団体信用生命保険は月々いくら?選び方もプロが解説!

特約付き団体信用生命保険とは

団体信用生命保険には、特約付きと呼ばれるものも存在します。特約付き団体信用生命保険とはどのような保険なのでしょうか。

 

三大疾病になったとき保障される団体信用生命保険

ー三大疾病団体信用生命保険という保険を聞いたことがあります。三大疾病とはなんですか?

三大疾病とは「がん」、「心疾患」、「脳血管疾患」といった3つの病気を指します。日本人の死因上位を占める病気のことです。

 

ー三大疾病団体信用生命保険とはどのような保険ですか?

三大疾病の「がん」、「心疾患(心筋梗塞など)」、「脳血管疾患(脳卒中など)」になった場合、住宅ローンが免除される保険になります。

がんはステージ3以上(細胞の中に浸透するがん)と診断されたときに免除されますが、心筋梗塞や脳卒中の場合は各社で対応が違ってきます。

 

ー住宅ローン免除の条件が各社で変わるのですか?

はい。心筋梗塞もしくは脳卒中と判断されて入院・手術をしたら免除になるケースのほか、60日以上の入院が免除の条件となるケースもあります。

 

ー三大疾病団体信用生命保険でも、加入条件は通常のものと変わらないのでしょうか?

はい。三大疾病団体信用生命保険の場合でも健康状態の告知義務があるなど、基本的な条件は変わりません。ただ、通常の生命保険と同じく「免責期間」がある点に注意しましょう。

 

ー免責期間とはなんですか?

一般的ながん保険では通常、保険加入時から90日間は免責期間となるため、その間にがんと診断された際に保険金が下りることはありません。

三大疾病団体信用生命保険も一般の生命保険と同様に、免責期間が設けられています。

 

保障範囲が広がる分、金利も上乗せされる

ー通常の団体信用生命保険との違いは、病気に関する保障の有無と考えてよいでしょうか?

そうですね。一般の団体信用生命保険より保障範囲が広がる分、金利が上乗せされる点も大きな違いだと思います。

 

ー特約付き団体信用生命保険の場合、金利はどのくらい上乗せされるのですか?

多い時で0.3%ほど金利が上乗せされます。金利がどれくらい上乗せされるかは、各銀行によって異なります。

 

ー金額として大体どれくらい変わってくるのでしょうか?

変動金利(0.52%)で4000万円の住宅ローンを組み、35年かけて返済するケースで考えてみましょう。

特約を付けない団体信用生命保険の場合、月々の支払いは約10万4千円(変動金利が0.52%から変わらない想定)。支払い総額が約4375万円になります。この375万円というのが、金利の部分です。

 

ーなるほど。特約を付けるとどれくらい変わるのでしょうか?

金利が0.3%上乗せされる特約付き団体信用生命保険の場合は、月々の支払いが5千円増えて10万9千円。月5千円となるとあまり大きな金額ではありませんが、支払い総額は4602万円。利息分が602万円になり、通常の団体信用生命保険より220万円ほど多く利息を支払うことになります。

この220万円が、三大疾病の保障に対して支払う掛け捨ての保険になります。

 

ー掛け捨てというのは、病気にならなかった場合も保障を付けた分のお金は返ってこないということですよね?

そうですね。掛け捨ての保険は保険料を安く押さえられる一方、特約付き団体信用生命保険は通常の保険より高い金利を支払わなくてはいけないため、割に合わないというケースもあります。

たとえば返済があと1年という時にがんを患い、通常より高い金利で2500万円ほど総額で支払っていたとしましょう。残りの500万円は免除となりますが、今まで支払った金額は返ってきません。

特約付きの団体信用生命保険はただ付ければよいというわけではなく、年齢や仕事の状況などを加味して考えることが大切なのです。

 

ーなるほどですね…ちなみに、途中から特約付き団体信用生命保険に切り替えることはできるのでしょうか?

