3.人気の認定薬剤師資格12選

ここからは、認定者数の多い人気の認定薬剤師の資格を「生涯研修認定制度」と「特定領域認定制度」から12種類紹介していきます。

 

資格名

種類

認定者数※

1

研修認定薬剤師

生涯研修

5万830人

2

認定実務実習指導薬剤師

生涯研修

2万2,618人

3

日病薬病院薬学認定薬剤師

特定領域

1万4,584人

4

漢方・生薬認定薬剤師

生涯研修

2,543人

5

がん薬物療法認定薬剤師

生涯研修

1,031人

6

緩和薬物療法認定薬剤師

生涯研修

870人

7

感染制御認定薬剤師

生涯研修

345人

8

救急認定薬剤師

生涯研修

306人

8

腎臓病薬物療法認定薬剤師

生涯研修

213人

10

認知症研修認定薬剤師

生涯研修

190人

11

在宅療養支援認定薬剤師

特定領域

118人

12

プライマリ・ケア認定薬剤師

特定領域

126人

※2024年9月時点

研修認定薬剤師

プロバイダー

日本薬剤師研修センター

認定審査料

1万円(税抜)

認定更新料

1万円(税抜)

認定期間

4年

2回目更新以降は3年

取得条件

4年以内に40単位取得

更新条件

40単位取得

2回目以降は30単位取得

 

研修認定薬剤師は、薬剤師の自己研鑽を客観的に評価するための認定資格です。1994年に公益財団法人日本薬剤師研修センターによって創設されました。

学会の会員になる必要がなく、発表や症例報告が不要で取得しやすい資格です。かかりつけ薬剤師になるための要件の1つでもあるため人気が高く、2024年時点では5万830人が認定を受けています。

認定実務実習指導薬剤師

プロバイダー

薬学教育協議会

認定審査料

5,000円(税抜)

認定更新料

5,000円(税抜)

認定期間

6年

取得条件

1.実務経験5年(6年制の教育を受けた人は3年以上)かつ受講時点で継続して3年以上

2.ワークショップ形式研修への参加

3.講習会形式研修への参加

更新条件

1.認定期間中に3年以上薬剤師実務に従事

2.更新申請時点で引き続き1年以上従事

3.指導実績1例以上提出

4.更新講習を受講

認定実務実習指導薬剤師は、薬学部教育課程の実務実習で指導をおこなうために必要な認定資格です。2005年に厚生労働省の補助事業として始まりましたが、2022年以降は薬学教育協議会が実施しており、2024年時点では2万2,618人が認定を受けています。

日病薬病院薬学認定薬剤師

プロバイダー

日本病院薬剤師会

認定審査料

認定審査料:2,000円(税抜)

認定料:3,000円(税抜)

認定更新料

更新料:3,000円(税抜)

認定期間

6年

取得条件

1.日病院薬剤師会の会員である

2.3年以内に50単位取得

3.認定試験合格

更新条件

1.日病院薬剤師会の会員である

2.6年以内に100単位取得

3.認定試験合格

日病薬病院薬学認定薬剤師は、薬物に関する幅広い知識と、チーム医療に必要とされるスキルが習得できる認定資格です。2015年に一般社団法人日本病院薬剤師会によって設立され、2023年時点で1万4,584人が認定を受けています。

学習した内容は、病院の臨床現場のさまざまな業務に活用できます。患者やスタッフとのコミュニケーションや病院経営など、薬剤師業務の幅を広げるために有効な資格です。

漢方薬・生薬認定薬剤師

プロバイダー

日本薬剤師研修センター

認定審査料

2万円(税抜)

認定更新料

2万円(税抜)

受講料

5万5,000円(税抜)

認定期間

3年

取得条件

1.研修参加

2.薬用植物園実習レポート提出

3.試問合格

更新条件

1.3年以内に30単位取得

漢方薬・生薬認定薬剤師は、漢方薬や生薬に関する専門知識に関する知識を学べる認定資格です。2001年に公益財団法人日本薬剤師研修センターによって創設され、2024年時点で2,543人が認定を受けています。

がん薬物療法認定薬剤師

プロバイダー

日本病院薬剤師会

認定審査料

会員:1万円(税抜)

