相続時精算課税制度の注意点
住宅取得などで資金をもらった際に相続時精算課税制度を利用する場合、以下の点に注意が必要です。
①一度相続時精算課税制度にすると暦年課税制度に戻すことはできない
一度相続時精算課税制度に決めると、暦年課税制度に戻すことはできません。相続時精算課税制度と暦年課税制度のどちらがお得になるのか考えてから決めるようにしましょう。
②申告制であるため、申告がなければ暦年贈与が適用される
相続時精算課税制度は申告制です。そのため申告がなければ暦年贈与が適用され、110万円を超えた金額には贈与税が適用されます。
(計算例)
3,000万円-110万円=2,890万円
2,890万円×45%-265万円=1,035万円
③小規模宅地の特例制度が利用できない
「小規模宅地等の特例」とは330m2までの自宅の土地の評価額を80%まで減額できる制度です。住宅を建てる際の土地代が高額な場合、特例を使わないと高額な相続税が発生することもあります。
④住宅など不動産の贈与では金額計算が複雑
住宅など不動産の贈与では金額計算が複雑になります。あまりに計算が複雑になるようであれば、贈与や相続ではなく売却して現金化してから贈与・相続するという選択肢もあります。
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歴年課税制度の注意点
暦年課税制度の注意点は以下の通りです。相続時精算課税制度との違いを確認しながら見ていきましょう。
①連年贈与とみなされると課税対象になる
暦年贈与は毎年110万円の贈与はできますが、「意図的に毎年贈与されたお金」とみなされると、今まで贈与されてきた金額すべてに贈与税が適用されることがあります。よくあるパターンとして毎年同じ時期に同じ金額を贈与されると、税務署に連年贈与を疑われるケースがあります。
対策としては
1.贈与の時期を変える
2.贈与の金額を変える
などが挙げられます。より確実に疑われないようにするなら契約書を作って残しておくのも効果的です。
②名義預金とみなされると課税対象になる
たとえば親が子ども名義の預金口座に毎年贈与金を積み立てていた場合、その口座は実質的に「親名義の口座」とみなされて、贈与税が課税されるケースが多いといわれています。
対策としては
1.それぞれ違う届出印で口座を作る
2.口座内のお金を使用する
3.名義人が自由にお金を使えるようにしておく
といった方法が有効です。大事なのは「贈与された人が自身で口座を管理している」のがはっきりわかるようにすること。連年贈与同様に契約書を残しておくとより確実になります。