リコッタチーズと自家製ハチミツ、イチジクがとろけるようなおいしさ。

出来上がりは、想像を超えた可愛さでした。撮影をしながらもキュンキュンしっぱなしで、食べるのが勿体なくて、手をつけるのに深呼吸したくらいです。でも、食べてよかった。食べたらもっとすごかった。まず、バニラアイスのような黄味がかった自家製リコッタチーズと、ホームメイドのハチミツがちょっとついたトーストしたパンの焦げ目を一緒に食べたら、どこにもキャラメリゼした部分はないのにキャラメリゼした味がして、初っ端から全身がとろけてしまいそうなおいしさが口の隅々まで浸透していきました。このリコッタチーズのテクスチャーが、軽過ぎず少し重みがあって、ふわふわしすぎずフワッとしていて、形容しがたい舌触りの気持ちよさだったのです。ここに主役のイチジクが加わったらどうなったかというと、スケッチ帳にメモした言葉は「信じられないほどおいしい」。どの素材も、風味にほわっとした柔らかさがあり、そして、それぞれの量のバランスが絶妙だったのだと思います。最後のひと口が本当に惜しかった。ずっとおいしさに包まれている感覚で食べ終わりました。

食べ終えてから、カメラを片手に、イチジクの木の下に向かいました。大きく息を吸ってから、少し秋めいてきた菜園を一周すると、もう季節が終わりに差し掛かっているトマトの横で、肉厚な葉の野菜がぐんぐん成長し、出番を待ち構えているようでした。
次回もお楽しみに。

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【今回のスケッチメモ】

『Le Doyenné』

木金12:00〜19:00 土日12:00〜22:00 月火水休 0658802518

ledoyennerestaurant.com/fr/home-2

この記事は、Vol.2です。Vol.1こちらから。


菜園から採れたての野菜を。季節のタルティーヌでめぐるフランスの風景。Vol.1_前編 2024.08.28


あふれんばかりのグリーンピースにそそられて。季節のタルティーヌでめぐるフランスの風景。Vol.1_後編 2024.08.29

文筆家 川村 明子

パリ在住。本誌にて「パリのサンドイッチ調査隊」連載中。サンドイッチ探求はもはやライフワーク。著書に『パリのパン屋さん』(新潮社)、『日曜日は、プーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)などがある。Instagramは@mlleakiko。Podcast「今日のおいしい」も随時更新。朝ごはんブログ再開しました。