コエビソウ
Fabrizio Guarisco/Shutterstock.com
学名 Justicia brandegeeana
和名 コエビソウ(小海老草)
英名 Shrimp Plant
科名 キツネノマゴ科
属名 キツネノマゴ属
原産 メキシコから中央アメリカ
連続開花性に優れる多年草で、エビのように見える重なりあった苞がユニークで美しいです。日当たりのよい場所ではよく分枝してブッシュ状の草姿になります。日照が不足気味の場所では枝がよく伸びて1m以上の高さになり、壁や他の植物などに寄りかかるように生育します。深刻な病害虫の発生がなく、丈夫で育てやすいです。花壇に植えてもよく、ユニークな姿で人目を引きます。
-5℃程度までの低温に耐えます。室内で冬越しさせると、暖かい部屋では花が咲くことがあります。
近年は流通量が少なくなっています。長期間花が楽しめて育てやすいので、見直したいトロピカルフラワーです。
育て方
日当たりから半日陰の肥沃で湿り気のある土壌を好みます。乾燥を嫌うので、風当たりの強い場所は避けてください。明るい日陰でも花が咲きますが、あんどん支柱など支えが必要です。鉢植えは、夏は西日の当たらない半日陰に移動したほうがよいです。
水やりは、春と秋は乾いてから、夏は毎日与えます。
長期間花が咲くので、鉢植えでは肥料を十分与えるようにしてください。5月から10月に、リン酸が多めの緩効性化成肥料などを規定量与えます。地植えした場合は5月と7月、9月に、様子を見ながら2~3回与えてください。
(広告の後にも続きます)
ランタナ
Nuk2013/Shutterstock.com
学名 Lantana
和名 七変化(しちへんげ:ランタナ・カマラ)
英名 Common Lantana
科名 クマツヅラ科
属名 ランタナ属
原産 熱帯アメリカ
ランタナの仲間で栽培されているのは、低木状になるランタナ・カマラ(Lantana camara)と、匍匐性のコバノランタナ(L.montevidensis)、両種の交配種などです。また、一般的にランタナと呼ばれているのは、ランタナ・カマラと交配種です。
これらは、連続開花性が強く、暑さに負けずに春から秋まで花が咲き続けます。その丈夫さは、花壇苗の中でも最高レベルの強さです。ただし繁殖力の強さから熱帯から亜熱帯地域では深刻な雑草となっています。種子のできない「ブルーミファイ」シリーズや、交配種の種子ができにくい品種などを植えれば、むやみに繁殖することはないでしょう。
-5℃程度の耐寒性があり、軽い霜に当たると地上部の大部分が枯れますが、根元付近が生き残ります。
育て方
日向から半日陰が適します。土壌は比較的選ばずよく育ちます。
鉢植えの水やりは、春と秋は乾いてから、夏は毎日与えます。地植えは、夏に雨が降らずしおれてきたら水やりしてください。
鉢植えは5月から10月に、リン酸が多めの緩効性化成肥料などを規定量与えます。地植えした場合は5月と9月に与えればよいでしょう。
ピンクバナナ
LakedemonPhoto/Shutterstock.com
学名 Musa velutina
英名 Pink Banana、 Hairy Banana
別名 アケビバナナ、ベルチナバナナ
科名 バショウ科
属名 バショウ属
原産 インド
耐寒性のあるバナナの仲間で、高さは2mほどになります。みずみずしく大きな葉のある株姿は、花がなくてもトロピカルムードの演出に最適です。ピンク色の花や実はユニークで美しく、多くの人の目を引き付けることでしょう。冬に地上部が枯れても、春に芽を出して夏から秋にかけて花を咲かせて実を付けます。
果実はタネが非常に多いですが甘く、アケビのように食べることができます。果実は熟すと裂け、鳥や虫などに食べられることが多いです。
育て方
日当たりがよく、肥沃で湿り気のある土壌を好みます。ただし雨が降った後などに水がたまるような場所は避けてください。また強風で傷みやすいので、吹きさらしのような風当たりの強い場所は避けてください。
地植えした場所の土壌が乾燥した場合は、水やりしたほうが早く育ちます。鉢植えは春は鉢土が乾いてから、夏から秋は晴れの日は毎日与えてください。
生育が旺盛で早いので、5月から10月の生育期間は肥料を骨粉入りの油粕や3要素が等量の化成肥料などを十分与えるようにしてください。
鉢植えで育てる場合は、入手したポット苗を6号鉢に植替え、最終的に10~12号鉢くらいの鉢に植えます。
冬は株の周辺などに敷き藁などを敷いて防寒対策をするとよいでしょう。
(広告の後にも続きます)
越冬するその他のトロピカルフラワー
今回ご紹介した8品種の他にも、東京に似た気候の地域ならば屋外で越冬できる種類は、以下を参考にしてください。
ウキツリボク/ランタナとコバノランタナ/ミッキーマウスの木/ブーゲンビレア/シコンノボタン/ヤコウボク/エンジェルストランペット/トケイソウ/パッシフロラの園芸品種/ヘディキウム
トロピカルフラワーを屋外で育てるポイント
Hakan Tanak/Shutterstock.com
冬の冷たい北風が当たる場所は避ける
敷き藁などの防寒対策が有効
建物の近くは温度が下がりにくい
大株は越冬しやすい
紹介した植物は、地植えすれば放置気味でも育ち、花が長期間楽しめるものばかりです。冬越しして大きく育った株は、珍しさもあって大いに人目を引く美しさです。あまり手間をかけずにトロピカル風の価値の高いガーデニングを楽しめるので、ぜひ栽培に挑戦してみてください。
Credit
文 / 小川恭弘
– 園芸研究家 –
おがわ・やすひろ/1988年、東京農業大学農学部農学科卒業。千葉県館山市の植物園「南房パラダイス」にて観葉植物、熱帯花木、熱帯果樹、多肉植物、ランなど温室植物全般と花壇や戸外植物の育成管理のほか、園全体のマネジメントなどの業務に18年携わる。現在フリーランスとして活動。著書に『わかりやすい観葉植物』(大泉書店)、『ハイビスカス』(NHK出版)がある。