能登半島地震からもうすぐ10か月。その被災地で、今度は大雨による被害が拡大している。2024年9月21日以降、石川県輪島市や珠洲市、能登町の「奥能登」を中心に土砂崩れや冠水が発生。道路の寸断で、多数の集落が孤立した。

輪島市では、地震の被災者向けに建てられた仮設住宅が浸水した。現地に入っている災害支援団体に取材すると、「心が折れかけている人も多いようです」と語り、住民のつらい心情が伝わって来た。

土砂崩れや河川の氾濫「状況は深刻」

能登半島地震の被災地である輪島市と珠洲市で、住民のサポート活動を続けるピースボート災害支援センター(PBV)事務局長・上島安裕さんに取材した。22日に輪島市に入り、取材時点では見た場所は限られているとの話だったが、「状況は深刻」という。

石川県の発表によると、22日16時現在で住宅被害は、輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町いずれも「調査中」となっている。状況が確認できていないようだ。上島さんは、「最低でも500世帯ほどが床上浸水している」と考える。

土砂崩れで国道や県道がふさがれ、河川の氾濫によりあちこち冠水したうえ、住居が押し流されたケースも。23日17時現在、石川県全域で3500戸が停電しており、断水も解消していない。

豪雨災害は、復旧活動において地震とはまた別の対応をしなければならない。家に流れ込んだ泥のかき出しや、水につかった家財道具を運び出して洗浄と乾燥。これだけでも重労働で、多くの人手が必要になる。停電や断水が長期化すれば、炊き出しのような食の支援も欠かせない。

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「振り出しに戻ってしまいました」

石川県の発表では、22日16時現在、孤立集落が輪島市で99か所、珠洲市で13か所、能登町で3か所となっている。

このうち、珠洲市宝立(ほうりゅう)地区と大谷地区は、記者が6月下旬に取材した。宝立地区は能登半島地震での被害が大きく、取材当時でも損壊した家屋がそのまま残され、帰還できない住民が多かった。

大谷地区は珠洲市中心部から離れた沿岸部で、あちこちの道路が地震でダメージを受けたため、回り道をして訪問した。応急的に補修した道路も多数見られた。今回の豪雨で、交通への影響が長期間に及ばないかが心配される。

能登半島地震における自衛隊の災害派遣活動が終了したのは、8月31日。ようやく復興への道筋が見えてきたのに――。上島さんは、「全てがリセットされ、振り出しに戻ってしまいました」と語った。住民だけでなく地元の災害対応関係者、外部からの支援者にとっても、喪失感が大きいという。

1年に2回も巨大災害に見舞われ、被災者の疲労は濃い。ボランティアを含めた支援が、またも必須となった。

(J-CASTニュース 荻 仁)