非会員:1万5,000円(税抜)

認定更新料

会員審査料:1万円(税抜)

非会員審査料:1万5,000円(税抜)

更新料:2万円(税抜)

受講料

会員:2万円(税抜)

非会員:3万円(税抜)

認定期間

5年

取得条件

1.薬剤師として実務経験3年以上

2.がん薬物療法に3年以上かつ、申請時に継続して1年以上従事

3.日病院薬剤師会の会員である

4.日病薬病院薬学認定薬剤師である

5.実技研修受講あるいは、研修施設で3年以上がん薬物療法に従事

6.20単位取得

7.がん患者への薬剤管理指導の実績50症例以上

8.病院長あるいは施設長などからの推薦

9.薬物療法認定薬剤師認定試験合格

更新条件

1.認定期間中継続して日病院薬剤師会の会員である

2.以下いずれかの会員である

・日本医療薬学会

・日本薬学会

・日本臨床薬理学会

3.以下いずれかの会員である

・日本癌学会

・日本癌治療学会

・日本臨床腫瘍学会

・日本緩和医療学会

・日本緩和医療薬学会

・日本臨床腫瘍薬学会

4.認定期間中がん薬物療法に関する専門的業務に従事

5.50単位以上取得

6.5年以内にがん患者への薬剤管理指導25症例提示

7.学会発表1回以上または学術論文1編以上

がん薬物療法認定薬剤師は、がん治療に関する薬物療法の知識や技術を学べる認定資格です。2001年に公益財団法人日本薬剤師研修センターによって創設され、2024年時点で1,031人が認定を受けています。

近年、外来治療で経口抗がん剤による治療を受ける患者が増加しています。それに伴い、病院内での処方箋発行も増加しており、がん治療に関する薬物療法の知識はますます重要になっています。

緩和薬物療法認定薬剤師

プロバイダー

日本緩和医療薬学会

認定審査料

試験料:2万円(税抜)

認定審査料1万円(税抜)

認定更新料

1万円(税抜)

認定期間

5年

取得条件

1.実務経験5年以上かつ、申請時に継続して緩和医療に3年以上従事

2.日本緩和医療薬学会会員である

3.以下いずれかの資格を有する

・日病薬病院薬学認定薬剤師

・日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師

・日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師

・CPCにより認証された認定薬剤師

4.5年以内に100単位取得かつ指定の講習に参加

5.緩和医療領域に関する2回以上の学会発表

6.緩和医療領域薬剤管理指導の実績30症例提示、あるいは緩和医療領域服薬指導等の実績15症例提示

7.所長からの推薦

8.認定試験合格

更新条件

1.以下いずれかの資格を有する

・日病薬病院薬学認定薬剤師

・日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師

・日本医療薬学会医療薬学専門(指導)薬剤師

・CPCにより認証された認定薬剤師

2.認定期間内に合計3年以上、緩和医療に従事

3.期間内に100単位取得

4.日本緩和医療薬学会年会に2回以上参加

5.指定の講習会に1回以上参加

6.緩和医療領域に関する学会発表を1回以上

7.緩和医療領域に関する5症例提示

緩和薬物療法認定薬剤師は、がん患者への緩和ケアに関する知識と技術を学べる認定資格です。2010年に日本緩和医療薬学会(JPPS)によって創設され、2024年時点で870人が認定されています。

感染制御認定薬剤師

プロバイダー

日本病院薬剤師会

認定審査料

会員:1万円(税抜)

非会員:1万5,000円(税抜)

認定更新料

会員審査料:1万円(税抜)

非会員審査料:1万5,000円(税抜)

更新料:2万円(税抜)

受講料

会員:2万円(税抜)

非会員:3万円(税抜)

