「先鋭化する投稿」の功罪
このように、熱烈な支持者が存在していることが、高市氏と他候補が異なるポイントと言えるだろう。
思えば、かねてから日本のネット世論と、保守思想の親和性は高かった。加えて、キッパリと断言するタイプの政治家と、短文・短尺動画が好まれるSNSは相性がいい。
SNSでは、アルゴリズムによって「見たいもの」が優先的に表示されることから、支持者のタイムラインは、その話題で一色となる。
そして、「有権者全体が注目している(と思っているが、あくまで近い属性でしかないことが多い)」と感じ、さらに先鋭化していくのだ。
先鋭化が進むほど、支持者間の結束は固まる。しかしながら、行きすぎた結束は、攻撃性を帯びかねない。実際に支持者からは、リベラル系の政策を掲げる他候補を名指しして、「国益を損ねる」などと批判する投稿も多々見られる。
だが、「他者を下げることで、自陣を上げる」ことは、ときに戦略として優位に働くが、裏金問題に揺れる自民党が「挙党一致」を目指している今のタイミングでは、あまり得策ではないようにも感じる。
とはいえ、こうした「応援団」の存在が、高市氏のネット上での露出を増やしていることは間違いない。
Xのトレンドに関連ワードが連日入ることで、一般的な認知度は高まる。多くの一般ユーザーは、興味のないトレンドを見ても、わざわざクリックやタップはしない。しかし、だからこそ「最近よく高市さんの名前を見るなあ」と、無党派層の間にも、無意識のうちに刷り込まれていくのだろう。
【プロフィール】
城戸 譲(きど・ゆずる)
ネットメディア研究家 コラムニスト
1988年生まれ。2013年ジェイ・キャスト入社後、Jタウンネット編集長、J-CASTニュース副編集長などを経て、22年に独立。東京都杉並区出身で、23年の同区議選に落選。「炎上ウォッチャー」としての執筆をメインに、政治経済からエンタメまで、幅広くネットウォッチしている。