1.管理栄養士の面接で見られるポイント4つ

面接では受け答え以外にも、応募者の立ち居振る舞いも踏まえて総合的に合否が判断されます。管理栄養士の面接で採用担当者が見ているのは主に次のような点です。

身だしなみ

管理栄養士は、病院や介護施設などの職場で食事を通じて利用者を支える仕事です。職場によっては調理を担当する場合もあるので、常に清潔な状態を保つことが重要です。面接にも、派手な化粧やネイルは避け、清潔感のある服装や髪型で臨みましょう。また、明る過ぎるヘアカラーや結婚指輪以外のアクセサリー着用は、業務上不可としている職場もあるため、面接時から注意しましょう。

コミュニケーション能力

管理栄養士は、病気で食事制限のある人や食生活に不安のある人に栄養指導をします。そのため、伝えるべき内容を的確にまとめる能力や、理解しやすく相手に伝える言語能力、相手のニーズをくみ取る傾聴力などは管理栄養士に欠かせないスキルです。面接で質問に答える際は結論から話し、会話のキャッチボールを意識しましょう。

一般常識・マナー

業務上さまざまな職種・利用者・患者と関わりを持つ管理栄養士は、一般常識や基本的なマナーを備えていることも大切です。あいさつができる、感謝や謝罪をきちんと伝えることはもちろん、面接会場でスマートフォンをいじらない、TPOをわきまえた行動を取るといった部分もチェックされます。

仕事に対する意欲

応募者の意欲は、志望動機の内容だけでなく話す姿勢や表情からも伝わります。視線が泳いだり表情が暗かったりするとマイナスな印象を与えるので、明るい表情と良い姿勢を心がけましょう。

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2.管理栄養士の面接で聞かれる質問・回答例

ここからは、管理栄養士の面接でよく聞かれる質問とその回答例を紹介します。前提として、面接官が聞きたいのは立派な模範回答ではなく、あなたの考えや人となりがわかる回答です。以下の例を参考に、あなたらしさが伝わる受け答えを心がけてみてください。

自己紹介・自己PRに関する質問

Q「自己紹介をお願いします」

自分の名前と経歴、志望理由、締めのあいさつを簡潔に伝えます。最初の質問なのであまり長くは話さず、30秒〜1分程度を目安にまとめましょう。

回答例「◯◯◯◯(自分の姓名)と申します。短大卒業後、栄養士として◯年間、有料老人ホームに勤務し、利用者さまの食生活をサポートしてまいりました。昨年、管理栄養士の資格を取得したので、今後は病院で管理栄養士として、病気の方を食事の面から支える仕事がしたく、御院に応募いたしました。これまでの経験を活かして貢献できればと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします」

Q「自分自身をどのような性格だと思いますか」

Q「長所と短所を教えてください」

この質問では「客観的に自分をどう捉えているか」が見られます。長所は応募先の職場でどのように活かせるかを伝えます。短所の伝え方には注意が必要で、悪い点をそのまま伝えて終わるのは禁物です。裏を返せば長所とも捉えられる内容を選んだり、克服のために取り組んだエピソードを紹介したりするなど、ポジティブな内容に変換するようにしましょう。

回答例「私は柔軟に新しい調理方法や技術を取り入れることが得意です。有料老人ホームでは利用者さまの食事がマンネリ化しないよう、さまざまなレシピに挑戦し、ご好評をいただいておりました。探究心がある一方で、新しい調理方法や献立などを考えるあまり、ほかの仕事が後手に回ってしまうこともあるため、メリハリが重要だと考えています」

志望動機に関する質問

Q「志望動機を教えてください」

志望動機は応募先の法人理念やサービス内容、独自性などを踏まえたうえで「この職場だからこそ働きたい」という気持ちを伝えることが大切です。さらにこれまでの経験やスキルをもとに、その職場でどのような貢献ができるのか伝えると良いでしょう。

回答例「御院に入院した友人から、入院中の食事が病院食とは思えないおいしさだったと聞いたことがあり、御院の管理栄養士職に関心を持ちました。入院している患者さまの生活を大切にする姿勢に魅力を感じています。これまでの経験を活かしながら、給食管理や栄養指導のスキルを高め、将来的には認定管理栄養士の取得も目指したいと考えています。栄養の面から御院のチーム医療に貢献し、自分自身も成長していきたいです」

Q「入職後に取り組みたいことはありますか」

その職場で何を成し遂げどのような貢献ができるのか、また本人の希望を叶えられるのかを確認する質問です。自由に答えてOKですが、事前にしっかりと応募先の組織や業務内容について調べたうえで、現実的な内容を答えましょう。とくに未経験者の場合、下調べが不足していると、実際の業務とは異なる的外れな回答になってしまうことがあります。

回答例「まずは、御院の食事提供フローや栄養士チームの役割をしっかりと把握し、スムーズに現場になじめるように努めたいと思います。また、現職では栄養指導の業務がないのですが、日頃の食事に注目してもらうことは、健康の維持と増進につながると考えており、今後は患者さまへの栄養指導にとくに力を入れたいです。最新の情報をキャッチアップしながら、実践的な知識を身につけていきたいと考えています」

