働きながらの試験対策──勉強時間や勉強法について


介護福祉士試験対策グッズ。これにプラスして8冊くらいの教科書があるらしい。

──実務者研修の日は9時~16時まで授業があったとのことですが、それ以外の日はどのくらい勉強していましたか?

大体30分~1時間くらいですかね。夜勤もありましたし、仕事をしながらだとなかなかまとまった時間机に向かうというのが難しくて……。
家での勉強というより、通勤中の電車に乗っている時間や、勤務開始前の時間を使って勉強してました。

──スキマ時間を活用していたんですね。取り組んだ勉強法について教えてください。

主に実務者研修で習った内容などをノートにまとめてました。


Sさんお気に入りのノート。配色とサイズ感にこだわりがあるらしく……

──ペンの色は緑や黄色を使っていたんですね。

はい。視覚情報を整理できるよう、ノート作りではできるだけシンプルなルールにすることを心がけていました。

色を使った部分に注目しやすいように、好きな色を一番強調したいところに使って、それ以外の大事な部分は刺激になりすぎない、目に優しい色を選ぶことがマイルールでした。

私は緑が好きなので一番強調したいところに緑を使って、ほかの大事な部分には黄色のマーカーを使っていましたね。

今は黄色のマーカーを使い切ってしまったので、勉強をするときはグレーのマーカーを使っています。


持ってきていただいたペンとマーカー

──ノートはA4より小さいですね。サイズ感にもこだわりが? 

これはB5くらいかな? 通勤時間に見直してたので、鞄に入れやすいサイズがいいなって思って。A4だとちょっと大きくてこのサイズに落ち着きました。

試験対策ではこのノートを一番活用しましたね。

──介護福祉士は11科目群*からの出題なので対策範囲が広いですよね。どの科目から着手しましたか?

*人間の尊厳と自立、介護の基本/人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術/社会の理解/生活支援技術/介護過程/発達と老化の理解/認知症の理解/障害の理解/こころとからだのしくみ/医療的ケア/総合問題

私は医療的ケアから着手しました。「痰の吸引」や「経管栄養」などの処置についてです。

ほかの科目は仕事で触れてるので自然と頭に入るんですが、医療的ケアは障害福祉の仕事で触れないので一番苦手な科目なんですよ! 

例えばこれは実務者研修で習った吸引に関しての資料なんですけど、こんな感じで手技を想定した手順とポイントが書いてあって……

これをほぼ丸暗記しました。

──丸暗記は大変ですね……! 暗記ものはどうやって覚えたんですか? 

私の場合はひたすら書いて覚えましたね。ルーズリーフに何度も何度も書いて頭と身体に叩き込みました。


暗記ものは書いて覚える派のSさん

このルーズリーフ、よく見ると四つ折りの跡が残ってるんですけど、通勤中の電車内で勉強するために四つ折りで持ち運んでたからなんです。

こんな感じで。


電車内での勉強のしやすさを考えた結果、このスタイルに

──コンパクトさが大事なんですね。ほかにも通勤中に対策したことはありますか?

あ、「聴いて覚える」こともやってました!

教科書とか参考書とかで「覚えたいな」って思った部分を自分で音読して、その音声を録音するんです。

それで通勤中にその音声を聴いてました。自前のスピードラーニングみたいな感じですね。

──「書くこと」に加えて「声に出すこと」や「聴くこと」も実践していたんですね。

はい。目と耳と身体、全部で覚えてました(笑)。

教科書を読むときも、読んだ証が視覚的にわかるように、読んだ部分にシャーペンで線を引きながら読んでましたね。

「ここまでやったぞ! OK!」 って自分でも安心できました。

──なるほど。スキマ時間での勉強は集中するのが大変じゃなかったですか? 

集中力を高めるのは大変でしたね。

時間も限られてますし、あれもこれもって勉強できないので「今日はこれだけはやろう!」って決めて集中するようにしていました。必要最低限の勉強道具だけ持っていくようにして。

「勉強できた私偉い! 仕事なのに勉強道具持ってきた私偉い!」って自分で自分を鼓舞してましたよ。

あとは勉強時間が短くても、何かしらの情報が目に入るように意識していて、試験直前はスマホの待受を「バイスティックの7原則」の画像にしていましたね。

──バイスティックの7原則……って何ですか?

介護などの行動規範として有名な定義です。基本姿勢や考え方が7つの指針にまとまっています。

試験でも「この行動はバイスティックの7原則のどれに反するか」みたいな問題が出ます。

バイスティックの7原則

個別化の原則意図的な感情表出の原則統制された情緒関与の原則受容の原則非審判的態度の原則自己決定の原則秘密保持の原則

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体調管理で気をつけたこと──睡眠・食事について

──お仕事では夜勤もあったとのことですが、試験までの体調管理で気をつけていたことはありますか?

夜勤は月に4~5回あるので、仕事の前後にしっかり身体を休めることが大事ですね。

夜勤の前には1~3時間の昼寝をしてから出勤するようにしていました。短時間の睡眠でも、私にとってはとても有効です。

夜勤以外のシフトの日や休日は、最低でも6時間はまとまった睡眠時間をとるように心がけていましたね。

眠れないときでも、とりあえず横になって身体を休めるようにしていました。座っているとむくみの原因にもなるので。


仕事との両立を振り返り「よく頑張ったな……」と振り返るSさん

──なるほど。体力がいる仕事なので、睡眠だけでなく食事も大切になってきますよね。

栄養面はすごく気をつけていて、お弁当を手作りしていました。

私の職場では、夜勤だと勤務者同士でお菓子交換をするっていう暗黙のルールがあるんです。

なのでお菓子を食べる人が多いですし、お菓子以外にも準備が簡単なインスタント食品とかスナック菓子を食べる人が多いんですが、それだと栄養素が偏ってしまうので野菜を多く食べることを心がけてましたね。

私はお弁当に入れるメニューを決めていて、毎日同じものを食べてました。鶏むね肉、アスパラ、トマト、お米は体調によって量を調整して、あとごま塩ですね。

──メニューにはこだわりがあるんですか? 

なかやまきんに君のYouTubeを参考にしました! 

彼は何年も同じメニューの朝食を食べているらしいんですけど、体調崩さないって言っていて。なので彼の朝食メニューを真似しました。

メニューを固定しているのは、自分が摂った栄養素とカロリーがわかるようにしておきたかったからです。自分の健康状態を常にフラットにしておくことを意識していました。

おかげで変則勤務でも試験当日まで体調を崩さず過ごせましたよ。

──日頃からコンディションを整える意識があったんですね!