みなさんは「バーミキュライト」というものをご存じですか? バーミキュライトは、ガーデニングを助けてくれる非常に便利なもので、市販の培養土にもよく配合されている資材です。この記事では、そんなバーミキュライトの効果からその使い方までを詳しくご紹介します。

バーミキュライトとは


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もとは「苦土蛭石」という鉱物

バーミキュライトとは、黒雲母や金雲母が加水分解して生じた「苦土蛭石(くどひるいし)」という天然の鉱物を、加熱風化処理してふくらませ、ガーデニング用に細かく加工した土壌改良剤です。原料は日本や中国、南アフリカ、オーストラリアなどで採取されています。

バーミキュライト(vermiculite)は英語で蛭石のこと。そして「vermiculite」はラテン語で蛭やミミズなどの蠕虫(ゼンチュウ)という意味の vermiculariに由来しています。

見た目はうろこ状でキラキラとした光沢があり、基本的に土に混ぜて使用しますが、単体で挿し木用土として使うこともあります。土壌改良など園芸や農業で使われるほか、壁や天井などに使われる建材に用いられることもあります。

バーミキュライトの成分


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バーミキュライトの主成分は、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどです。

原料の苦土蛭石の「苦土」とは、よく園芸で用いられる苦土石灰と同様に、マグネシウムが含まれていることを指しています。ちなみに、苦土蛭石は熱を加えるとウネウネとヒルのように動くことが由来となり、「蛭石」と呼ばれています。

園芸で使われるバーミキュライトは、植物の生育をよくするマグネシウムやカリウム、鉄分などの微量元素を含んでいます。もっとも、含有成分が水や土に溶け出す量はほんのわずかなため、肥料としての効果は期待できません。

カイロの原料でもある

バーミキュライトは実は使い捨てカイロの原料でもあります。市販のカイロの原料は、鉄粉、バーミキュライト、活性炭、吸水性樹脂、塩類、水です。また、簡易使い捨てカイロの作り方などを見ても、原料には鉄粉、食塩水、そしてバーミキュライトが含まれていると書かれています。

鉄は酸素と反応すると酸化鉄になる、つまり錆びるという化学反応を起こします。この化学反応を起こすときに出る熱を利用しているのがカイロです。バーミキュライトは、カイロに含まれている水分を表面の小さな穴に取り込んで、保水剤の役割を果たしています。カイロを揉むと、バーミキュライトが吸っていた食塩水がしみ出て、鉄粉と反応して熱が出るという仕組みです。

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バーミキュライトの製造方法


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バーミキュライトは、原料である苦土蛭石を800~1,000℃という高温の焼成炉に入れて加熱することで製造されます。苦土蛭石は高熱を加えると蛇腹状に膨張して元の体積の十数倍にもなるので、これを小さく砕いてガーデニングに使いやすい適したサイズにします。

膨張したバーミキュライトは多層構造で隙間や穴がたくさんあるため、ここに水分や肥料、空気が入り込んで、土の状態を改善する効果があります。