認定期間

5年

取得条件

1.実務経験3年以上

2.感染制御活動経験3年以上かつ、申請時に継続して1年以上従事

3.以下いずれかの会員であること

・日本病院薬剤師会

・日本医療薬学会

・日本薬学会

・日本臨床薬理学会

・日本TDM学会

・ICD制度協議会に加盟している学会・研究会

4.感染制御に関する対策20例以上報告

5.10単位取得

6.指定の講習会を1回以上受講

7.病院長からの推薦

8.認定試験合格

更新条件

1.認定期間中引き続き以下いずれかの会員であること

・日本病院薬剤師会

・日本医療薬学会

・日本薬学会

・日本臨床薬理学会

・日本TDM学会

・ICD制度協議会に加盟している学会・研究会

2.以下いずれかの資格を所得していること

・日病薬病院薬学認定薬剤師

・日本医療薬学会により認定された専門薬剤師

3.認定期間中、感染制御に関する専門的業務に従事

4.5年以内に30単位取得

5.5年以内に感染制御に関する対策10例以上報告

6.5年以内に学会発表1回または学術論文1編以上

感染制御認定薬剤師は、感染症制御に対する薬学的な管理だけでなく、医療機関での感染症対策に関する幅広い知識を学べる認定資格です。2008年に日本病院薬剤師会によって創設され、2024年時点では354人が認定を受けています。

感染制御認定薬剤師には、上位資格に「感染制御専門薬剤師」があり、取得することでICUで活躍する薬剤師へのキャリアアップが見込めます。

救急認定薬剤師

プロバイダー

日本臨床救急医学会

認定審査料

申請手数料:9,091円(税抜)

認定料:1万8,182円(税抜)

認定更新料

更新手数料:9,091円(税抜)

更新料:9,091円(税抜)

認定期間

5年

取得条件

1.実務経験5年以上

2.救急医療従事経験2年以上

3.日本臨床救急医学会会員歴2年以上

4.以下いずれかの資格を有する

・日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師

・日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬師

・日本医療薬学会が認定する専門薬剤師

・日本臨床薬理学会が認定する認定薬剤師

・日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師

・JPALS認定薬剤師

5.救急医療に関する症例25例提出

6.50単位取得

7.指定の講習会を受講

8.日本臨床救急医学会評議員または所属施設長の推薦

9.認定試験合格

更新条件

1.認定時から継続して日本臨床救急医学会会員である

2.80単位取得

3.指定の学術集会に1回以上参加

4.指定の講習会を2回以上受講

救急認定薬剤師は、緊急性が高いICUや災害現場での薬物療法についての知識や技術を学べる認定資格です。2011年に日本臨床救急医学会によって創設され、2023年時点では306人が認定を受けています。

腎臓病薬物療法認定薬剤師

プロバイダー

日本腎臓病薬物療法学会

認定審査料

書類審査料:1万円(税抜)

認定試験受験料:1万5,000円(税抜)

認定更新料

更新料:1万円(税抜)

認定期間

5年

取得条件

1.実務経験5年以上かつ、申請時に継続して2年以上従事

2.日本腎臓病薬物療法学会会員歴3年以上

3.直近3年間で12単位取得

4.直近10年間に3回以上の学会発表

5.直近5年間の15自験例を提出

6.認定試験合格

更新条件

1.認定期間中継続的に日本腎臓病薬物療法学会会員である

2.腎臓病薬物療法に貢献した活動履歴の提出

3.直近5年間で20単位以上取得

4.指定講演を2回以上受講

5.直近5年間で1回以上の学会発表

6.直近5年間の15自験例を提出

腎臓病薬物療法認定薬剤師は、透析・腎移植を含めた慢性腎臓病診療などの薬物療法の専門知識と技術を学べる認定資格です。2011年に日本腎臓病薬物療法学会によって設立され、2023年時点では213人が認定を受けています。

腎臓病薬物療法認定薬剤師に関連する資格として「腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師」と上位資格の「腎臓病薬物療法専門薬剤師」があります。

認知症研修認定薬剤師

プロバイダー

日本薬局学会

認定審査料

認定試験受験料:1万円(税抜)

認定申請料:1万円(税抜)

認定更新料

認定更新料:1万円(税抜)

受講料

ワークショップ90分1単位あたり

会員:1,819円(税抜)

非会員:2,728円(税抜)

認定期間

3年

取得条件

1.eラーニング20単位取得

2.ワークショップ6単位取得

3.認知症の人への介入事例1例〜3例提出

4.認定試験合格

更新条件

1.10単位取得

2.日本薬局学会の正会員である

3.認知症の人への介入事例1例以上提出

4.以下いずれかの発表または参加

・認知症関連の学術発表

・ワークショップへファシリテーターとして参加

・認知症関連の地域活動に参加

5.指定の講演会への参加

認知症研修認定薬剤師は、薬学的な視点から認知症患者やその家族を支えるための知識を学べる認定資格です。2016年に日本薬局学会によって創設され、2024年1月時点では190人が認定を受けています。

