愛知県警は25日、虚偽の移転登記を行い財産の強制執行を免れようとしたとして、元タレントの羽賀研二(本名・當眞(とうま)美喜男)容疑者(63)及び山口組弘道会系組長・松山猛容疑者(69)ら計7人を強制執行妨害目的財産損壊等の容疑で逮捕した。
逮捕当日『おはようございます♪! さっ! 今日も気合い入れて行きましょう!!』などと笑顔でXに投稿していた羽賀容疑者。しかし、その笑顔の裏では用意周到に「財産隠し」の計画を進めていたようだ。
9つの部屋で数百万円の“違法収入”
社会部記者が事件について説明する。
「羽賀は07年に未公開株の売買を巡る詐欺事件で逮捕・起訴され、16年に被害者が請求した約4億円の支払いを命じられていました。そうした事情から羽賀は元妻で今回、羽賀とともに逮捕された妻の當眞真由美(47)容疑者と離婚を装い、所有していた不動産などを財産分与の形で譲渡。これを警察は財産隠しに当たるとして、19年には夫婦ともに強制執行妨害容疑で逮捕、起訴されています。
今回、事件の舞台となったのは、羽賀が所有していた不動産を合法的な形で妻に譲っていた沖縄県北谷町のビル2棟と土地でした」
元妻の真由美容疑者が所有していた北谷町のビルには「9つの部屋があり、賃貸契約だけで月に数百万円の収入を得ていた」(同前)という。
司法書士の要人にもつながった暴力団人脈
この違法にまみれたスキーム確立に暗躍したのが、日本司法書士会連合会副会長の野崎史生(57)容疑者らだ。
「羽賀は財産隠しをしながらそうした収入を得るためか、松山に相談。松山から紹介された日本司法書士会連合会の野崎容疑者、松山の人脈の不動産会社2社らとともに事件のスキームを組み立てていったようです」(前出・記者)
暴力団を経由した羽賀容疑者の人脈が、日本司法書士会連合会の要人とつながっていたことだけでも衝撃だが、それが逮捕という形で明らかになり、同連合会は26日、HP上で次のように緊急声明を発表している。
<被疑事実の有無については今後の捜査を待つことになりますが、報道内容が事実であるとすれば、そのような行為は到底許されるものではなく、極めて重大な事態であると厳粛に受け止めています。
当連合会の役員から逮捕者が出たことは誠に遺憾であり、国民の皆様に不安を与えたことにつきお詫び申し上げます。
当連合会としては、捜査に協力しつつ、情報収集に努めてまいります。また、事実を確認の上、厳正に対処するとともに、今後も司法書士制度に対する国民の皆様の信頼確保のために全力で取り組んでいく所存です>
用意周到に違法スキームにより収益を確保
激震に見舞われた同連合会に緊迫が走る一方で、羽賀容疑者の用意周到ぶりは悪徳ビジネスマンそのもののしたたかさだった。
松山から司法書士らの紹介を受けた羽賀が不動産関連会社『K‘sクリエート』(以下K社)を設立したのは、23年5月8日。ビル所有権の虚偽登記を行う約1か月前だ。
その後、不動産会社2社から借り受けた数億円を元手に相場より安い価格で元妻の所有していたビル2棟を購入。その所有権をK社に移転したのは6月22日だという。
「K社の代表は羽賀で、社員は1人しかいないことからも、K社は虚偽登記を行うためのペーパーカンパニーの疑いが強いと警察はみています。今後も事件に関係していた他の関係者も立件する予定です」(同前)
暴力団とのつながり、強制執行逃れのための虚偽の移転登記など、違法行為を積み重ねた末に逮捕された羽賀容疑者。
暴力団の資金の流れを追う中で発覚したという今回の事件は、司法書士会も巻き込んだ一大スキャンダルに発展しそうな雲行きで、今後の捜査の展開が注目される。