遺産分割調停が不成立になると…

遺産分割調停が不成立となると、自動的に遺産分割審判へと移行します。遺産分割審判とは、諸般の事情を考慮したうえで、裁判所が遺産の分割方法や分割内容などを決める手続きです。

遺産分割調停が不成立となった場合は、その後遺産分割審判に自動的に移行するため、相続人は別途審判申立ての手続きなどをする必要はありません。

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不成立後の流れ

遺産分割調停が不成立となると、その後の流れはどのようになるのでしょうか? ここでは、遺産分割調停が不成立となった場合の一般的な流れについて解説します。

遺産分割審判の必要書類を用意する

先ほど解説したように、遺産分割調停が不成立になると、自動的に遺産分割審判へと移行します。遺産分割審判では、証拠が特に重視されます。そのため、審判に移行することとなった時点で、自らの主張を裏付ける証拠を準備しておかなければなりません。必要な書類や証拠は遺産の内容や主張したい内容などによって異なるため、遺産分割事件に詳しい弁護士にご相談ください。

第1回目の審判期日が開かれる

遺産分割審判に移行すると、第1回期日が開かれます。遺産分割調停では相手方とは待合室もわけられており、原則として直接顔を合わせることはありません。

一方で、遺産分割審判では、原則として相手方も含めて一堂に会することとなります。そのため、相手方と会いたくない場合には、弁護士に代理で出席してもらうことも検討するとよいでしょう。

数回の期日が開かれる

遺産分割審判が1回の期日だけで終結することは稀であり、数回の期日が開かれます。期日は双方の主張が出し尽くされるまで開かれるため、6回から10回程度、場合によってはそれ以上が開かれることとなります。

また、期日と期日とのあいだは、1ヵ月から1ヵ月半程度開くことが一般的です。そのため、遺産分割調停が不成立となってから遺産分割審判が終結までには1年前後を要することが多く、なかには2年以上もの期間を要するケースもあります。

審判が下される

双方の主張が出し尽くされると、裁判所から審判が下されます。どの遺産を誰が受け取るのか、どのように遺産をわけるのかなどについて裁判所が決定します。審判による遺産分割は、法定相続分など法律どおりになされることが一般的であり、単なる心情面への配慮などから偏った配分をされることはありません。

そのため、唯一の遺産が1つの不動産だけであり、いまその不動産に居住しているなどの事情からこれを手放したくないと強く主張する相続人がいたとしても、法定相続分どおりに遺産をわける有効な方法がほかにないのであれば、この不動産を売ってその対価をわけるという内容の審判が下される可能性もあります。審判が下ると裁判所から審判書が交付され、これを使って遺産である不動産の名義変更や預貯金の解約手続きなどを進めることになります。

不服があれば即時抗告をする

遺産分割審判の結果に不服があれば、審判書を受け取ってから14日以内に即時抗告を行います。即時抗告とは、申立てをすることにより遺産分割について高等裁判所で改めて審理をしてもらうことです。

ただし、即時抗告をしたとしても、必ずしも自身の望む判断が下されるとは限りません。即時抗告をしたにも関わらず、原審と同じ結論となる可能性もあります。そのため、即時抗告をすべきかどうかは、弁護士へ相談したうえで判断するとよいでしょう。

一方、14日の期間内に即時抗告をしなかった場合はその時点で審判が確定し、その後はたとえ不服があったとしても、審判で確定した内容を覆すことはできなくなります。