花毎の花言葉・ホトトギス「審美眼」
花が少なくなる秋に、繊細な色柄の趣ある花を咲かせることからか「杜鵑草」の語は白露から秋分の時季にあたる仲秋の季語であり、一輪でも印象的な佇まいから、茶室の花としても古くから親しまれている数寄者好みの花です。
一方、ホトトギスに付けられた一般的な花言葉は、花が途切れることなく長く咲いていることから「永遠にあなたのもの」や、日陰を好む性質からか「秘めた思い」とされています。
野に咲くホトトギスは花の斑点が迷彩模様のようでもあり、気にしなければ景色に埋もれてしまうような花です。しかし、自然をじっくりと観察する気持ちがあれば、静かに主張するこの花の存在に気づくことでしょう。さらに近寄ってみれば、複雑な花の構造とそれを彩る色や柄に心惹かれてしまうかもしれません。
誰にでも見つけられるものではない美。
そんな花ともいえるホトトギスには「審美眼」という、花毎の花言葉を贈りたいと思います。
文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
水上多摩江
イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など