コンビニ大手「ローソン」は、少女のイラストを描いたブロマイド6種を各店舗のマルチコピー機を通して売り出したが、その日のうちに販売を停止した。
イラストの提供者は、制作に画像生成AI使用を公言しているが、ネット上では、ブロマイド販売では明記されていないと批判も出ていた。ローソンの広報部は、販売停止の理由について、「多くのご意見をいただいた事を受けて、ご本人様と協議」したと取材に説明した。
「せめてAIって書けよ」「著作権侵害してない?」
ブロマイドに起用したのは、自ら手がけたイラストをXで投稿している「おしつじ」さん(@your_shitsuji)だ。
ローソンマルチコピー機の公式Xは2024年10月1日午前、おしつじさんを「イラストレーター」として紹介し、全部で6種のオリジナルブロマイドをマルチコピー機使用のサービス「ローソンプリント」で発売したと告知した。6種は、ランダムに販売されるとし、うち1種は未公開のシークレットだとした。L判が税込300円、2L判が同500円だった。
ところが、同日夕になって、公式Xを更新し、「販売開始いたしました『おしつじ』につきまして、ご本人と協議の結果、販売を停止させていただきました」と明かした。そして、「現在、販売再開の予定はございません。何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます」と付け加えた。ローソンのマルチコピー機を導入しているコンビニ「ミニストップ」のプリント公式Xでも、同様のお知らせを出している。
実は、公式Xがブロマイド発売を告知すると、そのことに否定的なリプライが相次いでいた。
おしつじさんがAIを使っていることから、「せめてAIって書けよ」「生成物なのに描き下ろし?」「学習データは?著作権侵害してない?」などと疑問や批判が出ていた。
おしつじさんのイラストを巡っては、9月にフランスの出版社へ提供したとき、それを使ったイメージキャラクターにAI使用が明記されていないと批判が相次ぎ、出版社がイラストを取りやめた経緯がある。そのこともあって、ローソンに対しては、「炎上するって最初から分かり切ってるだろ」と疑問を呈する向きもあった。
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イラスト提供者「AI使用の明記、確認すればよかった」
ブロマイドの販売停止について、おしつじさんは、多数のクレームが来ているためイラスト提供を取り下げてほしいとローソン側から連絡があったと自らのXで明かし、そのことを考えて自らローソン側に申し立てたと説明した。
なお、イラストの制作に当たっては、「AI利用OKで、且つすでに私以外にもAI作品を公開されている方がいるということで公開してます」と経緯を述べた。そして、AI使用を明記しなかったローソン側の不手際ではないかとのリプライに対しては、「私も先方の投稿内容をちゃんと事前に確認すればよかった」と漏らした。
とはいえ、「正直に『AI使ってる』て書いてると毎度叩かれて、書いてない人が叩かれないんだったら、隠れてAI使う人がますます増えそうだけど…本当にそれでいいのかと私は問いたい」と問題提起もしていた。
ブロマイドの販売を停止した理由について、ローソンの広報部は10月2日、J-CASTニュースの取材に対し、「多くのご意見をいただいた事を受けて、ご本人様と協議し、販売を終了させていただくことになりました」とだけ答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)