物価上昇の最も大きな要因は急激な円安
この物価上昇の最も大きな要因は急激な円安である。
2019年当時は1ドル110円程度であった。しかし、今年になって一時は1ドル160円を超えた。つい最近円高方向に動いたが、それでも1ドル140円台後半であり、2029年当時とは比較にならない。
この急激な円安が最も大きく反映されているのが、輸入物価指数である。2020年を100とする指数で見ると、2019年当時は110程度であったが、2024年6月時点で172.3である。
輸入物価の高騰は、遅れて国内物価に反映される。したがって、今後も物価上昇傾向は続くと見た方が良い。
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円安は「日本だけ金利が異常に低い」ことが原因
円安の最も大きな要因は、他国に比べて金利が低すぎることである。
コロナ禍の大規模な金融緩和・財政支出にロシアのウクライナ侵略が重なったことにより、世界中でインフレが進行した。そのインフレを抑えるため、各国の中央銀行は政策金利を引き上げたが、日銀だけは低金利のままだった。
つい最近、政策金利を0.25に引き上げたが、それでも国際的に見れば異常に低い水準である。セントラル短資FXが掲載している各国政策金利を見ると分かりやすい。
このなかで政策金利が1%にも届かないのは日本だけであり、日本の次に低いスイスですら1.25%である。
日本だけ異常に低い金利になっている理由は、自国のGDPとほぼ同じ規模の大量の国債を日銀が保有しているからである。金利を上げると莫大な評価損が生じ、実質的債務超過に陥る恐れがある。また、日銀当座預金の金利引き上げに伴う利払費の増加によっても債務超過になる危険がある。
他国と違って金利を大きく引き上げることができないため、為替介入を繰り返して無理やり円安を抑える必要がある。つい最近のわずかな利上げで円高方向に転換できたのでしばらくは延命できるかもしれないが、再度利上げ圧力がきた際にそれに応えることができなければまた円安が進む恐れがある。