今週のテーマは「毎回食事だけで解散する男。その真相は…?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:「5回も会ってるのに進展なし」毎回素敵なお店でご馳走もしてくれるけど、彼は何考えてるの?
夏子との食事を終え、無事に彼女がタクシーに乗ったのを見届けてから、僕も自宅のある目黒方面へ向かうタクシーを拾う。
「夏子と会うのは、今日で5回目か…」
夏子と初めて会った時から換算すると、今日で5回目。二人きりでのデートは4回目だ。
もしかしたら、夏子はヤキモキしているのかもしれない。「毎回食事だけで終わるこの関係はなんなのか」と思っている可能性もある。
夏子はとても良い子で、35歳という年齢にふさわしく落ち着いていて、話も合う。僕の年齢を考えると、良いバランスだと思う。
でも僕が手も出さず、口説きもしない理由はなんなのか?
それは僕の経験値から来るものなのかもしれない…。
A1:「もう一度食事へ行きたいな」とは思った。
夏子と出会ったのは、女友達の真由が開催してくれた食事会だった。真由から「涼さんに、紹介したい子がいる」と言われ、3対3で食事をすることになった。
今年で43歳になる僕は、バツイチ子なしの独身だ。会社を経営しており、経済的に余裕もあるほうだと思う。
最近食事会もなかったので、久しぶりの参加だった。
夏子の初対面の印象は、落ち着いていて綺麗な子だな、という感じだ。
また実際に話してみても、感じも良い。そもそも真由の紹介だという安心感もあり、僕は食事会の後に早速二人きりでの食事へ誘ってみることにした。
◆
夏子との初デートは、浅草にある『nacol』にした。生ハムが主役のコース仕立てで、僕自身も行ってみたかったお店だ。
実際に足を運んでみるとどの料理も素晴らしかった。特にスペシャリテの「生ハム、発酵バター、ブリオッシュ」は、極薄にカットされた生ハムが最高に軽やかで、下のブリオッシュのバターのコクと爽やかな生ハムの塩味が見事な逸品だった。
美味しくて思わずお互い顔を見合わせる。
またカウンター席だったこともあり距離も近く、夏子との初めての食事は順調に進んでいく。
「涼さんって、グルメなんですね」
「そうかな。食べることが好きで。夏子ちゃんは?普段、どういうお店へ行くの?」
「私は結構ミーハーなので、流行りのお店とか好きです」
「最近は?どこか良いお店あった?」
夏子もグルメなようで、お互いの最近のヒット店や、お気に入りの店などの話に花が咲く。
「わぁ、美味しい♡」
しかも美味しそうに食べる夏子が可愛くて、僕は「彼女を連れてきて良かった」と思った。こうやって、喜んでもらえると嬉しい。反応が良い子はまた一緒に食事をしたくなるものだ。
それにやっぱり、美味しいご飯は素敵な人と食べるに限る。最近こういうお店へ誘える子も少ないので、夏子との出会いに感謝だった。
「カラスミ、発酵バター」などの料理と共にワインも進み、僕たちの時間は楽しく流れていく。
「夏子ちゃんって、本当に美味しそうに食べるね」
「バレました?食いしん坊で…」
「いいじゃん、最高。何か好きな食べ物とかあるの?」
「いっぱいありますよ!」
そんな会話をしているうちにあっという間に時間は過ぎ、僕たちはもう1軒行くことにした。
雰囲気も良いし落ち着いているし、話しやすい夏子のことを、僕は純粋に恋愛対象として良いなと思った。
だから2軒目で、一応彼氏がいるのかどうか、お伺いを立ててみる。
「ちなみに、夏子ちゃんって今彼氏いるの?」
「私はいないですよ」
「そうなんだ、良かった。また食事に行かない?二人きりで」
そう言うと、嬉しそうに頷いてくれた夏子。こうして、僕たちは何度か二人で食事へ行くことになった。
A2:色々と考え過ぎて、動けなくなっているから。
そこから、夏子と二人で食事へ行く仲となった。
会うと毎回楽しいし、食事も“倍”美味しくなる。それに夏子は気遣いも素晴らしく、ご馳走したら必ず丁寧なお礼のLINEをくれ、居心地も良い。
ただ、彼女との関係を進められない自分がいた。
「涼さんって、本当にいつも美味しいお店へ連れていってくれますよね。ありがとうございます」
二人で会うのは四度目となるこの日も、食事をしながら、夏子はニコニコと楽しそうにしている。
「でもさ、結局食事って。誰と食べるかが一番大事だよね」
心から、そう思っている。だから夏子との食事は楽しい。でもそろそろ、自分でもわかっている。夏子的に、「この関係って何だろう?」と思っていそうなことに。
そんな僕の予想は的中し、この日は珍しく夏子はグイグイ攻めてきた。
「涼さんって、好きな人ができるとどうなるんですか?自分から行くタイプですか?」
「僕?そうだなぁ。自分から行くけど、最近はもうガツガツいく体力がないかも」
そう。最近すべて、これに尽きる。
夏子は良い子だし、このまま発展してもいいなと思っている。
ただ追いかけるほどの体力がない。30代の時までは、まだ恋愛に対して自分からも動けたし、活力もあった。
でも今は下手に動いて傷つくくらいなら、今ぐらいの適度な距離感を取れている関係のほうが、自分的に楽になってきてしまった。
「でも、すごく好きな子ができたらどうするんですか?」
「そしたら積極的に行くかもだけど…」
そしてもう一つ。夏子に自分から行けない要因として、女性側の年齢にも理由がある。
軽い関係の子だったら良いけれど、夏子は真剣に付き合ってほしそうだし、大切に扱わないといけないと思う。
また夏子の年齢的にも大事な時期だろうし、中途半端なことをするのは申し訳ない。結婚もしたいだろう。遊びで終わり…というわけにはいかなさそうだ。
だからこそ慎重になるし、下手に手も出せない。これがもっとライトな感じだったら…例えば、結婚という重圧が背後に見え隠れしていないような感じだったら、もっと僕も動けていただろう。
でも35歳という夏子の年齢を考えると、そうはいかない。
「夏子ちゃんは?結構自分から行く人?」
「いえ、私は全然自分からいけなくて…。基本的に待ちですね」
「そうなんだ。大人になると、難しいよね、恋愛は」
決して、彼女に非があるわけではない。ただタイミングとテンションが今は合わないだけのこと。
自分自身がどうしても慎重にならざるを得ず、そしてそうなると“面倒だな”と思ってしまい、一歩踏み込むのが億劫になっている自分がいる。
それに無駄な下心も特にわかず、だから毎回、食事だけして終わり…という、中途半端な感じになってしまっている。
▶【Q】はこちら:「5回も会ってるのに進展なし」毎回素敵なお店でご馳走もしてくれるけど、彼は何考えてるの?
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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