お金を増やすことは、口で言うほど簡単ではありません。実際には、計画的な貯金と賢い投資が求められます。本稿では、石油危機やバブル崩壊、リーマンショックといった経済の変動を乗り越えてきた85歳の現役投資家、石井勝利氏の著書『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)から、貯金の重要性やサラ金に手を出すべきでない理由を、実際の人々のエピソードを交えて一部抜粋・編集してお届けします。

40代男性・気象予報士の婚活が上手くいかないワケ

お金を増やすということは、言うは易く、行うのは難しい。

時々、私の事務所を訪ねる「X」のフォロワーさんがいる。その人は40代ですが、まだ独身です。婚活はしているようですが、なかなか、付き合う、結婚するところまでは、遠いようです。仕事は気象予報士。立派なお仕事です。一途な性格で、人当たりも良い人。私は、代金はいらないから、来たければ、事務所に来て相談してもいいよと言ってあります。

ただ、婚活で成功しない理由を不思議に思い、「貯金はしている?」と聞きました。そうすると、「なかなか出来ません」「正直、全くしていません」という事。

それはだめだね。貯金もない男では、女性は安心できないし、頼っては来ないよ。このように、アドバイスしました。貯金の方法として、給与をもらい、余ったら通帳に入れるのではなく、給与が入ったら、3万円でも、5万円でも強制的に貯金しなさい。どうしても足りなくなったら、5000円、7000円と引き出せばよい。このように言うと、「確かに、余ることはないですね」ということで、彼は、翌月から、それを実行しました。

多分、堅実にお金を使い、貯めて、彼女が出来て、結婚の報告が来ると確信しています。

それとは反対に、ギャンブル依存症になり、ついにはサラ金に手を出して、借金の山を築くのは絶対にやめなければなりません。街に「サラ金」の広告があふれていることから、サラ金生活をしている人がいかに多いかが分かります。

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サラ金の利益を上回る投資はあり得ない

私の知人に、「過払い金で1000万円戻った」と喜ぶ人がいましたが、一体、いくら借りたんだ、いくら利息を払ったんだと驚きました。そういう人の生活は、いくつになっても、マイホームはおろか、税金の支払いも滞納で、税務署から催告の日々。困ったものです。サラ金の利息を支払って、なおかつ、有利な事業や、ギャンブルの成功はありません。

私の知り合いの社長に、事業の資金繰りに行き詰まり、高利の街金に手を出し、ストレスから命を落とした人がいます。また、もう一人の会社の専務は、闇金でお金を借りて、催促の心労から、胃に穴が開き、苦悶しました。その時に、街金の親玉に助けられ、街金で働くようになりました。私は、その会社に2000万円の未払い金を抱えていましたが、そのうちに、連絡がつかなくなりました。高齢でしたので、今はどうなったのか。知るよしもありません。

事業をしていてもこういうこともありますが、想定内です。サラ金に手を出すような考え方で、幸せで、悠々自適な生活はありません。これだけは心得て、地道にお金は積み上げ、その範囲で消費することを勧めます。

世の中に、サラ金の利息に勝る「投資話」など100%ありません。

石井 勝利 

投資家

経済評論家