ある調査によると、日本のフリーランス人口は17%とアメリカの半分以下だといいます。これは、組織に所属することや横並びになる事で得られる「安心」を求める傾向が日本人にあるということかもしれません。本記事では、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋・再編集して、日本人がお金持ちになることを妨げている「横並び思想」について解説します。

所属欲求が強いサラリーマン志向の国民性

日本社会では「出る杭は打たれる」傾向にあることを前回ご説明しました。この「出る杭は打たれる」の根本にあるのが、「横並び思想」です。これは働いている人のほとんどが被雇用者(雇われて働く人)という国民性が影響しているのではないでしょうか。

日本最大級のクラウドソーシングを行っている「ランサーズ」という会社が、2018年に行った調査結果がそれを裏づけています。この調査によれば、アメリカのフリーランス人口が労働人口の35%を占めているのに対して、日本は17%とアメリカの半分以下となっています。

つまり、日本で働くということは何らかの組織に所属し、そこから給料をもらうことを意味すると言っても過言ではありません。

そのせいでしょうか、海外の人に比べて、日本人はとりわけ所属欲求が強いのではないかと感じることがあります。私は20代でアメリカに渡り、その後、オランダやポルトガルに移り住むなど世界各地で暮らしてみて、その思いはより一層強くなりました。

同調圧力の強い日本に暮らす人にとっては、立場も価値観も、他人と一緒であることが安心の根拠になっていると言えるのではないでしょうか。

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フリーランスでは得られない「安心」を求めて

会社で働いていれば毎月給料がもらえる立場の人と、自ら仕事を作り出さない限り一銭もお金が入ってこない立場の人では、仕事に対する意識がまったく違います。会社に所属している人には会社から仕事が与えられますが、フリーランスの場合は自分の存在(実力、顔と名前)で仕事を獲得していくしかありません。

これは私自身が体験したことですが、大企業のサラリーマンだった私は、「仕事が嫌いだ」と言いながらも毎月1回給料をもらえるのが「当然」と思っていました。ところが、ニューヨークでファッションデザイナーになるための勉強をしようと、会社を辞めたとたん、何の肩書きもなくなり、お金も入ってこなくなったのです。

頭では理解していたものの、現実を突きつけられたとき、「どこにも所属しないフリーランスになるというのはこういうことか」と初めて実感しました。

仮に、順調にいくつかの仕事が得られたとしても、取引先には取引先のルールや都合があるので、すぐにギャランティを支払ってくれるとは限りません。想定していたよりも手間と時間がかかって効率が悪かったり、場合によっては案件そのものが立ち消えになったりするリスクもあります。

サラリーマンにはサラリーマンのつらさがありますが、ことにお金に関する不安はフリーランスのほうがかなり強いと断言できます。

多くの日本人にとって、お金は「会社が払ってくれるもの」という刷り込みがあり、だからこそ「頑張ってもたくさんのお金を手にすることはできない」というメンタルブロック(私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁)の要因になっているのではないでしょうか。

日本も欧米にならって実力主義の傾向が強くなってきてはいますが、まだまだ横並び意識が強く、「出る杭は打たれる」社会だと思います。下手に問題意識を持つと組織の中で悪目立ちして浮いてしまい、上司に目をつけられて、社内での居心地が悪くなったり、昇進できなかったり、最悪の場合は肩たたきにあったりする可能性もあります。

そのことを内心よくわかっているので、日本人ははっきりものを言わないし、できるだけ他者と足並みをそろえようとします。そのほうが組織の中で生き残っていくのに便利であり、自分を守っていくことができるからです。

そうしているうちに、「飛び抜けてはいけない」「人と同じでないといけない」というメンタルブロックがより強固なものになっていくというわけです。

三凛 さとし

インフルエンサー