肖像権使用同意書を取得せずに肖像権を侵害すると…
肖像権同意書を取得することなく他者の肖像権を侵害した場合、どのような事態が生じる可能性があるのでしょうか?
ここでは、肖像権侵害によって起きる可能性がある3つの事態の概要について解説します。実際に肖像権侵害をされてお困りの際や、肖像権侵害を主張されてお困りの際などには、弁護士へご相談ください。そのケースにおいてとり得る法的措置や対応などについて、アドバイスを受けることが可能です。
差止請求の対象となる
肖像権侵害をすると、差止請求がなされる可能性があります。差止請求とは、肖像権の侵害行為をやめるよう請求することです。
たとえば、肖像権を侵害する製品の製造と販売をやめることや配布物の配布をやめること、ホームページ上から問題の写真を削除することなどの請求が、これに該当します。
損害賠償請求の対象となる
肖像権侵害をすると、損害賠償(慰謝料)請求がなされる可能性があります。これらは、肖像権侵害によって生じた精神的苦痛(損害)を金銭に換算し、その金銭を支払うよう請求するものです。損害賠償請求などははじめから裁判上でなされるのではなく、まずは裁判外で請求されることが多いでしょう。裁判外で支払額についての交渉がまとまった場合は、その時点で解決となります。
一方で、裁判外での交渉が不成立となった場合は、裁判上での請求に移行することが一般的です。
企業イメージが低下するおそれがある
肖像権侵害をした場合、その企業や団体などのイメージが低下する可能性があります。特に子どもの肖像権侵害などでは敏感に反応されるケースがあり、SNSなどで「炎上」するおそれが否定できません。場合によっては、損害賠償請求などの法的措置以上に深刻な影響がおよぶおそれがあります。
なお、たとえ肖像権についての処理が甘かったとしても、当然ながらこれを理由に誹謗中傷してよいわけではありません。行き過ぎた誹謗中傷でお困りの際は、弁護士へご相談ください。
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肖像権使用同意書を作成する際のポイント
肖像権使用同意書は、どのような点に注意して作成すればよいのでしょうか?
最後に、肖像権使用同意書を作成するポイントについて解説します。なお、最適な肖像権使用同意書の条項や内容は、肖像権を使用する目的や状況などによって異なります。自社の状況に合わせた肖像権使用同意書を作成したい場合は、弁護士へご相談ください。
使用目的
肖像権使用同意書には、その肖像の使用目的を明記します。後のトラブルを避けるためには、使用目的はできるだけ具体的に記載すべきでしょう。使用目的として想定されるのは、次の内容などです。
・YouTubeチャンネル「〇〇」に掲載するため
・当社ホームページ、SNS(Instagram・Xなど)、チラシ・ポスター・パンフレットに掲載するため
使用目的が抽象的である場合は、後に「そのような目的では同意していない」などと主張され、トラブルとなるおそれがあります。
使用期間
肖像の使用期間に制限を設ける場合には、「同意書への承諾日から〇年間」などと期間を記載します。期間を定めず、「使用期間に制限は設けない」などとすることもあります。
使用料
肖像権使用同意書では、肖像権の使用料を記載します。無償とする場合は、「使用されたことによる金銭的対価を求めない」など、その旨を明記するとよいでしょう。使用料を支払う場合は、金額や支払期日、支払い方法を記載してください。後日支払う場合には、振込口座などの確認を忘れないよう注意しましょう。
権利の不行使
肖像権使用同意書では、権利の不行使について定めます。権利の不行使とは、肖像権の使用について損害賠償請求や差止請求、プライバシー権やパブリシティ権などの人格権の行使などを行わない旨を確認する規定です。
また、撮影した写真や動画のデータ、その写真を印刷したものなどを引き渡さない場合には、その旨も明記しておくとよいでしょう。