「給与の割に合わない」「罰ゲーム」と若手から敬遠される管理職。そんなか、「ああ、管理職になって本当によかった!」と心の底から思える企業はどこか?
就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が2024年9月19日、「管理職が評価する企業ランキング」を発表した。
管理職が高く評価し、おおいに納得する待遇や社風を持っている企業の特徴とは? 担当者に聞いた。
アマゾンとマイクロソフトの外資系が2トップ
OpenWorkは、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先の企業や官公庁など職場の情報を投稿する国内最大規模のクチコミサイト。会員数は約670万人(2024年8月時点)という。企業の評価を「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」などの8つの指標で評価している。
今回の調査では、管理職の社員に限定した。OpenWorkに2019年以降に投稿された会社評価レポート2万4824件をデータに、投稿する際「あなたはこの企業に就職・転職することを親しい友人や家族にどの程度すすめたいか」という質問に0~10点で回答するネットプロモータースコア(NPS)を集計し、ランキングを作成した。
その結果、1位に米国に本拠を置く巨大IT企業のアマゾン ウェブ サービス ジャパン、2位に同じく日本マイクロソフト、3位に大手広告業の電通、4位に米国に本拠を置くクラウドコンピューティング・サービスのセールスフォース・ジャパン、5位に総合商社の三菱商事。
6位に同じく三井物産、7位に投資顧問・資産運用の野村アセットマネジメント、8位にソニーグループ、9位に総合商社の丸紅、10位に不動産の野村不動産が入った【図表】。
上位20社中、外資系企業が3社。いずれも「おすすめ度」が「8.00」以上と高いのが特徴。また、総合商社も4社ランクインした。
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外資系に浸透する「他者に貢献」「協力しあう」行動指針
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったオープンワーク広報担当者に話を聞いた。
――外資系企業が特に管理職の評価が高いのはなぜでしょうか。
広報担当者 1位と2位のアマゾンとマイクロソフト。どちらも世界的有名企業で、両社のクチコミから見えた共通点は、組織に浸透した「行動指針」でした。コミュニケーションや課題解決において、役職に捉われず共通の視点でディスカッションができること、悩んだ時に立ち返れる指針があることは、管理職が組織を運営するうえで大きな助けとなります。
アマゾンには「Our Leadership Principles」(OLP)という16項目の行動指針があります。マイクロソフトにも失敗を恐れず常に学び続けることを意味する「Growth Mindset」や、他者の成功にどれだけ貢献できたかが評価につながる「他者への貢献」の指針があり、チームを率いる上での指標となっていることが見てとれます。両社のクチコミを紹介しましょう。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン「OLPという行動規範や、Still Day 1というカルチャーが深く社員に浸透しており、モチベーションの高い社員が多い。組織をまたいだ活動も多く、みな協力的で仕事は非常にやりやすく、キャリアパスも多いため自身の都合で異動する(実現したいキャリアがある場合)ことも出来る」(営業部長、男性)
日本マイクロソフト「特に印象的なのは会社全体で『他人の成果にいかにポジティブな影響を与えているのか』『他人の成果を使っていかにどうビルドアップしていったのか』がパフォーマンス評価のポイントになっている点です。
それも相まって、『協力』が能力の1つとして重要視されます。本来個人プレイヤーとしての能力の高さを持っている方も多いうえ、周りのサポートやコーチングができる方が多い気がします」(ビジネスマネージャー、女性)日本マイクロソフト「オープンでポジションに関係なくすべてのメンバーが自由に意見を上げ議論のできるカルチャーがある。Growth Mindsetという言葉がよく使われ、今の状況や自分の限界だと思っている世界に留まることをよしとせず、失敗をしても挑戦を続ける姿勢が重要視されます。
失敗はまったく咎められません。部門の壁を越えて連携することでいかにインパクトを最大化できるかに軸を置いているため、さまざまなチームとコミュニケーションを取る機会が多く、さまざまな視点を知り合えることもよい」(マーケティングマネージャー)4位のセールスフォース・ジャパンの企業文化は、ハワイ語で「家族」を意味する「Ohana」(オハナ)がよく知られています。家族的な雰囲気の中で、お互いに協力し合う明確な行動指針が社内に浸透しているのでしょう。