3. 看護師の仕事内容

看護師の仕事は多岐にわたりますが、療養上の世話と医師の診療補助に大別することができます。

療養上の世話

病気やけがに苦しむ方や妊産婦、高齢者など、健康に問題を抱えるさまざまな人々の療養生活をサポートします。

排泄の援助 
(排泄介助・おむつ交換・浣腸・摘便・導尿・ストーマケアなど)食事の援助(食事介助・嚥下訓練・口腔ケア・栄養チューブ・胃ろうなど)入浴の援助(入浴介助・全身清拭・洗髪・手浴・足浴・爪切りなど)車椅子やストレッチャーを使った移乗・移送歩行介助体位変換健康相談 …など

医師の診療補助

医師の指示に従い、診察・検査・処置・手術をサポートします。

医行為(注射・点滴・与薬・吸引・吸入など)の実施脈拍・血圧・体温・呼吸の計測(バイタルチェック)顔色や患部などの状態観察応急処置・創傷処置検体の採取(採血など)検査の説明・準備検査結果の確認医薬品や医療機器の管理看護記録の作成と管理外来患者の問診と誘導入院患者の看護計画作成病棟の巡回(ラウンド)ナースコールの対応勤務交替時の申し送りカンファレンスへの参加 …など

(広告の後にも続きます)

4. 看護師の勤務先

厚生労働省の調査「衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、看護師の勤務先の8割以上が病院や診療所といった医療機関であり、とくに病院に偏っていることがわかります。そのほか介護保険施設や訪問看護ステーションで働く看護師もいます。


参考:厚生労働省|令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)より作成
*介護保険施設等:特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などが該当
*社会福祉施設:有料老人ホームや認知症グループホームなどの老人福祉施設、保育所や児童養護施設などの児童福祉施設が該当

病院

病院は法律上「病床数20床以上の医療機関」と定義されていますが、一般的には複数の診療科目を持った、入院設備のある中規模以上の医療機関を指します。看護師は通常このような総合病院からキャリアをスタートさせます。診療科目や配属先によって業務の内容は異なりますが、臨床で求められる基本的な看護技術を身に付けることができます。

効率よく診療を進める力量が試される外来、療養生活の不安を医療的・精神的に支える病棟、手術のスムーズな進行を助ける手術室など、配属先によって求められる役割や適性が異なります。また、日勤のみとなる透析室、内視鏡室、健診・人間ドックは、ワークライフバランスも重視したい方に人気があります。

関連記事(配属先別の看護師の仕事)

内科心療内科外科整形外科産婦人科外来病棟手術室透析室内視鏡室健診・人間ドック急性期、回復期、慢性期ICU(集中治療室)HCU(高度治療室)NICU(新生児特定集中治療室)地域医療連携室

診療所

一方の診療所は法律上「病床数19床以下の医療機関」と定義されていますが、実際には入院設備のない無床診療所が9割を超えていることから、一般的にはある診療科目に特化した、入院設備のない小規模な医療機関を指します。診療所で働く看護師の主な業務は医師の診療補助となります。

診療前の問診や、検査の説明、採血、注射、点滴などの一般的な診療補助に加え、医療器具の洗浄・消毒、医薬品や備品の管理、診療室や処置室の清掃など、少人数で多くの業務をこなす必要があります。規模の小さい診療所では、受付や電話応対も看護師の業務に含まれる場合があります。

ただし、診療所は日勤のみとなり、週1〜2日の休診日以外にも、お盆や年末年始には休診となることが多いため、まとまった休みを取りやすいというメリットがあります。

なお、就職先として人気の高い美容外科や美容皮膚科(いわゆる美容クリニック)の場合、看護師にも施術や物販の販売目標があり、達成度に応じてインセンティブが支払われることがあります。

関連記事

病院とクリニックの違いとは?美容看護師になるには?

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションで働く看護師(訪問看護師)は、利用者の自宅を直接訪問し、主治医の指示書に従い医療処置やケアを施します。

具体的にはバイタルチェック、服薬管理、点滴、血糖値の測定、インスリン注射、カテーテルの交換、人工呼吸器のチェックなどをおこないます。必要に応じて褥瘡のケアや嚥下訓練、歩行訓練などを実施することもあります。

基本的に日勤のみ、固定で週休2日の事業所が多く、病院に比べると自分のペースで働きやすいと言えます。

関連記事

訪問看護の仕事とは?訪問看護ステーションとは?

介護施設

特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、有料老人ホームなどの介護施設で働く看護師の主な業務は、利用者の健康管理や施設職員に対する指導です。

具体的にはバイタルチェック、服薬管理、簡単な医療処置に加え、緊急時には医師を呼ぶかどうかの判断も求められます。

一口で介護施設と言っても、特養や老健をはじめ軽費老人ホーム、小規模多機能型居宅介護、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)に至るまで施設によって利用者の要介護度はさまざまです。看護師に求められる役割や夜間対応の体制(夜勤、オンコール、電話対応のみなど)も異なりますので、求人に応募する際は施設の特徴や業務の内容をよく確認しましょう。

関連記事

介護施設における看護師の仕事内容は? 働くメリットと業務の特徴

保育園

保育園で働く看護師の主な業務は、園児の健康管理や集団感染の予防、職員(保育士)や家族に対する指導となります。

乳幼児は大人に比べて抵抗力が弱く、マスクの着用などの基本的な感染症対策を徹底することが難しいため、保育園は感染症やウイルス性疾患が流行しやすい環境にあります。看護師は感染拡大を防ぐために、保健だよりや手洗い指導などを通して、子ども・家族・保育士の三者に働きかけます。

また、1施設につき1名まで看護師を「保育士」とみなすことができるため、園によっては保育(補助)が業務に含まれる場合があります。

関連記事

保育園で働く看護師の仕事とは?

まだある!看護師が活躍できる職場