【調香師監修】ピオニーとはどんな香り?おすすめの香水と付け方のコツ

ピオニーは和名で芍薬(シャクヤク)と言い、バラのような甘さとみずみずしい爽やかな香りが感じられる魅力的な花です。上品な香りは高い人気を誇りますが、実は一般的に花から香料はとれないので調香師がイメージで香りを創り出しています。香水やシャンプーなど、さまざまな製品に取り入れられているピオニーの香りの特徴をはじめ、香水の選び方と付け方、おすすめアイテムを紹介します。

監修者:メゾンレクシア 調香師

みずみずしい生命力にあふれる植物の“香気”を、肌と心にまっすぐ届けるメゾンレクシアの調香師。纏う人の心を満たし日常を鮮やかに彩る“香りのアート”を描くために。繊細で複雑な香料のわずかなコンディションの違いを読み取り、フレグランスはもとより、スキンケア&メイクアップタイムを優雅なひとときへと昇華させる香りを紡ぎだしている。

ピオニーとは?香りの特徴・効果・花言葉

ピンク色のピオニー

ボタン科のピオニーは和名を「芍薬(シャクヤク)」と言い、こちらの名前の方が聞き慣れている方も多いかもしれません。華やかな大輪の花を咲かせるピオニーは、バラのような甘く上品な香りが特徴的です。香水やシャンプーなどの香りとしても人気ですが、実は、一般的にピオニーの香りは天然では抽出できません。植物としてだけではなく、身近なアイテムの香りとしても親しまれているピオニーの特徴を見ていきましょう。

ピオニーの花の特徴

ピオニー(Peony)は芍薬(シャクヤク)の英名で、ギリシャ神話に登場する医術の神「パイオン」が由来と言われています。ボタン科ボタン属の多年草で、茎は50~80センチ程度まで伸び、直径15センチ程度の花を咲かせます。

ピオニーの花は4~6月の晩春から初夏にかけて咲き、見頃は5月中旬頃です。赤、白、ピンク、黄色など色が多彩なだけではなく、一重咲きや八重咲き、手まりのように咲くものなど、咲き方にもバリエーションが見られます。その花の美しさから、ピオニーは「カオヨグサ(貌佳草)」という別名で呼ばれることも。

英語圏では、芍薬と同じボタン科ボタン属である牡丹も“ピオニー”と総称されます。どちらも花はよく似ていますが、芍薬が茎に花を咲かすのに対し、牡丹は枝に花を咲かすのが特徴です。
また、美しい花をバラに例えるヨーロッパでは、5月頃に見頃を迎えるピオニーを「5月のバラ」と呼んでいます。フランスでは、5月の母の日にピオニーを贈る人が多くいるようです。

ピオニーの歴史

ピオニーは非常に長い歴史を持つ植物です。ギリシャ神話では、先述した「パイオン」がピオニー(芍薬)を使って、黄泉の国王である「プルートー」の傷を治したと伝えられています。また、中国では西暦500年頃からピオニーを生薬として用いてきた歴史があります。

19世紀頃には、イギリスにある王立植物園「キューガーデン」に集められ、品種改良も盛んに行われるように。ピオニーの美しさは芸術家たちも魅了し、ルノワールやモネなどの絵画にも描かれています。

その他に、ギリシャやローマでもピオニーは古くから女性と深く関連づけられてきました。ピオニーの活用方法は生薬から始まりましたが、現在では香水やシャンプーなどの香りとしても人気です。

ピオニーの香りの特徴

ピオニーの香りはバラに近く、「甘く上品な香り」と表現されます。ただ甘いだけではなく、みずみずしさや爽やかさが感じられるのもピオニーの香りの大きな特徴です。エレガントなピオニーの香りは好感度が高く、清潔な印象を演出してくれる魅力的な香りです。

ピオニーの香りの再現性

高い人気を誇るピオニーの香り。しかし一般的には、この香りを天然香料として花から抽出することはできません。市場には香水やシャンプーなど、ピオニーの香りを用いたアイテムが多く流通していますが、それらは各調香師がイメージとして創り出したものです。ほとんどの場合、バラの香りをメインに他の香料を配合し、ピオニーの香りになるように調香されています。

ピオニーの香りに期待できる効果

ピオニーの香りには、女性に嬉しい複数の効果が期待できるといった魅力も。ピオニーはゲラニオールと呼ばれる、バラにも含まれている香り成分を持っています。ゲラニオールは女性ホルモンの働きをサポートする効果が期待できる成分です。

加えて、ピオニーはラベンダーに含まれるリナロールという成分も有しています。リナロールには心をリラックスさせ、睡眠を促す効果があると言われています。不安やストレスを感じている時、睡眠の質を高めたい時にピオニーの香りを取り入れるのもおすすめです。

ピオニーの花言葉

ピオニーの花言葉は「恥じらい」「はにかみ」「優しさ」「思いやり」「謙遜」など多彩。

「恥じらい」「はにかみ」の由来は、イギリスの恥ずかしがり屋の妖精がピオニーに隠れた際に、花びらが妖精の頬の色に呼応して赤く染まったから。日が落ちると慎ましく花びらを閉じるその姿からなど、さまざまな説があります。

花言葉の他に、日本には「立てば芍薬(ピオニー)、坐れば牡丹、歩く姿は百合の花」という、美しい女性を表現することわざがあります。

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ピオニーの香水の選び方

白いピオニーと香水の瓶

ピオニーの香りを香水で楽しむなら、香りの強さやブレンドに注目してみましょう。ピオニーの香水の選び方を紹介します。

1. 香りの強さで選ぶ

香水の香りの強さや持続時間は種類によって異なります。香水に含まれる香料の濃度は賦香率(ふこうりつ)といい、同じ香りでも賦香率によって印象は変わります。香りを抑えたいシーンでは、賦香率の低い種類を選ぶのがおすすめです。

なお、日本で販売されている香水のほとんどはオードパルファムかオードトワレで、パルファムはあまり流通していません。

2. ミドルノートで香るものを選ぶ

ピオニーの香りをメインで楽しみたい場合は、ミドルノートに調香されているものがおすすめです。香水の香りは「トップノート→ミドルノート→ベースノート」の順に変化していきます。

ミドルノートは香水の香りを構成する主役となる部分です。そのため、ミドルノートにピオニーが使われているものを選ぶと、より香りを感じやすいでしょう。

また、純粋にピオニーだけの香りを楽しみたい場合は、最初から最後まで香りがほとんど変化しないシングルノートと呼ばれる香水を選ぶのもおすすめです。

3. 好みのブレンドで選ぶ

香水はブレンドされている香料によっても香りの印象が大きく変わります。香りの種類は下記のようにいくつかのタイプに分類されます。

花の香りのマリアージュを楽しみたいなら、ピオニーと同じフローラル系の香料がブレンドされたものを選んでみて。爽やかさがほしい時は、シトラス系がブレンドされたものがおすすめです。

プロが教える香水の選び方。初心者でも好きな香りは見つけられる – Her ELEGANCE

香水は個性を表現し、周りの人に与える印象をコントロールできるアイテムです。ですが香りは感覚的なものなので、選び方が分からない人もいるかもしれません。そんな人に向けて、香水を選ぶ際のポイントや香りの種類、香水の魅力を最大限に活かすための付け方、おすすめのアイテムを紹介します。