オフィスの不動産契約はどのような流れで行われる?

オフィス賃貸における不動産契約は、どのような流れで進められていくのでしょうか?
ここでは、オフィスの不動産契約の流れをご紹介していきます。

使用目的や希望する条件を明確にする

まずは、オフィスをどのように使用するのか、目的を決めます。
そして、その目的に合わせて希望条件を明確にしていきましょう。
条件としては、目的に合った間取りや設備、立地を探したり、初期費用や月々の賃料と予算を照らし合わせたりすることなどが挙げられます。
オフィスとして使用する場合は、従業員1人あたりに対して坪3~4程度を目安にすることをおすすめします。
オフィスとして使用した場合のシーンを想像し、応接室やミーティングルームの必要有無に応じた間取りを計画しましょう。

物件探しを行い、気になった物件の内見をする

目的と条件を踏まえ、それに合う物件探しを行います。
オフィス用に使用する物件は、不動産会社へ足を運んで条件に合った物件を紹介してもらうと良いでしょう。
これまでにオフィス向けの物件を紹介した経験や実績のある会社を選ぶのがポイントです。
紹介してもらった際には、物件の資料を参考にしながら、気になる点を細かく確認しておきます。
希望に合う物件が見つかったら、内見のために実際に訪問してオフィスとしての使い勝手が良いかどうか判断しましょう。
動線や業務のしやすさ、セキュリティ面などに注目しながら、希望条件とマッチしているかを見定めてください。
中には、資料の情報と実際とでは異なる部分があることもあります。
自社のオフィスとして使用しても良いか、内見をきちんと行って精査することが大切です。

入居申し込みをする

内見した物件が気に入ったら、いよいよ入居申し込み段階に入ります。
入居申し込みを行うと同時に入居審査に入るため、この段階でしっかり必要書類を揃え提出しなければなりません。
法人が物件をオフィスとして利用する場合は、以下の書類が必要です。

・入居申込書
・登記簿謄本
・会社概要
・決算書(貸借対照表・損益計算書・販売管理費明細など)
・その他

法人として物件に入居する場合、このように会社の登記簿謄本や決算書など、会社の事業状況がわかる書類が必要になります。
登記簿謄本については、入居申し込みの段階では写しでも可能な場合があります。
また、個人事業主が物件を利用する場合は所得照明や本人確認書類なども書類も必要です。
不動産会社によって、提出すべき書類に多少の違いがあるので、事前によく確認しておきましょう。

入居審査に通過したら契約を結ぶ

入居申し込みを行うと、すぐに入居審査が始まります。
入居審査は物件のオーナーや不動産会社、保証会社などによって行われ、だいたい1週間を目安に完了します。
ただ、申込状況や審査内容によって、審査完了までに1週間以上かかる場合もあるでしょう。
審査が完了し、無事に通過できた場合は、貸主との条件のすり合わせを行い、双方が条件に合意できたら契約を締結します。
賃貸借契約書には、契約解除時のことや敷金に関すること・退去時の流れ・禁止事項・特約・契約更新や更新料についてなどが詳しく記載されています。
貸主から詳細の説明がありますが、後々のトラブルにつながらないよう、この段階で疑問点や不明点は解決しておきましょう。
契約内容や条件等の変更や交渉をしたい場合は、書類によく目を通した上で行ってください。

入居申し込み時に登記簿謄本の写しのみを提出していた場合は、原本が必要になります。
また、発行から3ヶ月以内の印鑑証明書も必要です。
契約締結日に向けて、必要な書類の準備を進めておきましょう。

内装工事や電気・通信工事を行う

契約締結を結び契約開始となればようやくオフィスへの入居が可能となります。
ただ、場合によってはオフィスとして使用するために内装工事や電気・通信工事が必要になることもあります。
どのオフィス賃貸でも言えることであり、その場合はオフィスとして使用を開始する前に専門の業者に工事を依頼しなければなりません。
全ての工事が完了し、各種設備や什器などが整って初めて、オフィスとしての使用が可能です。

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オフィス賃貸を借りる際の注意点

オフィス賃貸を借りる際には、注意しなければならないこともあります。

事業計画書を作成しておく

会社の立ち上げに伴ってオフィスを借りたいと思っている方も多いでしょう。
しかし、オフィス賃貸を借りる際には立ち上げと同時の契約ができない場合も少なくありません。
これは、審査において判断材料となる書類が少ないことが理由です。
会社を立ち上げたばかりでは、貸借対照表・損益計算書・販売管理費明細といった決算書の用意ができません。
そのため、事前に事業計画書を作成しておき、事業内容の詳細や経営者の実績等の情報を記載しておくことが大切です。
入居審査は、借主を信用できるかどうかで判断されます。
信用を着実に獲得するためには、事業計画書は必須になるでしょう。

