日と明日で着たい服も、纏いたい香りも違う。10年後同じ考えでいられるとは限らない。使い続けたい、という気持ちを時間で捉えるのは難しくないですか。
確かに。そのまま、会話は続きます。
一生使い続けることができたら、それはとても素敵なことだけど、でも、たとえば、手放すときが来ても、ときめいて手に取った記憶はきっと心に残るはずで。「使い続けたい」という言葉が、自分の考えを縛りつけるのではなく、日々変わり続けていく自分を肯定してくれるものなら、いいですよね。使い続ける、というある意味矛盾のある行為の謎が、すとんと解けた気がして、みんなで頷きあいました。

さて、話に出てきたスタイリストさんは、井伊百合子さん。もう何年も&Premiumのファッション号で、もの選びの企画を担当してくれています。ただ素敵なものをずらりと並べて紹介しているだけではなく、彼女の視点と言葉で紡がれるこの企画は、いつも新鮮な気づきを与えてくれます。
編集部やスタッフさんとの、こんなおしゃべりみたいな打ち合わせから、いつも企画は動き出します。写真と、井伊さんの言葉で完成される企画、ぜひ、じっくり読んでいただいたいです。

(本誌編集部/H)

&Premium No. 131 LONG-TIME STAPLES / 使い続けたくなる、愛しいもの。

ファッションやライフスタイルにまつわるもの選びにおいて、時間をかけて長く付き合っていく姿勢が、これまで以上に必要とされているように思います。でも、ただ漫然と「長く使い続ける」ことだけが重要ではなく、それを使ったり、身に着けたときに、出合った頃と変わらぬ「愛おしさが続いている」ことも、忘れてはならない大切な要素なのではと考えます。初めて手にしたときの高揚感、作り手のこだわりに惚れ惚れとしたこと、使い続ける日々の中で紡がれた大切な思い出……。そういったさまざまな「記憶」が、人とものを、長きにわたって、幸せなかたちで繫ぎ合わせていくのです。〈ミナ ペルホネン〉のデザイナー・皆川明さんをはじめ、たくさんの方々に「使い続けたくなる、愛しいもの」にまつわるエピソードについて聞いてみました。

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