在宅療養支援認定薬剤師

プロバイダー

日本在宅薬学会

認定審査料

審査料:9,091円(税抜)

登録料:9,091円(税抜)

認定更新料

審査料:9,091円(税抜)

登録料:9,091円(税抜)

認定期間

3年

取得条件

1.実務経験3年以上

2.35単位取得

3.以下いずれかの資格を有する

・CPCに認証された生涯研修認定薬剤師

・日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師

・日本医療薬学会認定薬剤師

4.在宅業務に関する5事例提出

5.学術大会への参加

6.バイタルサイン講習会への参加

更新条件

1.実務経験3年以上

2.以下いずれかの資格を有する

・CPCに認証された生涯研修認定薬剤師

・日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師

・日本医療薬学会認定薬剤師

3.30単位取得

4.在宅業務に関する5事例提出

5.プレアボイド3事例以上登録

6.学術大会への参加

在宅療養支援認定薬剤師は、在宅介護を受ける人に向けた薬物療法を学べる認定資格です。2012年に日本在宅薬学会によって創設され、2023年時点では118人が認定を受けています。

プライマリ・ケア認定薬剤師

プロバイダー

日本プライマリ・ケア連合学会

認定審査料

認定審査料

会員:9,091円(税抜)

非会員:1万3,637円(税抜)

登録料:9,091円(税抜)

認定更新料

会員:9,091円(税抜)

非会員:1万3,637円(税抜)

認定期間

3年

取得条件

1.50単位取得

2.認定試験合格

更新条件

1.30単位取得

2.5事例報告

プライマリ・ケア認定薬剤師は、患者を総合的に診て対策を取る能力や、多職種と連携に必要な知識を学べる認定資格です。2011年に日本プライマリ・ケア連合学会によって設立され、2024年9月時点では126人が認定を受けています。

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4.認定薬剤師取得の流れ

認定薬剤師取得の流れは、取得する資格によって異なります。ここでは研修認定薬剤師を例にして取得の流れを紹介します。

(1)PECS(薬剤師研修・認定電子システム)に登録

現在、認定薬剤師制度の取得単位は、すべてPECS(薬剤師研修・認定電子システム)で管理されています。登録前に研修や講習を受けてしまった場合、履修単位として承認されません。

(2)プロバイダーが主催する研修に参加

日本薬剤師研修センターが実施する研修に参加することで単位を取得できます。具体的な研修の種類は以下のとおりです。

集合研修学術集会eラーニング研修ウェブ利用研修(集合研修即時配信)ウェブ利用研修(集合研修アーカイブ配信)ウェブ利用研修(学術集会)自己研修(レポート提出など)(年間5単位まで)学術集会等発表(年間3単位まで)学術雑誌論文掲載(年間3単位まで)

また、必要単位である40単位のうち20単位までは日本薬剤師研修センターが認めた研修実施機関による研修でも取得可能です。複数の実施機関があるため、費用や視聴するデバイス、学びたい領域など自分に合ったものを選択しましょう。

なお、取得単位のPECSへの反映は当日ではありません。現地研修の場合は1週間、ウェブ利用研修の場合は1ヶ月、eラーニングの場合は翌々月末に反映されるため、期限に間に合うように受講しましょう。

(3)認定申請〜認定証の交付

認定申請日からさかのぼって4年以内に40単位を取得したら、PECSから新規申請をおこないます。審査にかかる期間は書類不備がない場合2ヶ月程度です。審査が通るとメールにて認定許可がおり、許可通知から約1ヶ月後に認定許可証が手元に届きます。

(4)更新

研修認定薬剤師の認定期間は、認定許可を受けた日から4年間(2回目以降は3年間)です。更新するには認定期間内に毎年5単位以上かつ合計30単位取得する必要があります。

認定期間内に必要単位を取得できなかった場合でも、新規の取得条件を満たせば、新規認定として再度資格を取得できます。