生け垣に適した植物の特徴

美しい樹姿を楽しむ以外に、目隠しや防風・防音などの目的も伴う生け垣。常緑樹ならどんな種類でもよいというわけではなく、生け垣に適した樹種を選ぶ必要があります。ここでは、生け垣に向く樹木の特性についてご紹介します。

枝葉が密集していても育つこと


Smolina Marianna/Shutterstock.com

生け垣の第一の目的は「目隠し」であることが多いため、基本的には一年中葉を茂らせている常緑樹を選ぶことになります。その中でも、生け垣は列植することが多く、隣り合う樹木との間隔が狭くなりがちなので、狭い空間に密植気味の状態になっても耐えられる樹種が適しています。背の高い樹木の間に背の低い樹木を取り入れる「混ぜ垣」にして、変化をつけることもできます。

枝葉の密度が高く遮蔽性が高いこと


Oleksii Synelnykov/Shutterstock.com

敷地に接する道路や隣地との境界線として取り入れる生け垣は、遮蔽性が高いことが求められます。できるだけ小さい葉が密に茂り、枝が細かく分枝する樹種を選びましょう。そして、きちんと目隠しの役割を果たしてくれるよう、樹姿を保つことが大切です。日本では樹木を利用して生け垣を作る文化が根づいているので、昔から選ばれてきた樹種を選ぶのもよいでしょう。

成長が穏やかであること


damiangretka/Shutterstock.com

境界線として外と接している生け垣は、決まった幅、奥行き、高さを保つ必要があります。成長が早すぎてすぐに鬱蒼とした状態になり、年に何度も刈り込まなくてはいけない樹種を選ぶと、管理の手間がかかるので避けたいもの。自由奔放に伸びた樹形を放任し、乱れたままにしておくと、「この家は管理がゆるくて防犯意識が薄い」と見られがち。美しい生け垣を保つことは防犯にもつながります。成長が緩やかで、刈り込みにも耐える樹種はメンテナンスがしやすく、生け垣に向いています。

病虫害の被害を受けにくいこと


Huntstock.com/Shutterstock.com

生け垣は密に植えるので、風通しの悪い環境に弱く、病気が発生しやすい樹種は適していません。また、害虫がつきやすく葉が食害されやすい樹種も、かえって景観を損ねてしまうので、避けたほうが無難です。特にチャドクガの幼虫がつきやすいツバキなどは避けたいもの。チャドクガの幼虫は毒を持った毛虫の一種で、風で飛ばせるほどの小さな毒針毛を多数持っており、これが皮膚につくと猛烈に痛痒くなって激しい皮膚炎を起こしてしまいます。生け垣に利用するなら、病害虫に強く、放任しても枝葉に被害を受けにくい樹種を選びましょう。

(広告の後にも続きます)

常緑樹と落葉樹どちらを選ぶか

常緑樹、落葉樹ともに生け垣にすることができます。ただし、基本的には常緑樹のほうがおすすめです。

落葉樹の場合、四季折々で樹の表情が変わり、季節ごとの景観が楽しめる長所があります。しかし、秋から冬にかけて葉が落ちてしまうため、毎年一定期間、落ち葉処理をしなければなりません。さらに、葉が落ちた後は、目隠しとしての効果がなくなってしまいます。

一方、常緑樹であれば、葉が落ちにくいので、落ち葉処理の手間がかかりません。また、年中葉が生い茂っているので、常に目隠しや防風、防音などに役立ちます。