介護福祉士とは?
介護福祉士は、介護資格の中で唯一の国家資格です。介護に関する専門知識と技術を活かして、利用者の身体・精神ケアやスタッフに対する教育・指導をおこないます。
介護福祉士取得には複数のルートがあり、そのルートによって受験資格が異なります。詳しくは「介護福祉士になるには」をご確認ください。
なお、なるほどジョブメドレーでは、介護福祉士の働き方や待遇などを紹介しています。こちらの記事もあわせてご覧ください。
>介護福祉士とは?受験資格、合格率、仕事内容、給料などを徹底調査!
お話を伺ったのは介護福祉士の国家試験に合格したSさん
取材は感染症対策に十分に配慮しておこないました
──まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
生活支援員として働く28歳です。夫と都内に住んでいます。介護福祉士資格は26歳のときに取得しました。
──ありがとうございます。ずっと福祉関係のお仕事をされているんですか?
はい! 新卒から福祉の仕事をしていて、今年度で7年目になります。
今まで放課後等デイサービスの新規立ち上げやガイドへルパー、施設入所支援、共同生活援助など、障害福祉の仕事を経験してきました。
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介護福祉士取得までの流れ──実務者研修が試験対策に
──介護福祉士はどんなステップで受験されましたか?
まず、新卒で入った会社が内定者研修として介護職員初任者研修を修了するプログラムだったので、社会人になった2015年に初任者研修を修了しています。
それから実務経験が3年以上になった2018年に、働きながら実務者研修を受講して、年明けに介護福祉士国家試験を受けました。
いわゆる「実務経験ルート*」ですね。
*介護福祉士には資格取得ルートが複数あります。詳しくは「介護福祉士になるには」をご確認ください。
──介護福祉士の受験はどのくらい前から計画していたんですか?
それが受験した年度の始めに決断したんです(笑)。2018年の4月ですね。
今じゃなくてもいいかな……って迷ったりもしたんですが、やっぱり実務経験が3年以上になった今受けよう! って思って。
私の場合、介護福祉士を受験するためには実務者研修を受ける必要があったので、急いで講座を探して。
7月から半年ほど実務者研修を受講して、年明けの1月が介護福祉士の国試でしたね。
──介護福祉士の資格を取得しようと思ったきっかけは何ですか?
せっかく福祉業界で働いているので、勉強した成果や働いた経験を「形」として残したかったんですよ。
あと「こうなりたいな」って思った職場の先輩や上司が介護福祉士資格を持っていて、「私も取りたい! 」って思いましたね。
それに福祉業界でステップアップしていくためにも資格は必要なので受験しようと決めました。
──なるほど。いつ頃から介護福祉士国家試験に向けての勉強を始めましたか?
実務者研修を受け始めた7月からです。
振り返ると実務者研修を受講したこと自体が介護福祉士の試験対策になっていました。
──実務者研修ではどんなことを学ぶんですか?
実務者研修の授業では、事例検討をとにかくたくさんやりました。
実務者研修の授業で使用したワークシートには、たくさんの書き込みが
利用者さんを想定した年齢・身長体重・持病などが書いてあるシートを配られて、「この人にはどんなケアや配慮が必要か」をグループワークで考えていくんです。
グループのメンバーをシャッフルしながら、いろんなパターンの事例を検討していきました。
実務者研修は週に1日、決まった曜日にあるんですが、朝の9時から夕方16時まで授業があってすごく疲れましたし、大変だった記憶があります。
──授業はグループワークがメインなんですね。
そうですね。実際に介護福祉士が働く現場でもチームで仕事をすることが多いので、グループワークが重視されているんだと思います。
──実務者研修が介護福祉士の試験対策になったと言っていましたが、どういった点が有効だったんでしょうか。
グループワークを通して「現場で働くにあたっての考え方」「ケアの仕方」を受講生同士ですり合わせていけたことですかね。
受講生は40人ほどだったんですが、私はずっと障害福祉に携わってきたので、高齢者の介護施設など自分が従事していない職場で働く人の話を聞けるのはすごく勉強になりました。「うちの施設ではこういう場合こういうケアをしている」とか。
反対に私は高齢者の介護現場で働く人に障害福祉での経験を話すことができました。働いているとどうしても自分の職場しか見ないので、貴重な場でしたね。
──受講生がそれぞれの職場での経験を活かせるんですね。
ほかにも、実務で自然と触れていることを「教科書的に説明すると」という視点で棚卸しできたこともすごく為になりました。
──教科書的な視点での棚卸しとは?
例えば、ICF(国際生活機能分類)という「人の生活機能と障がいを判断するための分類方法」があるんですけど、現場の人たちはこの分類を自然とやっているんですよ。
でも授業で改めて「人の生活機能はこの要素から構成されていて……」とか「生活機能に影響を与える因子は2つあって……」とかを文字や構造で表すと、「たしかに! このとおりやってる! 」って論理的に理解できるんですよね。
ICFを教科書的に棚卸ししたノート
ほかにも仕事でヒヤリハットを出したときには「事故報告書」の提出を当たり前にやっていますけど、業務だとどうしても「出さなきゃいけない決まりだから」って意識が強くなりがちなんです。
でも授業では「そもそもなぜ事故報告書が必要なのか」といった本来の目的を見直せます。実際の試験でもこういった本来の目的について問われるので為になりました。
あとは講習を通して「試験問題で使われる単語や用語」に慣れることも重要でしたね。内容を理解していても、試験問題独特の表現に慣れていないと混乱しがちなので。