7. 登録販売者の将来性

医療費抑制の観点から、“セルフメディケーション”という考え方が注目されています。

WHO(世界保健機関)はセルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義しています。つまり、日常的に健康管理に気を遣い、ちょっとしたけがや体調不良であれば医療機関を受診する前に自身でケアをするということです。

日本では医薬品販売の規制緩和やセルフメディケーション税制*といった政策も追い風になり、ドラッグストアが増え、OTC医薬品の市場規模も拡大しています。

*対象となるOTC医薬品の購入額が年間12,000円を超えた場合、確定申告をおこなうことでその費用の一部が所得から控除される制度

OTC医薬品は私たちにとってより身近な存在となりましたが、「OTC医薬品は医療用医薬品よりも効果が薄くリスクも小さい」という誤った認識から健康被害につながるケースが後を絶ちません。また、若い世代を中心にOTC医薬品の過剰摂取が増えていることも問題視されています。

そんななか、登録販売者には人手不足が慢性化している薬剤師に代わりOTC医薬品の適正利用を守る門番となることが期待されています。

ドラッグストアや医薬品売場など、日常生活の圏内で健康に関する悩みを気軽に相談できるのが登録販売者の強みです。この強みを活かして薬との正しい付き合い方を指導したり、日常生活や養生方法についてアドバイスしたり、ときには医療機関への受診を勧めたりと、多くの役割が求められています。

参考

e-Gov法令検索|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律厚生労働省|政策レポート 一般用医薬品販売制度の改正について厚生労働省|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について(令和5年3月31日)厚生労働省|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法厚生労働省|登録販売者に対する研修の実施について(平成24年3月26日)村松早織『やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書』ナツメ社、2021年荒川博之『図解入門業界研究 医薬品業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第6版]』秀和システム、2019年長尾剛司『最新《業界の常識》 よくわかる医薬品業界』日本実業出版社、2018年