「日本は解雇しづらい」は本当?


解雇
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小泉議員と河野大臣の主張を聞くだけだと、「日本は相当に解雇しづらい国なのだな」と思う方もいると思いますが、実際はどうなのでしょうか。実は、その認識は少々外れています。OECD(経済協力開発機構)が発表している「OECD加盟国における正規労働者の解雇規制の厳格性」によると、日本は37カ国中25位(2019年時点)で、先進各国の中ではむしろ労働者保護の程度が低い部類に位置付けられているのです。

確かに、考えてみれば日本ではリストラという言葉は一般化されており、意味を知らない人はいません。また、早期退職制度は数多くの企業が導入しています。東京商工リサーチによると、2024年1~8月に早期・希望退職を募集した上場企業は41社(前年同期28社)で、対象人員は7104人(同1996人)と前年同期の3.5倍に達しました。

つい先日も精密機器大手のリコーが、来年3月までに約2000人を削減すると発表して大きな話題となったばかりです。もちろん、「早期退職=解雇」ではありませんが、従業員との雇用契約を打ち切るという意味では同じです。

先進各国と比べて、労働者保護の程度が決して高くない今の日本において、これ以上の解雇規制の緩和がそもそも必要なのかどうかは、よくよく議論していかなければならないことなのではないでしょうか。今回、自民党総裁選で勝利した石破議員は解雇規制の緩和に反対の立場を示しています。しかし、今回の総裁選で大きな争点になったように、近い将来、解雇規制の緩和に賛成の総理大臣が出てくる可能性もあるでしょう。今後も自民党内や国会での議論に注目していく必要があると考えます。