いえ、途中で住宅ローンの借り換えをしない限りは、団体信用生命保険を切り替えることはできません。

 

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団体信用生命保険はどう選ぶ?見極めるポイント

特約付きの団体信用生命保険と通常の団体信用生命保険の2種類あるなかで、どのように加入する保険を選べばよいのでしょうか。

団体信用生命保険を選ぶ際のポイントをお聞きしました。

 

病気になるリスクが高まる年齢の場合は付けたほうがよい

ー団体信用生命保険を特約付きのものにするかはどのように見極めればよいのでしょうか?

男性が住宅ローンを組むことが多いため男性メインでお話しすると、がんのり患率は60歳以降から急激に上昇しています。

若いときは比較的がんになりにくいため、20代の方が60~65歳で完済できるような住宅ローンを組む場合は特約を付けなくてもよいでしょう。

 

生活状況も加味して考える

ー年齢のほかに、特約をつけるかどうか見極めるポイントはありますか?

契約者の方の生活状況も加味して考えるとよいでしょう。奥さまが専業主婦であれば特約付きの団体信用生命保険にするほうがよいケースもありますが、共働きで夫婦どちらも一定の収入がある場合は、特約は要らないかもしれません。

 

ー夫婦でペアローンを組んでいる場合も特約は要らないのでしょうか?

そうですね。ペアローンの場合は借りる金額自体が少なくなることも多いため、住宅ローンを借りる期間そのものが短くなるケースもあります。

団体信用生命保険はあくまでも住宅ローンの残債を免除するものになるため、保障が一生涯続くわけではありません。住宅ローンの金額が少ない場合はがん保険などの生命保険に加入し、一生涯保障が続くものにするのもよいでしょう。

 

特約付き団体信用生命保険を選ぶ際の注意点

ー八大疾病の団体信用生命保険などもよく耳にします。特約付きのものを選ぶ際、何かポイントはありますか?

生活習慣病に関する保障も加わった特約付き団体信用生命保険では、一見広範囲に保障されるように見えるでしょう。しかし保険の概要についてまとめた約款を見てみると、住宅ローンが免除になる条件はかなり厳しいため、注意が必要です。

一例として糖尿病に関する保障のケースを挙げると、「足を切断されたら住宅ローンが免除になる」というものがあります。糖尿病で足を切断するリスクは一定数ある一方、果たして若い時に足を切断するまで糖尿病が悪化するのでしょうか。

特約付きの団体信用生命保険を選ぶ際は、保障範囲だけでなく免除になる条件も加味しながら考えることが大切です。

 

ー八大疾病の特約付き団体信用生命保険では、三大疾病のものより金利が多く上乗せされるのですか?

いえ、八大疾病団体信用生命保険の場合でも、三大疾病のものと金利はほぼ変わらないと考えてよいでしょう。それだけ給付されるケースが限られるとも考えられるため、特約付き団体信用生命保険を選ぶ際は保障範囲だけでなく給付される条件も確認することが大切です。

 

団体信用生命保険以外の保険も考える

ー団体信用生命保険のほかに、住宅購入の際に考えておくべき保険はありますか?

団体信用生命保険だけではカバーできないケースも多くあることに注意しましょう。

中でも団体信用生命保険では保障の対象外となるうつ病に関しては、20~50代の方が働けなくなる理由として最も多いといわれています。万が一働けなくなった場合でも生活できるよう、団体信用生命保険だけでなく他の保険についても加入しておくことが大切です。

 

ーなるほど。精神的な病気に関する保障についても考える必要があるのですね

はい。契約者の方が自営業や個人事業主、成果報酬型のお仕事をされている場合は、万が一働けなくなったケースを考慮して保険を決めることが大切です。

契約者の方がどの会社でどのような勤務体系かどうかでもかなり変わってくるため、自分のケースではどの保険がよいか見極める必要があります。

 

ーうつ病やストレスに関する相談は多いのでしょうか?

うつ病などの精神的な病気に対して世間一般に理解されるようになったため、数年でかなり増えた印象を持ちます。団体信用生命保険に加入できない代わりに、うつ病の方でも入れる団体信用生命保険のような生命保険があります。

金利は団体信用生命保険より高くはなりますが、万が一のときにしっかり備えられるためおすすめです。