55歳で引っ越しをすることになり、ふと家の中を見渡すといろいろなモノであふれていることに気付きました。それらの多くは、人生を共にしてきた思い出の品々で、捨てずに大切に保管してきたもの。引っ越しをきっかけに、思い切って「捨てる」選択をしたことで、自分の新しい一面を発見できた体験談をお話しします。
捨てる決断力がアップ
55歳で引っ越しをしたのですが、これまでにたまった物を整理するのは、正直なところ非常に大変な作業でした。最初は「思い出まで手放すことになるのでは」と感じ、捨てることにためらいもありました。でも、その都度「これは本当に必要な物なのか?」と自問することで、自分の感情を整理できるようになりました。
そして思い切って捨てる決断を重ねるにつれて、心が次第に軽くなり、すっきりとした気持ちが味わえたのです。また必要な物だけを残すことで、生活空間が整い、結果的に生活の質が向上したと実感しています。
潔く捨てるために実践したのは、「必要」「不要」「保留」の3つに物を分類することでした。また、使わないけれど品質の良い物は、迷わずリサイクルや寄付に回しました。この作業でほとんどの物が分類できましたが、どうしても迷ってしまう「保留」のアイテム。例えば、高いお金を払ったブランド品や、小中学校で描いた作品など。
迷い始めるとキリがないため、1週間の期限を決めて「この先どう活用できるか」を基準に必要か不要かを判断しました。物の分類作業は、スムーズに手放せるようにゴミ収集日の前日にテンポ良く実践。捨ててしまえば、意外とすぐに諦めがつくことに気付きました。
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改めて自分の価値観を再認識
不要なものを分類する中で、一つひとつの持ち物と向き合う作業を続けた結果、自分の趣味や嗜好(しこう)、価値観がより明確になりました。若いころに見栄を張るように買った高級ブランドのバッグや小物に、ほとんど価値を感じられなくなっていて……。一方、ほこりをかぶって押し入れの奥にしまってあった陶磁器の食器や、祖父が描いた絵画に価値を感じるようになったりと、自分の変化を実感しました。
今回の引っ越しを良い機会だととらえ、「55歳の持ち物を整理して、シンプルに暮らす」ことを目標にしました。物を増やさないために、収納スペースから逆算して必要な物を考えることを実践。「あったら便利かも」「邪魔にならないから一応取っておこう」という程度の物は、思い切って持たない、買わない選択をしました。こうすることで、身の周りには本当に必要な物だけが残り、厳選された環境が整ったと感じています。