余裕を持った資金計画を立てる

オフィス賃貸だけでなく、どのような物件を借りる場合でも、入居直後はまとまった初期費用がかかるものです。
特にオフィス賃貸のような規模の大きな物件では、初期費用が会社運営において大きな負担となるでしょう。
月々の賃料や管理費だけではなく、初期費用を支払った後に残る資金をしっかりと把握し、余裕を持った資金繰りと資金計画を立てる必要があります。
会社経営は長期的な視点で遂行していかなければならないため、資金計画も余裕を持って入念に行うことが大切です。

事業に適した立地にする

オフィス賃貸を選ぶ際には、事業に適した立地を探す必要があります。
例えば、同じ事業を行っている競合他社が少ないエリアを選んだり、顧客ニーズの高いエリアを選んだりして、自社の事業の性質や顧客に合わせて検討する必要があります。
ベンチャー企業やスタートアップ企業の場合は、敢えて同業他社の多いエリアでコミュニティを作っていく方が成長しやすいといったメリットもあるので、自社がどのような状況にあるのかを精査し、様々な観点から具体的に検討していかなければなりません。
このほか、以下のポイントもよく検討すべき項目です。

・最寄り駅からの距離
・利便性の高さ(車の場合は駐車場の有無、バス停等)
・最寄り駅の乗降客数
・大通りに面しているか
・路面・空中階のどちらが良いか
・戸建て・テナントのどちらが良いか
・ビルの規模や入居テナントの種類

もちろん、物件選びの際には予算と照らし合わせながら選ぶ必要があるため、全てのポイントを満たすというのは難しいかもしれません。
その場合は、予算範囲内において優先順位を付けながら取捨選択をしていくのがおすすめです。
特に、一等地のようなエリアを選んだ場合、賃料も高くなる傾向にあります。
適正な賃料を把握しつつ、自社の事業に適したエリアを絞っていくことが重要です。

十分な広さがある物件にする

検討しているオフィス賃貸の広さもよく確認しておく必要があります。
自社の従業員の人数に合わせて、十分な広さがある事務所でなければなりません。
また、将来的に事業拡大の可能性があるなら、その点も踏まえてしっかりと判断しましょう。
広さが不十分だからと言ってその度に移転を繰り返せば、初期費用や内装費などのコスト負担が大きくなるだけでなく、従業員一人ひとりの負担も大きくなってしまいます。
会社の立ち上げ等で、今後従業員を雇う予定があるなら、どれくらいの人数を増やすのか、デスクやOA機器等を設置しても十分なスペースを確保できるかも検討しましょう。
また、普段業務を行うスペースだけでなく、休憩室や応接室、会議室といった部屋の有無や広さなどもよく考慮しておかなければなりません。

設備環境をよく確認する

エリアや物件の広さと同時にチェックしておきたいのが、オフィス賃貸の設備環境です。
会社運営において、オフィス賃貸を借りる際の初期費用は大きな負担となります。
設備環境が整っていれば、入居後に別途工事を依頼するなど、設備環境を整える必要はなくなります。
オフィス内の配線方式やネット環境はもちろん、セキュリティ設備、空調、トイレ、水回りなどを細かく見ておくと、入居後もスムーズに事業に取り組めるでしょう。
エレベーターの台数や駐車場の有無なども確認しておくべき項目です。
また、設備環境についても優先順位を決め、あらかじめ整理しておくと物件を選びやすくなります。

必ず内見をする

当然ながら、入居申し込みを行う前には必ず内見をして物件の資料と実際に現地に行って確認した情報を元に検討しなければなりません。
内見を行わなければ、資料や図面では気付けない点やトラブルなども把握できない可能性があります。
オフィス室内はもちろん、エントランスや共用部分、周辺環境等が十分でなければ、入居後に事業の遂行を阻害する可能性もあるでしょう。
オフィスを使用してから支障が生じないようにするためには、内見に行って物件の確認を進めていくことが必要不可欠です。

契約内容を確認する

賃貸借契約書には、入居中や解約時などの重要な決まりが細かく記載されています。
希望する条件に合った物件が見つかり、契約を交わす際には、必ずこの賃貸借契約書に目を通してください。
この時、疑問点や不明点、自社にとって不利な項目があった場合は、確認して必要に応じて交渉しましょう。
契約解除の手続き方法や退去時の敷金返還などについても細かく記されているので、トラブルを避けるためにもこの段階できちんと確認しておいてください。