自宅で一人亡くなり、誰にも気づかれずに数日たってから発見される「孤独死」。これまで高齢者の問題とされてきたが、20・30代の「まだこれから」の世代も孤独に命を絶っている。若者たちは何に絶望し、この世を去ってしまうのか。
◆特殊清掃人が見た!若者孤独死の凄惨現場
孤独死や他殺などの事情で放置された遺体現場の後処理を行う特殊清掃業。そんな過酷な仕事を25年続けている高江洲敦氏に、若者の孤独死のリアルな実情を聞いた。
「若者の孤独死で圧倒的に多いのが自殺です。ただ、身寄りがないのではなく、一時の将来の不安から命を絶ってしまうケースが多い。特に、進学や就職など環境が変わるタイミングは若者の孤独死の現場からの要請が増えますね」
あらゆる孤独死現場に立ち会ったことで、若者と高齢者には違いがあると気がついた。
「若者はセルフネグレクト状態で、物が溢れた部屋であっても遺書を残していたり、管理会社に謝罪の手紙を送っていたりします。また、原状回復を楽にしようとオムツをはいた状態の遺体も多くて、死亡後まで迷惑をかけたくないという“意思表示”が強い。その一方で、高齢者は病死や老衰がほとんどで意思表示が残っていない。発見が遅くなれば遺体の腐敗で悪臭や虫が湧いて、原状回復するのにも時間がかかるんです」
◆「ウチは一切関係ない!」と清掃費用を拒む親族
子供の孤独死を知った親からの要望もさまざまだ。
「直近の写真や交友関係がわかるような遺品を探してほしいと言われます。上京してから連絡が途絶えていた遺族は『もっとかまってあげればよかった』と後悔の念にかられる方が大半ですね。その一方で、亡くなったことよりも『金目のものはあるか?』だけを確認する遺族もいて、子供の気持ちを考えたら胸が締めつけられますよ」
そんな遺族対応でも大変なのが、清掃費用の回収だ。
「通常は管理会社や大家から遺族に費用を請求するのですが、遺族への請求を任されることもあって。ウチの場合だと特殊清掃(消毒、害虫駆除、汚染物の処分など)の基本料金が9万8000円で、リフォーム代を加えると100万円以上の請求になることも多いんです。その話をすると、『一切関係ない!』と支払いを拒否する遺族もいて、管理会社が負担することも少なくないんですよ」
’03年に特殊清掃の会社を設立してから、孤独死に立ち向かい続けた高江洲氏。しかし、来年中に一線から退くという。
「さすがに心が疲れてしまったというのが本音ですね。今は特殊清掃を行う業者が数千社以上にも増えていますが、過酷な作業で心を病んで、自殺してしまう人もいる。なので、そういう人たちのケアも含めて、後進の育成をしていきたいと思っています」
若者の孤独死と向き合う側も、相応の覚悟が必要なのだ。
【特殊清掃人・高江洲 敦氏】
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取材・文/週刊SPA!編集部
―[[若者の孤独死]知られざる実情]―