文章を書く際には簡潔に情報をまとめることが大切です。しかし、長々と書いた挙句、何を言いたいのかよくわからない文章になってしまうということは少なくありません。そんな悩みを解決する第一歩として、文章の無駄を削ってみましょう。山口謡司氏の著書『言語化100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、わかりやすい文章を書くポイントを見ていきます。
パッと浮かんだ文章に使いがちな「余計な言葉」
一度書いてから文章を読み直してみると、意外に無駄な言葉を使っているものです。「頭に浮かんだこと」を文章として言語化したときに出てくる余計な言葉は、思い切って削ってしまいましよう。
なぜ余計な言葉を入れてしまうのかというと、理由が3つあります。会話をするときに使っている言葉のクセが出てしまう。より情報を詳しく伝えたいと思う心が強くなりすぎてしまう。自分が書いた事実や意見をはっきり断定してもいいのか迷ってしまう。
こうして生まれた余計な言葉は、相手が文章を読むリズムをとめてしまいます。あなたが本当に伝えたいことも、伝わりにくくなるので、削った方がいいのです。
とはいえ「文章のどの部分が無駄なのかわからない」という人も多いでしょう。余計な言葉は無意識のうちに書いていることが多いので気づきにくいのです。しかし、それゆえに文中には確実に余計や言葉が存在しています。
削りすぎてしまった結果、情報不足になって意図が伝わりにくくなりはしないだろうか。そう心配する人もいるでしょうが、文章を削る勘所さえわかっていれば大丈夫です。ではその勘所について述べていきましょう。
まず、文章の骨格となる要点に注目することです。そして、それを伝えるために、「果たしてこの言葉は本当に必要なのだろうか」と考えてみましょう。たとえば、「〇〇の方」「〇〇かどうか」は削除してかまいません。
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「報告書の方はご確認いただけましたか」→「報告書はご覧いただけましたか」
「集客告知に広告を出すかどうか悩んでいます」→「集客告知に広告を出すか悩んでいます」
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これは会話をするときに使う言葉のクセが出てしまっているので、省略しても問題ありません。
また、「信号を左に曲がると、すぐに黄色い屋根のケーキ屋さんが見えてきます」などの「黄色い屋根」は、そうです。ケーキ屋さんは信号からすぐの距離にあるので説明はいりません。よって省略することができます。
このように、削っていい勘所が自分でわかるようになれば、必要な言葉は残したまま「要点だけが目立つ、短くて読みやすい文章」を書くことができるようになります。
【ポイント】
●一度書いて読み返すと、余計な言葉が見つかる。
●会話のときに使う言葉のクセは省略できる。
●詳しすぎる説明は削除することができる。
●削る勘所をつかめば、短くわかりやすい文章になる。
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「ていく」「いる」「という」は削除しやすい
読みやすい文章を書くためには、一文にある余計な、贅肉を削っていくことが大切です。いわば言葉のダイエットですね。まず削りやすいのが無意識に使ってしまっている言葉です。ここでは3つの言葉を挙げておきましょう。
まずは、「〇〇ていく」です。例文をご覧ください。
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「トップ同士が協力していくことで、一企業の枠を超えたスケールの大きな事業が実現できます」→「トップ同士が協力することで、一企業の枠を超えたスケールの大きな事業が実現できます」
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次に「〇〇いる」もカットしやすい言葉の1つです。
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「営業を担当している人は、顧客情報を大切にしています」→「営業を担当する人は、顧客情報を大切にしています」
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最後に「〇〇という」です。
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「仕事というものは、言語化の能力によって成果が左右されます」→「仕事は、言語化の能力によって成果が左右されます」
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かなり短く削ることができましたね。
ちなみに、もう1つ知っておくと文章をスリムにできるコツがあります。私たちが日本語として言語化している言葉には、基本的に和語と漢語があります。日本語の品詞の中で動詞の漢語は和語にすることで、文字数を少なくできます。
漢語とは中国から入ってきた言葉が日本語になったもので、「学習」など音読みの熟語は漢語です。逆に昔から日本にあった言葉が和語で、「学ぶ」など訓読みの熟語は和語です。文章で例を挙げてみましょう。
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「およそ2000年前、弥生時代の古代遺跡について調査することになった」→「およそ2000年前、弥生時代の古代遺跡について調べることになった」
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この場合「調査する」が「調べる」に置き換わったことで、一文字少なくなりました。文字数にすればわずかなものですが、塵も積もればなんとやらで、積み重なるとかなりの文を削ることができます。
【ポイント】
●言葉の贅肉はできるだけ削る。
●無意識に使っている「〇〇という」はすぐ削る。
●動詞の漢語は和語に変えると文章がスリムになる。
●塵も積もれば「文章の贅肉」は少なくなる。