Q「前職の退職理由/転職理由を教えてください」

中途採用の人が必ずと言っていいほど聞かれる質問です。「職場の人間関係が悪かった」「残業が多く、給料が少なかった」など前職の悪いところを正直に伝えてしまうと、「思うようにいかないときにまた辞めてしまうのでは」と思われてしまいます。たとえネガティブな原因があったとしても、転職理由は「自分のやりたいことを実現するため」「スキルアップのため」など、前向きな理由を伝えるようにしましょう。

回答例「現職の有料老人ホームでは、献立作りや食材の発注、調理スタッフへの指導など、栄養士としての基礎をしっかりと身につけることができました。一方で、より専門的な知識を身につける必要性を感じることも多く、管理栄養士を取得しました。健康な方だけでなく、入院されている方にも栄養とおいしさのバランスの取れた食事を提供したいと考えるようになり、転職活動を始めました」

仕事・経験・スキルに関する質問

Q「管理栄養士(栄養士)を目指したきっかけを教えてください」

管理栄養士を目指したきっかけを聞くことで、「応募者の人となり」や「その仕事に対する思い」を確認する質問です。きっかけは人それぞれなので、エピソードを交えながら具体的に伝えるようにしましょう。

回答例「糖尿病の叔父の食事を準備する、祖母の苦労を目の当たりにしたのがきっかけです。食事に制限があるうえに好き嫌いも激しく、祖母は何を作るか困って、通院先の栄養士の方に相談し、アドバイスをいただいたことがありました。健康に暮らすためには、食事が大切であることを痛感して、栄養士を目指しました。管理栄養士を取得したのも、叔父が闘病する姿を見ていて、病気の方への栄養指導に取り組みたいと考えたためです」

Q「仕事をするうえで心がけていることを教えてください」

この質問では、あなたが管理栄養士として働くうえでの信念を聞くことで、応募先の理念や方針と合っているかを確認しています。まず結論を伝え、続いて具体的な理由を説明しましょう。自身の心がけていることをもとに実際に取り組んだエピソードを聞かれる可能性もあるので、回答できるよう用意しておくと安心です。

回答例「現職では、提供した食事をおいしく食べていただけているのか、定期的に利用者さまに確認しています。もちろん、健康に良い食事であることは重要なのですが、やはり楽しんで食べていただきたいからです。利用者さまから『この間の炊き込みご飯おいしかったよ』などとお声がけいただくのが、何よりうれしいです」

Q「印象に残っている給食管理や栄養指導のエピソードについて教えてください」

管理栄養士としてこれまでにどのような経験をし、どう対応してきたのか、そしてその出来事をどう捉えているかを聞く質問です。エピソードの状況を説明し、そのうえで自分が学んだことや成長した点に触れるようにしましょう。

回答例「有料老人ホームに入居したばかりの利用者さまで、食事の味が薄いとおっしゃる方がいました。入居するまでは、よく外食をされていたそうです。飲食店の味付けは塩分が濃く、毎日の食事には適さないことを伝え、適切な塩分について理解してもらいました。また実際の調理の際も、塩分を抑えながらも、出汁などでしっかりと味を付けたメニューを提供し、おいしいと喜んでいただきました」

Q「調理経験はありますか」

Q「人手不足の日などに調理業務は担当できますか?」

職場によっては、管理栄養士の業務内容として給食管理や栄養指導に加え、調理業務がある場合もあります。この質問は調理に対応できるかどうかを確認するための質問です。調理業務をいとわない場合は経験が少なくても、自宅で調理していることなどを伝え、前向きに取り組めるとアピールしましょう。

回答例「現職では調理スタッフがいるため、業務は献立作りや調理スタッフへの指導が中心です。ただ、調理スタッフが足りない日などは、自分自身で調理を担当することもあるので、調理業務も問題なく対応できます。また、新しい調理方法やメニューを学ぶため、自宅でも可能な限り自炊するようにしています」

労働条件・働き方に関する質問

Q「ほかにも選考を受けていますか」

この質問に対して「御院(御社)しか受けていません」と答えることで志望度の高さをアピールする人がいますが、事実でない場合は選考状況は正直に答えるようにしましょう。ほかに選考を受けているからといって、一概に評価が下がるわけではありません。採用側は複数の応募者の採用スケジュールを調整する目的や、応募者の志望先に一貫性があるかどうかを確認するために質問していると考えられます。

回答例「自宅から通勤できる2つの総合病院を受けています。1件は明後日面接予定で、もう1件は今週末に最終結果が出る予定です」

Q「何か質問はありますか」(逆質問)

面接の終盤では、応募者からの質問である逆質問を尋ねられることが多いです。その際に「とくにありません」という回答では、意欲が欠けている印象を与えてしまいます。少なくとも3つ程度は事前に質問を用意しておくと良いでしょう。

質問内容は自分が聞きたいことでOKですが、「事前に調べればわかる情報」「面接官がすでに説明したこと」「福利厚生や待遇面に関することばかり」を質問するのはNGです。もし準備していた逆質問の答えがそれまでの会話で登場した場合は、「お聞きしたかった質問はこれまでのお話で解消できたため、追加ではありません」などと伝えると好印象です。

逆質問は自己アピールや有用な情報を得られるきっかけにもなるため、上手に活用しましょう。

回答例「資格取得に関する支援制度はございますでしょうか。将来的に認定管理栄養士を取得したいと考えているため、制度があるようでしたらぜひ活用したいと思っています」