プロ野球・阪神タイガースの佐藤輝明内野手(25)が質問した記者にキレたように言い返す様子を撮った動画がX上などでいくつか投稿され、様々な憶測が流れている。

名札が見えたデイリースポーツの記者ではないかとの指摘が出て、失礼な質問なら許されない、といった批判が相次いだ。一方、デイリー側は、そんな質問をして口論となった事実はないと公式サイトで否定している。一体何があったのか。

「記者が失礼な質問をしたのではないか」と憶測広がる

佐藤選手は、肩にタオルをかけ、バッグを右手に持って、グラウンドから引き揚げていく。そこに、8人ぐらいの記者がレコーダーを持って次々に質問する。これは、いつもの光景だ。

ところが、佐藤選手は、突然立ち止まり、記者の方を向いて、何か言い始めた。しばらく、記者らと話していたが、スタッフらしき男性が間に入り、佐藤選手は、1人で歩き始めた。

すると、急に後ろを振り返り、にらむような様子で記者らに何か言い返している。うち1人が佐藤選手に歩み寄ったが、スタッフらしき男性に促されて、佐藤選手はその場を去った。

こうした様子を撮った動画は、2024年9月28日夜、別の角度からX上などでいくつか投稿された。動画からは、デイリー記者や佐藤選手の会話を聞き取ることはできず、発言を直接検証することは困難な状態だ。

この日は、阪神は、ヤクルト戦で2-7と敗れている。痛恨の3連敗を喫し、巨人がリーグ優勝を決め、阪神が連覇を逃していた。佐藤選手に記者が質問していたときは、ヤクルト側のヒーローインタビューが行われていたときだった。

それだけに、デイリーの記者が佐藤選手に何か失礼なことを言ったのではないか、といった憶測が流れた。中には、佐藤選手が今シーズンはエラーが多く、それが原因で優勝できなかったのでは、といった質問を記者がしたのではないかと根拠のない投稿もあった。

一方、質問したのは他社の記者で、デイリー記者は佐藤選手をなだめるために間に入ったのでは、といった指摘も出て、様々な意見が書き込まれている。

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デイリー側「記者が質問を受けて説明を行ったに過ぎない」

ネット上で動画が拡散したことを受けて、デイリースポーツは、「弊社の記者に関する動画について」と題した異例のお知らせを9月30日付で公式サイトに出した。

そこでは、佐藤選手とデイリー記者が28日のヤクルト戦後に会話をしている動画が「失礼な質問をされた佐藤輝選手が激高して口論、詰め寄っている場面」とのキャプション付きでSNS上を拡散しているとしたうえで、「上記の場面において、弊社の記者が失礼な質問をし、口論となった事実は一切ございません」とネット上の憶測を否定した。

そして、動画について、「弊社の記者が佐藤輝明選手から質問を受け、説明を行った場面の録画に過ぎません。上記のキャプションは、完全に事実無根のものです」と説明した。動画が拡散した結果、多数の抗議や非難が来て業務に支障が出ているとし、「弊社としては、かかる事実誤認の情報を発信し、拡散させる行為に対し、強く抗議する所存であり、現在、法的措置を準備しております」と明らかにした。

ところで、デイリー記者が佐藤選手から質問を受けて説明を行ったというのは、どのような状況を指すのだろうか。

今回のヤクルト戦では、佐藤選手は2回、2塁打を放つも、3塁に進んだとき、ライナーで飛び出してしまい、ダブルプレーとなっていた。

このことについて、デイリーは、ウェブ版記事で当初は、佐藤選手の走塁ミスとするタイトルの記事を出していた。その後、佐藤選手はサイン通りに動いたのでライナーを打った打者が悪いとする岡田彰布監督のコメントをタイトルにした記事に差し替えられたと、X上で指摘が相次いだ。こうしたことから、デイリー記者は、佐藤選手から走塁ミスの記事について質問を受け、記事を差し替えたことを説明したのではないかとの推測が出た。

実際、週刊誌「フライデー」は10月1日付ウェブ版記事で、佐藤選手は走塁ミスの記事に注文を付けていたのが真相だったと現場を取材した記者から聞き出したと報じている。

なお、この点について、デイリースポーツのマネジメント局は1日、J-CASTニュースの取材に対し、「公式サイトで弊社の見解を示しており、それがすべてです。取材の経緯については、お答えできません」と答えた。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)