揃いのお椀は家族団らんの中心に。
幼い子ども用のお椀を探していた頃、参加した味噌造りのワークショップを通じて福島・会津で作られているこの器を知りました。「水平」というモデルを手に取ってみると、安定感のある佇まいで、持ちやすさにびっくり。マトリョーシカが好きなので、飯椀、汁椀、菜盛り椀の3つが入れ子状態になるところにもぐっときました。6年ほど使用していますが、子どもの小さな手にも収まりやすく、落としたこともありません。雑に扱っているので傷はあるけれどまだまだ艶やか。漆を塗り重ねることで生まれる深い黒色は存在感があり、何を盛っても食材をおいしそうに引き立ててくれます。下の子どもが生まれたことをきっかけに、次は赤色を買おうと計画中。6個になった器は様々な用途に使えそうだし、子どもが巣立った後は夫婦ふたりのお揃いで使うのも楽しみです。
呉 美保 Mipo O映画監督
スクリプターとして、映画制作をスタート。2006年に監督デビュー。9年ぶりの長編作品『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が公開中。
illustration : Megumi Sasaki text : Shoko Matsumoto
&Premium No. 131 LONG-TIME STAPLES / 使い続けたくなる、愛しいもの。
ファッションやライフスタイルにまつわるもの選びにおいて、時間をかけて長く付き合っていく姿勢が、これまで以上に必要とされているように思います。でも、ただ漫然と「長く使い続ける」ことだけが重要ではなく、それを使ったり、身に着けたときに、出合った頃と変わらぬ「愛おしさが続いている」ことも、忘れてはならない大切な要素なのではと考えます。初めて手にしたときの高揚感、作り手のこだわりに惚れ惚れとしたこと、使い続ける日々の中で紡がれた大切な思い出……。そういったさまざまな「記憶」が、人とものを、長きにわたって、幸せなかたちで繫ぎ合わせていくのです。〈ミナ ペルホネン〉のデザイナー・皆川明さんをはじめ、たくさんの方々に「使い続けたくなる、愛しいもの」にまつわるエピソードについて聞いてみました。
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