熱帯植物は、暑さに強い反面、冬になると越冬させるため室内に避難させる必要がありますが、スペース確保が難しく、栽培を断念しているケースが多いようです。そこで今回ご紹介するのは、寒さに強い熱帯植物。温暖化により越冬できる種類が増えている昨今、主に都心部(関東地方以西の平地)を基準に屋外で熱帯植物を越冬させるコツと、寒さに強いおすすめのトロピカルフラワー8種を園芸のプロが解説します。

トロピカルプランツを屋外で越冬させるには?


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熱帯原産の植物でも、寒さに強い植物があります。そのような植物なら、冬に室内へ移動しなくても屋外で越冬する可能性がある種類があるのをご存じでしょうか。寒さに強い熱帯植物が屋外でも越冬できる第一の条件は、主に霜が降りにくい地域で、霜が強く降りるような地域では、残念ながら屋外の越冬は難しいです。ですが、霜が少し降りる地域であっても、条件のよい場所を選び、防寒対策をすれば越冬できる可能性が高まります。

特に建物が密集している地域では、近年の温暖化の影響もあって、意外な場所で熱帯植物が越冬するケースが増えてきました。例えば関東地方では、南部の海沿いの地域や都心部が屋外で越冬させやすく、南向きのマンションの高層階などでも越冬する可能性があります。

冬越しを成功させるポイント

最も重要なポイントは、置き場所や植える場所。建物の北側は、冬の冷たい北風により植物が傷むことが多く、建物の南側なら温度も下がりにくいので植物が傷みにくい場所といえます。

また、寒さに強い種類であっても小苗は性質が弱く、屋外では枯れてしまうことが多いので越冬させたい植物は、できるだけ大株を育てることで、冬越しの成功率が上がります。

防寒対策として、株周辺に敷き藁などを厚く敷き詰めたり、不織布を全体にかけるなどの方法も有効です。対策を行うだけで成功率がかなり高まります。冬越し成功のポイントを押さえて育ててほしいおすすめの種類をご紹介します。

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ルリマツリ


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学名 Plumbago auriculata
和名 ルリマツリ
英名 Cape Leadwort
科名 イソマツ科
属名 ルリマツリ属(プルンバゴ属)
原産 南アフリカ

枝がよく伸びて垂れ下がり、爽やかな青色の花を春から秋まで長期間咲かせます。地植えすると枝葉が茂って横方向にもよく広がります。高い場所に植えると下垂する枝に多くの花を咲かせ、見応えがあります。周囲に広がらないように栽培するには鉢植えで育てるか、あんどん支柱などに枝を誘引します。

最低温度の目安は-5~-7℃です。関東でも多くの地域で越冬しやすいです。軽い霜に当たる程度なら耐え、地上部が枯れても根は生存して春に芽が出てきます。

育て方

日当たりと排水のよい場所が適します。半日陰でも花は咲きますが、枝葉が間延びして花付きが悪くなります。

鉢植えは、鉢土の表面が乾いたら水やりします。枝葉がよく茂っている株は、夏の晴れた日は毎日水やりしてください。地植えした場合は、ほとんど水やりの必要はないでしょう。

鉢植えで育てている場合は、5月から10月に3要素が等量の緩効性化成肥料などを十分与えるようにしてください。

地植えした場合は根がよく発達するので、多く与える必要はありません。春の5~6月と、秋の9月の2回与えればよいでしょう。